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 第85回天皇杯全日本サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
「怪我の功名」、左サイドを制圧した浦和が逆転勝ち。
第85回天皇杯全日本サッカー選手権大会 第4回戦 浦和レッズvs.モンテディオ山形

2005年11月3日(木・祝) 13:01キックオフ さいたま市浦和駒場スタジアム 観衆:15,772人 天候:晴のち曇
試合結果/浦和レッズ2−1モンテディオ山形(前0−1、後2−0)
試合経過/[山形]林(10分)[浦和]マリッチ(55分、57分)


取材・文/砂畑 恵

 開始10分、一陣の風の如く、右タッチラインを臼井が佐々木を越して駆け抜ける。佐々木からその臼井に向かって微塵の迷いもない縦パスが繰り出された。あまりにも素早く、正確無比に上げられた臼井のクロスに浦和DFは守備を整える暇がない。ゴール中央で悠々と空を舞った林は矢のようなヘディングゴール。そのスピーディーな山形の攻撃はスタジアムの大方を占めていた浦和サポーターから一瞬、声を奪った。

 この右サイドの攻撃は山形が十八番とするもので、それを見事に決めたわけだが、「ウチのチームにはちょっとした油断というものがあったかもしれません」とブッフバルト監督も認める通り、浦和とすれば失うべくして失った点だったとも言える。それまで浦和のプレーは軽さはあった。例えば闘莉王の攻撃参加の威力は誰もが認めるところではあるにしても、早々から2度も仕掛けるのを見ていると、やはり多少なりとも慎重さに欠けていと言えよう。また失点も元を正せば浦和のミスからで、CKの流れでゴール前の人の多い中、アレックスが無理矢理ドリブル突破しようとして、結局は鈴木に出したバックパスが走らず、相手にカットされたことが山形の逆襲を浴びた原因だった。



 ところでその後の山形は浦和に攻め立てられる時間が長くなったが、もともと山形は浦和主導でゲームが動くのは織り込み済みで、しっかり守って数少ないチャンスの到来を待つというスタンスは先制点を奪ったからといって変わるものでもない。ただ気持ちの点では明らかに張り合いが出てくるものだ。リトリートディフェンスで自陣に包囲網を作り、お互いがマークの受け渡しを綿密に行い、相手に対するプレスの出足も速い。特に外池と大塚のコンビは固く、レオナルドは前に出て相手の攻撃起点を潰したかと思うと、ディフェンスラインに入ってくるワントップのマリッチには激しい当りで競り合った。

 こうなると浦和はボールポゼッションは高くなるも、山形攻略に手を焼いた。ビルドアップに時間が掛かってしまったり、余分な横パスが入ってしまうと、それだけで相手エンドはスペースなくなる。高めにしている味方バックラインが慌てる場面はそうないにしても、いざ攻撃となるとショートパスやシュートが相手の網にかかってブロックされた。

 だが後半になると、4人の山形DFが前後に擦れてギャップが生じる。その原因はプレスが甘くなり相手の縦パスを簡単に送られてラインを乱されたこと。更にパスの受け手である「トップの選手のマークがちょっとあやふやになってしまった」(山形・鈴木監督)。ことだ。

 そんな相手の綻びを浦和が見逃すわけはなかった。55分、酒井入れたハイボールをポンテが頭で落とす。ボール自体はマリッチには繋がらなかったが、再び、相手クリアーを拾った酒井からポンテへと浮き球のパスが渡り、最後は速くて足下に入るようなポンテの横パスにマリッチが点で合わせて同点。その2分後には右サイドをドリブル突破した長谷部からゴール前に低いアーリークロスが入ると、ギャップの出来た内山と小林の間に走り込んだマリッチが頭で押し込み、一挙、逆転に成功した。



 短時間の連続失点というものはかなり精神的に堪える。しかしそれにめげずに山形は反撃に出た。特に臼井の最終ラインからの思い切りのよい飛び出し、また佐々木の交代でより高いアウトサイドでのプレーにしても、そのプレーに衆目が集まった。FWにしてもキープ力の高い阿部から裏を狙う根本に代わり、最終ライン上にいてDFとの駆け引きで一瞬でフリーとなる林のコンビも微妙に変わって、前半とはまた違った攻撃で浦和に挑む。

 ただ山形に不幸だったのは、浦和が負傷の内館に代わり、左センターバックに坪井コンバートしてきたこと。確かに山形の右サイドの攻撃はJ1にも匹敵する。だが坪井とてスピード対応では比類のない速さ。ポジショニングに注意を払うアレックと連携し、裏の取らせない坪井の働きで、浦和は山形の右サイドを封じ、2度と得点を許さなかった。

 山形に関してはリーグ2連敗でチーム状態は悪いようだが、今日の試合を見る限りでは、チームの色もあって魅力的で、今後のリーグ戦をもっと自信を持って臨むべきだと思う。ただ問題点はシュート前段階の細部。FWの動き出しの質が高いのに比べ、トラップやボールの落とし位置など細かい点が雑なので、最後まで気を抜かないプレーが必要だろう。



 さて順当に5回戦へ駒を進めた浦和は内館の怪我が気になるとところ。またリーグの川崎戦に続き、自軍、他軍問わずセットプレーで気が緩んで失点をしていることは気掛かり。これから先はリーグ、天皇杯ともより闘いがシビアになっていく。そんな時、勝敗を分けるのは技術的なものではなく、気持ちの隙が大きいのだということを肝に銘じて欲しい。

 さて、リーグ次節は浦和はG大阪、山形は仙台と、共に運命の大一番が待っている。


ブッフバルト監督(浦和レッズ)記者会見
鈴木淳監督(モンテディオ山形)記者会見


(浦和レッズ) (モンテディオ山形)
GK: 山岸範宏 GK: 桜井繁
DF: 坪井慶介 田中マルクス闘莉王 内舘秀樹(34分/堀之内聖) DF: 臼井幸平 レオナルド 小林久晃 山内俊彦
MF: 山田暢久 長谷部誠(71分/赤星貴文) 鈴木啓太 酒井友之 三都主アレサンドロ MF: 佐々木勇人(74分/小原章吾) 大塚真司 外池大亮 高橋健二(59分/本橋卓巳)
FW: ポンテ マリッチ FW: 阿部祐大朗(67分/根本亮助) 林晃平
SUB: 加藤順大 岡野雅行 エスクデロ SUB: 清水健太
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