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 第84回全国高校サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
初戦を6-0と圧勝した東福岡。上位進出に期待がかかる
これぞ展開サッカー。赤い彗星、伊勢崎商業を一蹴
第84回全国高校サッカー選手権大会 1回戦 群馬県立伊勢崎商業高校vs.東福岡高校

2005年12月31日(土)12:10 さいたま市駒場スタジアム 観衆:3200人 天候:晴
試合結果/群馬県立伊勢崎商業高校0−6東福岡高校(前0−3、後0−3)
得点経過/[東福岡]松井(13分)、千代原(28分)、畠中(30分、46分)、松井(65分)、棚橋(79分)


取材・文/中倉一志

 浦和駅東口を出ると、グラウンドコートに身を包んだ数人のグループが駒場スタジアムまでの道を尋ねている。そんな光景を見ながらスタジアムへと続く20分程の道のりを進む。前後にはサッカー観戦と思しき人たち。昨日の開会式と開幕戦を受けて、今日から始まる高校サッカー1回戦を楽しみにしていている人たちだ。スタジアムに着いたのはキックオフ1時間前。すでにスタジアムの周りにはかなりの数の人たちが集まっている。

 駒場会場での第1試合を戦うのは、群馬県代表の伊勢崎商業と福岡県代表の東福岡高校。サッカーファンなら、群馬代表といえば思い浮かぶのは、過去22年に渡って代表の座を独占してきた前橋商業と前橋育英。しかし、今年はこの牙城を破った伊勢崎商が初めて全国の舞台へやってきた。一方の東福岡は「赤い彗星」として知られる高校サッカーの常連校。今年は九州選手権福岡大会、高校総体、高校選手権福岡大会の県内主要大会を制して全国大会へ乗り込んできた。



千代原のゴールにイレブン全員が喜びを表す
 立ち上がりから激しく攻めあう両チーム。しかし、その戦い方は対照的だ。ボックス型の中盤を形成する伊勢崎商の布陣は4−4−2。奪ったボールは手間をかけずに戦線へ。関、小林の2人がスピードあるドリブルで突破を図り、それを右サイドの須藤がフォローする。対する東福岡は4−2−3−1。DFラインは前述の伊勢崎商の3人にマンマークでついて、最後尾に原があまる。1トップの千代原への楔のボールを起点にして両サイドから駆け上がるパスサッカーが持ち味だ。

 試合が動いたのは13分。中盤でボールを奪った東福岡は、松井がサイドへボールを預けて、そのまま中央を駆け上がる。そして藤嶋から戻ってきたボールをワントラップしてDFをかわしてGKと1対1に。飛び出してくるGK女屋の動きを冷静に見極めてゴールへと流し込んだ。「カウンターで1点目を取られて、そこで頭がパニックになってしまいました」(中島信樹監督・伊勢崎商)。そして試合の流れは大きく東福岡へと傾いていく。

 28分、東福岡は勢いのままに追加点を挙げる。松井が巧みなドリブルを見せて右サイドを突破してセンタリング。中央で待つ千代原が太ももでワントラップしてボールをコントロールすると、そのまま左足を一閃。ゴールネットが大きく揺れた。さらに30分には、ゴール前中央で得たFKのチャンスから畠中が直接ゴールへ叩き込んだ。あっという間の3得点。東福岡は、早々と勝負を決めてしまった。



激しく中盤でつぶしあう両チーム
 両チームの間にスコアほどの実力差があったのかといえば、決してそうではない。にも拘わらず早々と試合が決まってしまったのには3つの要因があった。ひとつは東福岡の守備陣系。マンマークのディフェンスを敷き、最後尾に1人を余すことで、東福岡は伊勢崎商の最大の武器である関、小林、須藤のドリブル突破を封じた。ふたつめは経験の差。「終わってみれば、やはり初出場の堅さがありました」(中島監督)。初めての全国の舞台は無言の圧力を選手たちにかけていたようだ。

 そして、最も大きな要因は中盤の出足の速さと球際での強さだった。出足の速さで伊勢崎商を上回る東福岡はルーズボールのほとんどを支配。1対1の勝負ではことごとくボールを奪った。伊勢崎商のディフェンスは、ボールサイドに人数をかけてコンパクトに守るというものだが、中盤で優位に立つ東福岡は、その激しい守備をかいくぐると、人数の薄い反対サイドにボール展開。面白いようにサイドを崩した。「あれだけワイドに振られたらマークの受け渡しも上手くいかない」。萩原彬久主将(伊勢崎商)も脱帽するしかなかった。

 後半に入っても攻撃の手を緩めない東福岡は46分に畠中が、65分には松井が、そして79分には棚橋がゴールを決めて6−0。常連校の貫禄を見せ付けて2回戦に駒を進めた。「福岡県大会が終わってから、精度とスピードを上げるトレーニングをしてきたが、選手たちが、それを意識してやってくれた」と、森重監督は満足気に試合を振り返った。



最後までゴールを目指した伊勢崎商だったが全国の壁は厚かった
「力不足じゃないかなと思います。悔しいけれど、これが現実なんでしっかりと受け止めたいと思います」。取材陣の前に姿を現した萩原彬久主将は落ち着いた口調で試合を振り返った。そして続けた。「県大会で勝ったので1年間サッカーで頑張ってこれたのですが、この悔しさを1、2年生には忘れてもらいたくないですね」。初めての全国大会での悔しさは確実にチームの経験として受け継がれる。その積み重ねが全国大会で通用するチームを作り上げることになるはずだ。

 さて、第76、77回と大会2連覇を達成した福岡も、その後は第81回大会でベスト8に入った以外は、これといった成績を残せていない。今大会でも「昨年のチームの方が実力は上」と森重監督はあくまでも控えめだ。事実、高校選手権を経験している選手も少ない。しかし、組織力は例年以上に高く、お家芸のサイド攻撃の鋭さは、この試合でも実証済み。3バックと4バックを併用する最終ラインの安定度も高い。久しぶりの上位進出にも期待が持てそうだ。








(群馬県立伊勢崎商業高校) (東福岡高校)
GK: 女屋弘貴 GK: 下野敏幸
DF: 小山翔 萩原彬久 萩原麻人 西澤拓矢 DF: 江崎洋介 原祥太郎 藤淳二 大迫慎乃介
MF: 須藤匠 根岸禎章 福島祐太郎 守田竜太(49分/立川雄一) MF: 里恵介 棚橋雄介 松井拓也 畠中雅浩 藤嶋圭一朗(75分/関崇頼)
FW: 関涼太 小林俊哉(68分/笹間峻) FW: 千代原孝徳(46分/出雲大樹→61分/福ア裕)
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