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 webnews 05/12/18 (日) <前へ次へindexへ>
大原学園イレブンと子供たち
ピッチの各所で激しい攻防が生まれた。
岡山湯郷、因縁の対決に勝利。西京極行きの切符を掴む。
第27回全日本女子サッカー選手権大会2回戦 大原学園JaSRA女子サッカークラブvs. 岡山湯郷Belle

2005年12月11日(日)11:00キックオフ 美作ラグビー・サッカー場 観衆:700人 天候:曇
試合結果/大原学園JaSRA女子サッカークラブ0−2岡山湯郷Belle(前0−2、後0−0)
得点経過/[岡山湯郷]宮間(31分)、中田(38分)


取材・文/西森彰

 2003年シーズン、同時にL・リーグに参入し、その年の最後にL1参加の切符を賭けて戦った。そして2004年シーズンは片方が昇格し、もう一方が降格。あげくに全日本女子サッカー選手権でも、連続で対戦…。大原学園JaSRA女子サッカークラブと岡山湯郷Belleには、因縁が付いてまわる。

「2回戦が大原学園というのは、ウチにとって好材料ですね。今でもウチの選手たちは、あそこに負けたL1参入決定戦のビデオを見ると、ボロボロ涙を流して悔し泣きするくらい。ウチのモチベーションビデオになっているんですよ。少なくとも油断負けはありません(笑)」と岡山湯郷の本田美登里監督。不完全燃焼に終わった、地元国体の轍は踏めない。

 今年は青コーナーに回った格好の大原学園も、L2リーグ3位で、L1への返り咲きならず、モヤモヤしたものを抱えながら、リーグ戦を終えている。こちらも宿敵に一泡吹かせて、その勢いを来年に持ち込みたいところ。



「ココだけには負けられない!」

 前日からの連戦の疲れをどこかに置いてきたかのように、両チームは立ち上がりからガチガチ仕掛けていく。激しいぶつかり合いがピッチ上のいたるところで繰り広げられる。選手のケガを危惧した片桐正広主審は、早めの笛でこれに対処したが、深いタックルに苦しんでいた大原学園をやや助けた。アウェーチームは、中盤でファールをもらい、そこからのリスタートに活路を求める。

 本田監督はベンチで「これはマズイ」と顔をしかめていた。若さが残るこのチームは、こういう展開になったら、九分九厘、集中を切らし、自滅していたからだ。だが、この日は選手ひとりひとりが、すぐに気持ちを切り替え、自分の守備ポジションに戻った。

 特に目を引いたのが、チームオーダーの都合で左サイドに回されていた中田麻衣子だった。本職はFWの中田は、これまでディフェンス面で大穴を開けることが多かった。それがこの日は、見違えるように忠実なディフェンスをこなす。いらいらするようなスローインの連続にも、マーク相手を放さず、カウンターを浴びかけたシーンでは、きっちりとスペースへのパスコースを切る。

 この姿勢がチームに波及していく。広いスペースが空いている右サイドでは、安田邦子が縦横無尽に走ってカバーし、最前線では、加戸由佳と田中静佳もパスコースを限定する。厳しい守備は、大原学園につけ入る隙を与えなかったばかりか、先制点の呼び水にもなった。

岡山湯郷イレブンと子供たち
先制点をもたらした宮間も、不調期は抜けたようだ。
 31分、コースを切られた相手からパスをインターセプトして、宮間あやがペナルティボックスに迫る。進路には3人のDFが立ちはだかり、後ろからは中盤の選手が追いかける。大原学園の黄色いユニフォームは、宮間を囲い込むことに成功したかに見えた。だが、ファールを恐れて最後の詰めが一歩遅れた。寄せの遅れた一瞬を見逃さずに左足を振りぬく宮間。大原学園のゴールネットが大きく揺れた。

 さらに、38分、右のエンドライン際でDFと交錯して倒れながらもボールを生かした加戸を、宮間が素早くフォロー。中央をルックアップしてセンタリングを入れる。「必ずボールが上がってくる」と信じてゴール前に飛び込んでいた田中と中田、ニアサイドに飛び込んだ中田のヘディングシュートが、追加点をもたらす。2対0。ここで勝敗は決した。



 敗れた大原学園は、序盤のチャンスを生かせず、惜しい敗戦を喫した。ペースを掴んでいる時に得点できない、典型的な負けパターン。昨年と比べると、最終ラインには若い選手が配されていた。彼女たちが経験を積み、守備が安定するようになれば、さらなるチーム力アップが期待できる。2年連続2位のアルビレックス新潟レディース、降格組の宝塚バニーズレディースSCとライバルもいるが、L1昇格は現実的な目標だ。

 逆に岡山湯郷は地元の2戦で白星を飾り、西京極行きの切符を手に入れた。「結局、最後は宮間の個人技に助けられた。やっぱり、最後の個の部分では、一番頼りになる」と本田監督。大会前に行なったスペランツァF.C.高槻との練習試合では、宮間をスターティングメンバーから外すなどの荒療治を行なっていたそうだが、結果で自分の力を証明して見せるあたりは、さすがにエースだ。

 しかし、岡山湯郷の勝因は、チームがひとつになって戦ったことだろう。相手に潮が行っていた最初の30分間を、無失点で凌いだ粘り強い守備。そして「必ず、つないでくれる」と信じてそれぞれが動いた2点目のフリーラン。いずれもチームが一枚岩になっていた証左だ。

「サプライズ、サプライズと口にしながら、ここまで何もできずに来た。この大会はコクリツに行って、みんなを驚かせたい」とテレビカメラを前に力強く語った本田監督。その後で「コクリツといっても、西が丘のほうだけれど」と付け加えて笑った。






(大原学園JaSRA女子サッカークラブ) (岡山湯郷Belle)
GK: 澤田法味 GK: 福元美穂
DF: 浮田あきな、アリネ・ペルグレノ、堤晴菜 DF: 安田邦子、藤井奈々、城地泰子(56分/福原理恵)、佐藤シェンネン
MF: 塩原理恵(67分/)、井上雅子、渡辺真結子(66分/竹内真菜美)、津波古友美子、松本美保 MF: 赤井歩、北岡幸子、中田麻衣子(69分/杉本あすか)、宮間あや
FW: シンチア・エレナ・ソアレス、柳瀬恵(H.T/中野真奈美) FW: 田中静佳、加戸由佳(61分/江口なおみ)
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