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 Go for Athens 04/04/28(水) <前へindexへ>
アジアチャンピオンがかかる決勝戦。しかし、北朝鮮との死闘で負った
疲労は思った以上に大きかった。
日本女子代表、ビッグアーチで力尽きる。
アテネ五輪女子サッカー・アジア予選 決勝 日本女子代表vs.中国女子代表

2004年4月26日(月)18:30キックオフ 広島ビッグアーチ 観衆:2407人 天候:雨
試合結果/日本女子代表0−1中国女子代表(前0−0、後0−1)
得点経過/[中国]李潔(57分)


取材・文/西森彰

 予選グループリーグ15試合、そして決勝トーナメント4試合。合計19試合の最後を飾る日本女子代表と、中国女子代表の決勝戦が「国立決戦」の2日後に行われた。全ての力を振り絞ってアテネ行きの切符を勝ち取った戦いから、中1日のゲーム。さらにグループリーグから広島に居残る中国に対して、日本は東京からの移動というビハインドが立ち塞がる。

 2日前とは比べ物にならないほど観客も少ない。帰りに中倉編集長と二人で入ったお好み焼き屋さんでは「取材にいらっしゃる方は多いみたいですけれど、地元ではニュースにならんですね。新聞の地元欄にでもデカデカ載せてあげれば良いのに」という声を聞いた。アジアタイトルがかかっているのに、テレビも録画ハイライト中継だった。どこもかしこも、いや日本中があの準決勝で燃え尽きていたのかもしれない。



雨にぬれながら決勝戦のキックオフを待つサポーター
 それは日本女子代表の選手たちも同じだった。8人が2日前の北朝鮮戦と同じ先発メンバー。当然のように疲労が残っていたのだろう。試合開始から中国のパス回しに翻弄される。プレスがかからないのだ。日本の出足がワンテンポ遅れていたこともある。しかし、左右の両足できっちりとボールを捕らえ、逆サイドまで軽々と持っていく中国のテクニック、そしてパワーを褒めるべきかもしれない。

 しかし、10分、最初の決定機は日本に訪れた。中国の4バック後方へのロングボール。これを目指す駆けっこで、大谷未央が持ち前のスピードで抜け出す。しかし、大谷がシュートを打つまでコースを限定し、不用意に動かなかった中国GK肖珍が、やや弱かった大谷のシュートを楽々とキャッチする。先制機が失われた。

 中国も左右からのクロス攻撃を3トップにあわせて「高さ」という武器を押し出した攻撃で反撃。17分には、右からのハイボールを頭でつなぎ、最後は左ファーサイドに余った8番の畢妍がフリーでボールを受けたが、力が入ったのかシュートミス。32分にもエースの10番の縢巍が中距離からゴール隅にシュートを放つが、これも山郷のぞみがスーパーセーブで事なきを得る。

 日本も35分、左サイドでフリーになった柳田美幸のシュート。38分に荒川恵理子、澤穂希とつないで、最後は大谷がシュートを放ったが、これも中国GK肖珍のセーブにあってしまう。44分、小林弥生の中央やや左からのFKが、相手DFにあたり、あわやオウンゴールの場面もあったが、これもバーを越えた。北朝鮮戦と似たような展開、そして似たような時間帯に決定機を得ながら、スコアは動かず。この日の日本にはツキも無かった。



 ハーフタイムに荒川を下げて、丸山桂里奈を入れた日本。4−3−3で中盤は逆三角形のシステムを組む中国は、ワンボランチの13番劉華娜の疲労を考えて交代。左前目の2列目に18番の張頴を入れると、8番の畢妍を左から右に、6番の浦をボランチの位置に下げ、日本のマークを撹乱する。49分、10番の縢巍がゴール前でボールをキープ、右に流れた8番の畢妍がシュート。さらに54分にも縢巍がシュートを放つが、どちらも山郷のセーブが救った。

 しかし、ツキの無い日本の象徴とも言えるジャッジでアジア女王の座は中国にもたらされた。56分、エースの縢巍が日本のDFを背負いながらポストプレーをこなしたが、中央にボールを送る際に、雨ですべるピッチに足を取られた。折悪しくも、このラストパスに詰めた日本DFの動きが、レフェリーの目には重なって見えたのだ。ペナルティキック。中国の3番李潔が蹴ったボールに山郷は反応したが、その脇の下を抜けていった。

