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 webnews 05/11/29 (火) <前へ次へindexへ>
「引き寄せた幸運」、浦和が磐田を降して劇的クライマックスへ向かう!
2005Jリーグ ディビジョン1 第33節 浦和レッズvsジュビロ磐田

2005年11月26日(土) 15:03 埼玉スタジアム2002 観衆:54.883人 天候:曇
試合結果/浦和レッズ1ー0ジュビロ磐田(前0−0、後1−0)
試合経過/[浦和]オウンゴール(79分)


取材・文/砂畑 恵

 「あの磐田が全員、自陣に引いて守ってるよ」。そんな言葉が浦和サポーターで占められた客席から漏れ聞こえてきた。強豪チームであっても状況や時間帯に応じてはそういうことはままある。でも磐田が絶頂を極めてこの方、いつも磐田のパスワークに翻弄されながら、全員が耐えてカウンターで切り返す浦和を知る者にとり、開始間もないピッチで繰り広げられている両者の様子から立場は逆転したのだと、つぶさに感じ取った率直な呟き。

 それを象徴するかのような堀之内の攻撃参加。「前節くらいからぼくの所でフリーになることがあった。岡野さんとも話して、ポジションチェンジして行こう」と、話し合っていた堀之内は開始8分で実行に移した。交互するように岡野も労を惜しまず、長い距離の上下動を何度も重ねる。右サイドの生きいきした攻め上がりに、出場停止明けの長谷部やポンテも小気味よく絡んで、ややハイペースに思えるほど浦和は上々のスタートをした。

 当然、磐田もただ貝のようにゴールを閉ざしているばかりではない。右アウトサイドの太田の動きがすこぶるいい。それに加え浦和が警戒すべき磐田のセットプレーでは、何度も浦和に煮え湯を飲ませたキッカー・名波−福西のラインはやはり要注意。5分のCK、ニアの混戦からすっと退いた福西がフリーでヘッドを放つも、惜しくもバーを越える。14分のCKでは前田の逸らしがゴール前に吸い込まれ、味方が突ければ得点という場面もあった。



 ただボール支配で点では浦和に分はある。ところが相手陣内に浸食して、いざフィニッシュという段階を迎えると、わずかに噛み合ないジレンマが襲う。24分、ドリブル突破した長谷部のパスを右サイドに開いていたポンテがダイレクトで中に折り返すが、もう少しというところでマリッチの手前を抜けて行く。27分のCKでも頭1つ飛び出す闘莉王のヘッドをファーポストにいた堀之内はボールを押し込めず。37分のアレックスのクロスに合わせたマリッチのヘッドもGK川口の正面と、スタジアムは歓声と溜め息が繰り返された。

 対する磐田はロングボールや成岡を経たボールが中山に集められる。中山は巧みな動きでマークを振り切ろうとするが相手もさるもの。中でも坪井は中山の前線への素早い飛び込みに確実に対応。浦和DFに寄せられた中山のシュートはGK都築の手が届く範疇だ。

 そんな両軍の闘いの中、後半頭にてこ入れを考えたのは磐田・山本監督。病み上がりでもあり、前半のプレー印象が薄かった前田に代えてカレンを投入する。そのカレンが53分、太田からパスを受けてシュートを放つが左ポスト横に切れる。その1分前には浦和もポンテからパスを受けたマリッチの流れるような反転シュートがあってひと際、場内が盛り上がったが、GK川口も横っ飛びでキャッチと、双方チャンス作りながら先制点が奪えない。



 一進一退の膠着した状態は60分を越えた辺りで、ペースが磐田の掌中に収まり掛かる。そして磐田は68分、絶好の位置でFKを獲得。6枚の壁の頭上を抜けた名波のキックはGK都築が見送るしかないコースに飛んだものの、右ポストがゴールを拒む。それでも磐田にゲームの主導権があると思われたが、その4分後に勝敗を左右する出来事は待っていた。

 72分、長谷部に対するファウルで福西は1発レッド。気の利いたプレーで浦和の攻撃を食い止めていた福西の退場は、磐田にとっては非常に痛いもの。これを受け浦和ベンチは赤星をボランチとしてピッチに送り出し、横山交代で右アウトサイドに回った山田に続き、左も長谷部へとコンバート。ポンテがややポジションを上げ3ー4ー3に近い布陣となる。

 そして79分、堀之内から右タッチラインに開く山田にボールが託された。ドリブルで中央に持ち込むと山田は主にクロスを上げてきた利き足ではなく、左に持ち替えて味方に届けとゴールに向かうボールを蹴る。それが運を引き寄せた。金の伸ばす足を跳ね退けボールはネットへ。終了直前、村井のシュートに肝が縮みはしたが浦和は1点を守り切った。



 まず敗れてしまった磐田だが、チームの調子はそう悪くないし、失点に絡んだとは言え、スイーパーを務めた金の非凡さは今日の試合に於ける新たな発見。ただ山本監督就任後に世代交代が進む中、様々な事情はあるだろうが、中堅・ベテランの選手起用も含め、近頃は先発メンバーは節ごとに流動的で、若手も毎試合に自分の持ち味を誇示するので精一杯な状況。磐田の高い能力を統制し、求心力ある若手リーダーの早い台頭が待ち望まれる。

 さて、ついに首位と2差に迫った浦和。最終戦はピッチに立つイレブンは勿論、赤星や横山ら若手ベンチメンバーも全精力を傾ける決戦になる。いかに深く、どれだけ多くの切なる想いをボールに注ぎ込めるか。それがゴールという結晶を作り上げる。万難を排し前へ、そして迷わずシュートを!死力を尽くした末に最後の審判は下される。








(浦和レッズ) (ジュビロ磐田)
GK: 都築龍太 GK: 川口能活
DF: 坪井慶介 田中マルクス闘莉王 堀之内聖 DF: 茶野隆行 金珍圭 服部年宏
MF: 山田暢久 鈴木啓太 長谷部誠 三都主アレサンドロ(72分/赤星貴文) ポンテ MF: 太田吉彰 福西崇史(72分/退場) 名波浩(81分/船谷圭祐) 村井慎二 成岡翔
FW: 岡野雅行(69分/横山拓也) マリッチ FW: 前田遼一(45分/カレン ロバート) 中山雅史(74分/川口信男)
SUB: 山岸範宏 南祐三 細貝萌 SUB: 佐藤洋平 大井健太郎
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