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 第84回全国高校サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
両者、1歩も譲らぬゲームはPKサドンデスにて決着
第84回全国高校サッカー選手権大会 第1回戦 帝京長岡高校vs.明徳義塾高校

2005年12月31日(土) 14:10キックオフ 埼玉スタジアム2002 観衆:3.500人 天候:晴
試合結果/帝京長岡1ー1(PK6−7)明徳義塾(前1−1、後0−0)
試合経過/[帝京長岡]須佐(15分)[明徳義塾]野村(20分)


取材・文/砂畑 恵

「1点は仕方がない」。帝京長岡・谷口監督の敗戦の弁にあったワンフレーズ。勝った明徳義塾・高崎監督からも同じ言葉が零れた。先制した帝京長岡の得点は15分に韮沢のシュートが明徳義塾DFに当たって、たまたま須佐の目の前に転がってきたことで産まれた。そしてその5分後に追い付いた明徳義塾にしてもPKだったのだから、相手に完全に崩されたわけじゃなし、不運な失点をいつまでもくよくよせずに気持ちを切り替える。前半の半ばという時間帯を考えても、確かにそれが両チームにとって最も重要だったことだろう。



 同点となるまでの双方の闘い振りは各々の特徴が良く出ていた。まず立ち上がりにペースを握った明徳義塾は記者泣かせともいうべきチーム。基本は4バックなのだが左サイドバックの田村が積極的に前に出て行くので、攻撃の最中は3バックに見える。ところが守備に切り替わると、ワンボランチの島田がバックラインまで下がって守りを固めるので5バックになる場合が少なくない。

 更に観客が混乱すると思われるのは攻撃陣の激しいポジションチェンジ。中盤の右に位置する洪は縦突破が特徴なので大きくポジションは変えていなかったが、その他の4人は動きを眺めている内に本来のポジションが判らなくなるに違いない。高崎監督にその点を尋ねると、基本的には野村のワントップに松本をトップ下に置いているのだが、その2人に山崎と小林を加えたアタック陣には守備の約束事(相手が攻撃に移った際、その時にいるポジションでしっかり守りの態勢に入る)さえ押さえていれば、選手の裁量で自由に動いていいとの指導をしているらしい。

 対する帝京長岡は相手の変化にも戸惑う事なく守備がしっかり出来るチームだ。その中で異彩を放ったのが魚谷。3バックのチームにあってそのフォローをきっちりこなすクレバーさ、ロングスローと正確なクロスが売りである。8分、その魚谷のロングスローから、柴木の惜しいヘッドが切っ掛けとなってリズムに乗り、先制点を奪うに至っている。



 スコアーがイーブンとなってからは、両者ががっぷり四つに組んで、1歩も引かない状態となり前半を終えたわけだが、後半になると明徳義塾は洪のドリブル突破で攻撃を幕開け。そして前半の田村に代わって今度は右サイドバックの寺島が思い切った上がりで相手を威圧する。反対に帝京長岡は米山が松本にマンマーク気味にして、まずは守備からゲーム入った。そして後半の10分手前頃から徐々に攻撃のテンポを上げてくる。これは前半同様の展開だ。

 ただ明徳義塾は徐々に個人プレーに走ってしまい、52分の松本がドリブル突破で帝京長岡のバイタルエリアを脅かした後は攻撃がトーンダウンしてしまう。それに対し帝京長岡は自分達のペースを崩さなかった。62分、魚谷のロングスローを柴木が頭で流して高桑がワントラップシュート。しかし機転を利かせた小林の素早い寄せによりブロックされて更なる得点とはいかない。

 またも攻守に渡ってがっちり噛みあってしまった両チーム。ゲームに変化を付けようと双方の監督は選手交代に活路を見出そうとするも、どちらもその流れを断ち切ることが出来ず。遂に勝敗はPK戦に委ねられた。

 先行は帝京長岡。韮沢がまず決めて相手にプレッシャーを掛けた。明徳義塾のトップキッカーは松本。長い助走から繰り出したGK久保に止められ、帝京長岡が1歩リードする。その後2人目、3人目は共に成功。だが両GKの読みはいい線を突いていた。そして帝京長岡の4番手・柴木に順が回ってくる。左を狙ったキックをGK灘がセーブして振り出しに戻った。その後はどちらも決めてサドンデスに突入。場内が緊張緩和を繰り返す中で8人目まできた対決は、魚谷が左ポストを叩いたのに対し、明徳義塾の植田はきっちり沈めて決着をみた。



 帝京長岡で活躍の目立っていた魚谷のPK失敗は何とも皮肉な気がする。ただ全体を通して感ずるのは守備が安定している反面、攻撃のバリエーションがやや少ないこと。攻守のバランスが取れたチームになっていく為には、その辺の強化が必要になってくるだろう。

 接戦のPK戦をものにした明徳義塾については、これまでの選手の役割分担がはっきりしている高校サッカーとは違う、大掛かりなポジションチェンジは新鮮に映った。但し、あまりに流動的過ぎて攻撃のポイントぼけてしまう場面も見られる。そういう点では「これが核だ」となるアタックパターンもチームとして打ち出したいところ。明徳義塾版トータルフットボールの進化に期待を寄せつつそれも見てみたい気がする。


(帝京長岡) (明徳義塾)
GK: 久保航太郎 GK: 灘順平
DF: 難波拓也 柴木祥平(68分/草野大樹) 長谷川勇大 DF: 中山誠晃 池田哲史 寺田典之 田村龍一
MF: 魚谷尚弘 米山岳彦 大石祐太 亀山光 高桑新太 MF: 小林優(63分/植田一穂) 島田翔平 洪栄植 松本憲 野村政夫
FW: 須佐大貴(79分/林田裕太郎) 韮沢正幸 FW: 山崎誠也(72分/下元英司)
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