 日本の上田栄治監督は再三、好パスを送っていた小林、そして左サイドで奮闘した柳田を下げて、酒井與惠と山本絵美を送り込んだ。しかし、疲れきった状況で不運な先制点を献上したことは、チームに大きなダメージをもたらしていた。中国の優位は時間を追うごとに明らかになっていた。それでも日本は終盤、左右から連続してコーナーキックを奪い、同点ゴールへの道しるべだけはつけたものの、そこに到達するだけの力は残っていなかった。0対1。アジア女王の称号は中国女子代表にもたらされた。



広島大学の留学生を中心にした中国サポーター。屋根を利用して
効果的な応援を繰り広げた。
 同じ中1日、移動の不利はあったにせよ、中国の選手たちの運動量が日本のそれを上回った。中途半端なプレスを仕掛ける相手を振り回し、ガソリンを使わせた前半のパス回しが、フィジカルの優位を決定付けた。的確な選手交代も自軍の運動量を支え、ペースを握り続ける上で効果があった。そして日本の狙いを十分に読みきり、右サイドからオーバーラップを仕掛ける川上直子には、最前線から9番の韓端が戻ってケアし、自由なプレーを許さなかった。

 また、中国ファンの応援も称えて良いと思う。バックスタンド寄りのゴール裏で雨ざらしになりながら応援をし続けたコアファンの掛け声は、屋根のついたメインスタンドからは遠く、手拍子が起きるだけだった。一方、数で劣った中国のファンは、北朝鮮のファンが使っていた赤いビニールスティックを借り、屋根を利用して太鼓の音を響かせ、自分たちのチームを鼓舞し続けた。アウェーゲームをニュートラルな状態まで持っていった彼らのサポートも、勝利の一助にはなったと思う。

 日本はケガを堪えてプレーを続ける澤を最後までピッチに置いた。いかに能力が傑出している選手とは言え、全員の足が止まりかけた状況では、永里優季を入れて3トップからのパワープレーを狙ったほうが良かったのではないか? 確かに身長で大きく劣った日本だが、最後にコーナーキックからあれだけの見せ場を作れたことを思えば、最終手段として用意していた3トップのオプションを試してみる価値は十分にあったと思う。



ゴール裏の女子高生に挨拶する日本女子代表。
 しかし、これで日本女子代表の戦いが終わったわけではない。2大会ぶりに参加できるアテネの本大会が待っている。その戦いに臨めるのはさらに絞られて精鋭18名。6月13日(日)に開幕するL・リーグの各試合会場では、常に現地視察を怠らない上田監督をはじめ、チームスタッフの姿があるはずだ。アテネへの選考の舞台であるとともに、互いのレベルを向上させる真剣勝負をぜひ、会場でご覧いただきたい。国立では遠くに見えた彼女たちのプレーを、より近くで見ることができるし、サインをもらったりすることもできる(場合もある)特典がついて、入場料は無料だ。

 彼女たちがメディアのスターシステムで舞い上がっている? それは無いだろう。30人程度の女の子が「日本コール」を続けた逆サイドのゴール裏まで、疲れきった体を引きずって挨拶に行った彼女たちは、決して自分たちの足元を見失っていない。準優勝、おめでとう!










(日本女子代表) (中国女子代表)
GK: 1山郷のぞみ GK: 22肖珍
DF: 2矢野喬子 3磯崎浩美 4大部由美 5川上直子 DF: 2晋暁梅 3李潔 5範運傑 13劉華娜(45分/18張頴)
MF: 8宮本ともみ 16小林弥生(62分/6酒井與惠) 18柳田美幸(62分/7山本絵美) MF: 6浦 8畢妍(74分/12曲飛飛) 15任麗萍
FW: 9荒川恵理子(45分/19丸山桂里奈) 10澤穂希 11大谷未央 FW: 9韓端(90分/11白莉莉) 10縢巍 17李
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