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 第84回全国高校サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
強くはためく3つのフラッグ。風上が絶対的に有利だ。
1回戦屈指の好カード。作陽、地元・成立学園を破る。
第84回全国高校サッカー選手権 1回戦 成立学園高校vs.岡山県作陽高校

2005年12月31日(金)12:10キックオフ 国立西が丘サッカー場 観衆:4,360人 天候:晴
試合結果/成立学園高校1−2岡山県作陽高校(前1−0、後0−2)
得点経過/[成立学園]小島翔(8分)、[作陽]西脇(41分、79分)


取材・文/西森彰

 昨日の開会式、そして直後に行われた山梨県代表・甲府東高校と奈良県代表・奈良市立一条高校のゲームで始まった、第84回全国高校サッカー選手権大会。2005年の大晦日は、首都圏の8会場で15試合が行われた。国立西が丘サッカー場の第1試合は、東京都A代表・成立学園高校と岡山県代表・岡山県作陽高校の対戦。成立学園は山郷のぞみが、作陽は宮間あや、福元美穂らが練習相手になってもらっていたチーム。なでしこのスパーリングパートナー同士の対戦でもあり、今大会一回戦屈指の好カードでもある。



作陽・西脇のループシュート。試合の流れが180度変わった。
 まずは風上に立った成立学園が、キックオフから主導権を握る。後方からきちんとショートパスをつなぎながらビルドアップし、前線ではスピードのある荒井勇弥と1年生の小檜宏晃が、作陽最終ラインの裏を狙う。遠目からでもコースが開くと、シュートを選択する青いユニフォーム。その積極策が功を奏す。8分、2トップを経由して中央に流れてきたボールを、小島翔太が右足のアウトフロントで叩く。これが素晴らしい弾道となって、作陽ゴールの左上に吸い込まれた。その後も、ゲームを支配するのは成立学園。

「苦しかったですよ。成立さんがすごい個人技で来るし、ゲームに入った時点ではシステム的にも噛み合わなかったですし」と、作陽の野村雅之監督。つないで崩すのが作陽の基本戦術だが、この日の対戦相手とポゼッションサッカーで競うには少し厳しい。「地上戦ではちょっと厳しいようだったし、空中戦に活路を見出そうとしました」(野村監督)。ハイボールを成立学園のゴール前に蹴り込んで、このセカンドボールを狙う。これでやられっぱなしだったゲームは、徐々に均衡を回復し始めた。

 それでも成立学園は、荒井の左ポストを直撃するシュートなど、何回か決定機を掴んだ。「前半のうちにもう1点取れていれば、もう少し変わっていたはず」と成立学園の太田昌宏監督。確かにここでダメを押せなかったことが、最後の悲劇へとつながった。



市川智也を中心に成立学園も良く耐えたが・・・。
 1点のビハインドで迎えた後半、野村監督は前へ向かう意識を伝えた。「丁寧につなごうという意識が、成立さんのほうが強い。前半は、DFラインを自由にさせていたので、そこにプレッシャーをかけていこうと指示しました」。そして後半開始直後の41分、右サイドバックの宮澤龍二が蹴ったロングボールを、DFに競り勝った西脇陽がGKの頭越しにループシュート。風下で受けに回らなければいけない成立学園のアドバンテージはあっという間に消えた。

 そこからは、作陽のハイボール攻撃に成立学園が耐える展開。「岡山県大会の決勝はロングボール中心に戦っていたようですが、基本はつなぐチーム。どちらもあると思っていましたが、今日は徹底してきましたね」と太田監督。ある程度、覚悟はしていたものの、中盤の選手がDFラインのフォローに下げられ、セカンドボールをことごとく自由にさせては、反撃の狼煙を上げる場面がない。それでも、勇気ある飛び出しを再三再四見せたGK・市川智也の奮戦もあって、PK寸前まで漕ぎ着けた。

 2分間のロスタイムのうち、1分以上経過したところで、途中出場の椿本拓也がドリブルを開始する。右サイドを鋭くえぐり、エンドラインまであと数十センチのところからセンタリング。山本翔一のシュートは、市川の好セーブにあったが、その後ろにいた西脇が詰めた。「椿本はドリブルが得意な選手なので、それを期待して入れたんですが、40分後に仕事をしてくれましたね」(野村監督)。3枚のカードを全て切った成立学園に対し、1枚しか代えなかった作陽。その唯一の交代が決勝点を引き寄せた。



大声援を送ってくれた仲間に、劇的な決勝点を報告する。
 成立学園の太田監督は「後半、風下に回ったところでウチのサッカーができなくなってしまいました。ロングボールに対してもきっちりと対応できていましたが、最後はああいう形でやられてしまった。目指しているサッカーが間違っていないことは証明できたと思う」。風上でペースを握っている時間帯に、試合を決めきれなかったのが全てだろう。高い個人技をベースにした小気味良いサッカー。1回戦で消えてしまうのは惜しいチームだった。

「今年のチームは、前線に高さのある選手がいて、困った時には空中戦という選択肢がある。いつも練習しているスタイルとはちょっと違うんですが、今日は典型的なその形でした」と作陽の野村監督。とにかく勝ちあがらなければ上に行けないノックダウン方式の選手権。そのための引出しの有無が勝敗を分けたとも言えよう。「いろんなことができるのが、今年のウチの強み」と野村監督。2回戦では、どのような戦い方を見せてくれるだろうか?








(成立学園高校) (岡山県作陽高校)
GK: 市川智也 GK: 黒田瞬
DF: 米口翼(78分/間野大貴)、木下翔太、福田哲也、田中勇輝 DF: 宮澤龍二、奈良林寛紀、藤野洋平、坂口宙
MF: 佐藤涼、小島宏之(73分/吾妻直也)、大津祐樹、小島翔太 MF: 小掠康平、宮本大希、蓮岡裕紀、山本陽介(H.T/椿本拓也)
FW: 荒井勇弥、小檜宏晃(79分/池田啓太) FW: 西脇陽、山本翔一
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