topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 第84回全国高校サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
2回戦、鹿児島実業が登場。
鹿児島実業、上田西に圧勝。今年も西が丘から好発進。
第84回全国高校サッカー選手権 2回戦 鹿児島実業高校vs.学校法人上田学園上田西高校

2005年1月2日(月)12:10キックオフ 国立西が丘サッカー場 観衆:3,434人 天候:曇りのち雨
試合結果/鹿児島実業高校5−0学校法人上田学園上田西高校(前3−0、後2−0)
得点経過/[鹿児島実業]栫(8分)、諏訪園(17分、59分)、赤井田(29分)、猿渡(67分)


取材・文/西森彰

 昨年、市立船橋高校をPK戦で降して、優勝旗を手にした鹿児島実業高校。赤字に黒のラインを引いたお馴染みのユニフォームは、今年も西が丘サッカー場で2回戦から登場した。挑戦するのは、長野県代表の初出場・学校法人上田学園上田西高校だ。

 どのチームにとってもトーナメントの初戦は難しい。それは鹿児島実業にとっても同じ。「初戦は難しいですね。張りきらなくてはいけないし、張りきりすぎてもいけませんから」(松澤隆司総監督・鹿児島実業)。

 前回王者は、難しい初戦のキックオフから10分も経たないうちに、自縛をふりほどく。左サイドから抜け出た栫大嗣のシュートを、上田西GK・落合竜司がもう一度、栫の正面に弾いてしまう。栫が、これを再び蹴り込んで先制。この1点が鹿児島実業には落ち着きを、上田西には混乱をもたらした。



初出場・上田西は、大応援団で乗り込んだ。
 初出場校は戦う前から、全国の舞台でディフェンディング・チャンピオンと戦う、そのシチュエーションに緊張を隠せないでいた。3−5−2の両ウイングバックは、キックオフからかなり低いポジションをとり、5バックのような形。戦う前から全身にかかっていた異常なプレッシャーは、相手の先制点で増幅した。粘られてスコアレス・ドローのPK戦という、最悪の状況を回避した鹿児島実業が、そこにフルパワーで襲い掛かる。

「前半の3点が効いた。栫が相手のミスにつけ込んでの1点目。それに2点目は諏訪園が2列目から飛び出しての得点。3点目がセットプレーからの得点。ひとつひとつがそれぞれ、意味のある得点だったと思います」(松澤総監督)

 17分の得点は、永岩貞亮の縦パスを受けた栫がすばやくターンして前に出したボールを、栫がトラップする前から動き出しを開始していた諏訪園良平が蹴りこんだもの。29分には、豊満貴之のコーナーキックを、赤井田侑志が高い打点で頭をあわせて3点目。超高校級のプレーで2点を加えた鹿児島実業は、早い段階でこのゲームの帰趨を、誰の目にも明らかなものにした。

 佐藤隆治レフェリーによって、一方的な前半に終わりを告げる笛が吹かれた。黄色のマフラーを首に巻いた上田西の大応援団は「やれやれ」と思ったか、それとも「まだ40分もあるのか」と思ったか。西が丘の記者席では、鹿児島実業の強さと、上田西の運命について、早々と話が始まっていた。



途中出場の猿渡(14)がファーストタッチで加点。
 ハーフタイムを迎えて、松澤総監督は「ウチだけの問題で言わせてもらうと、後半に上田西がキレてしまうのが怖かった」と言う。投げやりなプレーをする相手からの大量得点など、翌日以降のことを考えれば害でしかない。また、勝負を投げた相手によるラフプレーで選手が故障することなども怖かった。しかし、それは杞憂に過ぎなかった。

 後半のピッチに現れた上田西の選手からは良い意味での開き直りが見えた。そして、後半の開始早々、スルーパスで荒井洋太が左サイドを抜けかかる。ここは、鹿児島実業DFの体を張ったプレーに防がれたものの、ひとつチャンスが生まれたのを機にチームが蘇った。前半、1対1で振り切られていたサイドアタックには、ひとりがチェックに行き、もうひとりが抜けてくるところを潰す。そして、ハイボールに対しては、高さで適わぬまでも体を預けることで、その精度を狂わす。

 前半は相手に外してもらっての0対3、後半は相手に食い下がっての0対2。シュート数も含めて、スコア上は似たような数字が揃ったが、内容的には大差が開いていた。セーフティーリードを築いた鹿児島実業に、中だるみのようなものは確かにあったかも知れない。だが、後半の40分間、上田西の選手たちのプレーにかける気迫もまた、大したものだった。



 前回王者は、まずは好発進。松澤総監督が「ちょっと張りきり過ぎちゃったのかな」と言うとおり、点差が開いてから貰った2枚のイエローカードはもったいなかったが、スピード、高さなどチームの持ち味を十分に見せての5得点だ。「ある程度のレベルまである選手が14人、15人は揃っている。栫、赤尾(公)、西岡(謙太)とそれぞれのポジションに良い選手はいるけれども、前回大会の岩下のようなメンタル面で引っ張っていける選手がいない。それが出てくるかだね」と松澤総監督。忘れてはいけないのは前回大会も似たようなコメントをしていたことであろう。

 さらに松澤総監督は、取り巻く記者陣から、全国大会新入生についての評価も求められた。「点差はこうして開きましたが、非常にフレッシュな気持ちを持って戦うチームでした。最後まで試合を投げずに戦ってくれたことは、明日以降の我々を考えるうえでも助かりました」。公式戦でチャンピオンと戦えるチームなど、数えるほどしかない。今日は確かに完敗を喫した。しかし、山の頂がどれほどの高みなのかを、身を持って体験できた。それは卒業する3年生から、後輩たちに語り継がれていく。そうやって上田西サッカー部の歴史が作られていくのだ。


(鹿児島実業高校) (学校法人上田学園上田西高校)
GK: 溝ノ上一志 GK: 落合竜司
DF: 本城宏紀、西岡謙太(66分/猿渡裕二)、赤井田侑志 DF: 小山裕也、浅川冬馬、南澤祐
MF: 三代将平、永岩貞亮、諏訪園良平、赤尾公、豊満貴之 MF: 佐藤優樹(59分/辰野純)、小澤光、松村康宏、笠原涼太、安部知隼(76分/神田和大)
FW: 栫大嗣(H.T/平田政志郎)、迫田亮介(66分/飯森裕貴) FW: 荒井洋太、宮崎淳貴
<前へ次へindexへ>
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送