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 webnews 05/12/06 (水) <前へ次へindexへ>
「悔いることの意味」。浦和、今季最高の試合で新潟に勝つも優勝へは勝ち点1届かず
2005Jリーグ ディビジョン1 第34節 アルビレックス新潟vs浦和レッズ

2005年12月3日(土) 14:04キックオフ 新潟スタジアム 観衆:41.988人 天候:曇
試合結果/アルビレックス新潟0ー4浦和レッズ(前0−2、後0ー2)
試合経過/[浦和]堀之内(4分) ポンテ(13分) マリッチ(60分) 山田(80分)


取材・文/砂畑 恵

 ハーフタイム、赤い軍団から歓声が上がった。オーロラビジョンにはC大阪、G大阪ともに1−1と表示され、2−0の浦和が現在は首位。一縷の望みは叶うかもしれない…。



 正午前の新潟駅、新幹線から吐き出される人波は浦和グッズで溢れ、それを捌く自動改札機は処理が追い付かず、「赤山」の人だかりが出来た。噂では15.000人が新潟に駆け付けると聞く。北国独特の凍てつかせるような雨風に見舞われるスタジアムでも赤く染まったアウェイスタンドは燃え盛る一方。その後押しを受けた浦和は先制点を奪った。

 4分、ポンテのFKに新潟DFを引き付けて闘莉王とマリッチがニアへ走る。その背後を山田は突いた。伸びのあるキックにかろうじて山田の右足側面は触ったかに見えた。だがGK木寺もよく反応して跳ね返す。それを大外から上がってきた堀之内が押し込んだ。今シーズン、先制点を挙げれば14勝1分と断然の勝率。この得点で浦和は完全にリズムに乗った。

 それを物語るように13分、浦和に続くゴールは産まれる。ポンテがタイミングを外して蹴ったFKはマーカー2人を釣った闘莉王を越え、更にスペースに飛び込んだマリッチの頭をかすめるようにしながら、GK木寺の左横をすり抜けて直接、ゴールネットを揺らした。

 最初の失点から10分足らずで2点目を許した新潟。トップのエジミウソンにファビーニョとアンデルソン・リマが絡む、速さを活かした攻撃で反撃に出たいところだが、相手ゴールマウスへボールを運べない。ハイプレッシャーの浦和に苦しみ、最終ラインからロングボールで打開策を探ってはみるものの、前線の選手に対するマークは厳しい。ボールを預けられる攻撃陣もなんとかこじ開けようとはするが、1人抜いてもまた次にと相手が現れ、そこでスローダウンしてしまえば2、3人と浦和の選手に囲まれ身動きが取れなくなる。

 それは逆に浦和の守備に付け入る隙がなかった証拠だった。闘莉王を中心に浦和の守備は統率され、長谷部と鈴木の攻守の切り替えも速い。チーム全員が危険がある場所を本能的に嗅ぎ分け、味方のカバーへと勝手に身体が動くほど集中力は研ぎ澄まされていた。



 後半になると、多くのサポーターとホーム最終戦を白星で祝いたい新潟は積極的に前へ出るようになる。途中交代の上野を頂きに、両脇にエジミウソンとファビーニョを置く攻撃陣へと変更し、右アウトサイドに回ったアンデルソン・リマと寺川がやや内に絞って前線をサポート。パスの繋がりにもテンポが出てきた新潟は59分、エジミウソンからリターンを受けたアンデルソン・リマが一旦、桑原にボールを下げ、その桑原から右サイドに開いた上野へとスルーパスが渡った。堀之内に身体を寄せられながらも、上野のクロスに絶妙な飛び込みを見せたエジミウソンのヘッドは惜しくもクロスバーの上を越える。

 だが新潟の勢いも長くは続かなかった。その1分後、浦和は岡野のミドルシュートをマリッチがヒールでコースを変えて3点目をゲットする。更に80分には岡野と代わってピッチに登場した永井のアーリクロスを山田が腿トラップしてボレーシュート。点差を4に広げた。守りの面でも88分、アンデルソン・リマの完全に決まったと思われたゴール左上の角に飛んだFKをGK都築が神懸かったプレーで止め、試合終了のホイッスルを聞いたが…。



 ビッグスワンのアナウンスはG大阪に優勝が決まったことを伝える。その放送を受けた時の新潟サポーターの反応を個人的には馴染めなかった。新潟は自ら浦和の優勝を阻止したわけはない。ましてやJ2から共に歩んできた反町監督の新潟に於けるラストゲーム。それを勝利で飾れなかった悔しさを噛み締める寸暇もなく、ガッツポーズまでする人が出てきたくらい、歓びにすり替えてしまったことへの違和感をどうしても拭えなかった。

 どこのチームにも悔恨の念が残るゲームがある。それを何度も心で反芻し、それを味合わせた相手に勝つことで至上の歓びを得る。だから新潟サポーターには今日の試合を悔しい記憶として心に留めて欲しい。それが新潟の歴史を作り、未来を開く糧となるのだから。

 帰り際、重々しい灰色の天空にほんのわずか薄雲が掛かっていて、そこから青空を航行する飛行機が透けて見えた。雲間に覗く遥か上空の飛行機は、勝ち点差1とそこに見えながら遠くて届かなかった優勝とだぶる。今日の浦和は今期最高のプレーをした。だが思い起こせば、それまで何度も首位を目前にして悔いを残す試合をしてきた。またベスト5に入ったチームとの直接対決が未勝利だったことも考え合わせると、「まだ優勝は相応しくないよ」と、そうサッカーの神様に言われているように感じた。来季は今日のように強い信念で臨み、心揺さぶる勝利を積み重ねて欲しい。そこに今日の結果を悔いた意味はある。


(アルビレックス新潟) (浦和レッズ)
GK: 木寺浩一 GK: 都築龍太
DF: 梅山修(45分/上野優作) 藤井大輔(84分/高橋直樹) 海本慶治 萩村滋則 DF: 坪井慶介 田中マルクス闘莉王 堀之内聖
MF: アンデルソン・リマ 本間勳 桑原裕義(72分/田中亜土夢) 寺川能人 MF: 山田暢久 鈴木啓太 長谷部誠 三都主アレサンドロ ポンテ
FW: エジミウソン ファビーニョ FW: 岡野雅行(76分/永井雄一郎) マリッチ
SUB: 野澤洋輔 宮沢克行 SUB: 山岸範宏 細貝萌 酒井友之 横山拓也
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