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 第84回全国高校サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
前半を終えて0-0。今日も遠野の粘り強さが光る
粘り強さこそ自分たちのサッカー。遠野が名門・東福岡を破る
第84回全国高校サッカー選手権大会 2回戦 東福岡高等学校vs.岩手県立遠野高等学校

2005年1月2日(月)14:10キックオフ 埼玉スタジアム2002 観衆:2000人 天候:曇り時々雨
試合結果/東福岡高等学校0−1岩手県立遠野高等学校(前0−0、後0−1)
得点経過/[遠野]菊池(70分)


取材・文/中倉一志

 1回戦を6−0の大勝で勝ち上がってきた東福岡。中盤の激しいプレスと、球際での強さ、そして、ピッチを左右一杯に使う伝統の展開サッカーの威力を見せ付けての勝利に、選手たちも手応えを感じていることだろう。今年の高校総体準優勝の那覇西が初戦で敗れたために、準決勝までは優勝候補と目されているチームと当たらないというくじ運にも恵まれた。しかし、それも目の前の一戦に勝利してこそのこと。まずは2回戦突破にすべてをかける。

 4年ぶりに全国の舞台に戻ってきた遠野は「胸を借りるつもりで戦う」(松田光弘監督・遠野)という那覇西を2−1で下して2回戦に駒を進めてきた。1回戦で放ったシュートはわずかに2本。80分間のほとんどを那覇西に支配されたが、粘り強く、そして相手の特徴を消してしまう守備でしぶとく勝ち残った。1回戦終了後、「対策は立てていない。これからVTRを確認してから」と松田監督は言っていたが、強豪・東福岡相手にどんな戦いを見せるのかに注目が集まる。



深々と冷え込む埼玉スタジアム。選手の動きも重い
 寒さと雨、そして、中1日での試合のためか、両チームともに体が重い。しかし、それでも両チームともに必死にボールを追い、ゴールを目指す。ボールを支配するのは戦前の予想通りに東福岡。しっかりとボールをつないでターゲットの千代原孝徳に。中央で起点を作ると左右に大きく展開してサイドからゴールに迫る。いつもの東福岡のサッカーだ。1回戦ほどの迫力がないが、それでも丁寧に、丁寧にボールをつないでいく。

 対する遠野は、まずは守備から。相手ボールには、それほどプレッシャーをかけずに後ろに引いて守備陣形を整えて、最終ラインの4人とボランチを含めた6人で中央を固める。引いて守る守備はボールを支配されるものの決定的なシュートは打たせない。それでいて、チャンスと見るや、カウンターとミドルシュートでゴールを狙う。こちらも1回戦で見せた遠野のサッカー。そういう観点では、遠野も狙い通りに試合を進めていた。

 しかし、いつまでたっても試合のスピードが上がらない。1回戦で那覇西を独特のムードに引き込んだ遠野のリズムに東福岡が飲み込まれているようだ。「ボールが動かしきれていない。相手の痛いところにボールが入っていない。いつもとリズムが違うような、リズムを狂わせられているようなサッカーをさせられた」(森重潤也監督・東福岡)。「ボールにも行けていたし、中で弾き返せていたし、大きく崩れてもいなかった。よくやっていた」(森田監督・遠野)。試合はスコアレスのまま後半へと折り返した。



後半勝負は遠野の望むところだ
 後半になっても試合のリズムは変わらない。ボールを支配するのも、相手陣内に攻め込むのも、そしてシュート打つのも東福岡。しかし、そのひとつ、ひとつにリアリズムがない。クロスを上げても精度に欠き、ゴール前に入る人数が少ない。まさに相手の戦い方にはまったという表現がぴったりだ。そんな中、遠野が前に出てくる場面が少しずつ増えてくる。カウンターだけではない。中盤でしっかりと回すシーンも見られるようになっていく。スタジアムを不思議な空気が包む。

 そして70分、遠野がワンチャンスをものにする。東福岡のボールをカットした菊池亮が瞬時にスピードを上げてドリブルを仕掛けた。振り切られる東福岡のDF。そして。ゴール正面で菊池の左足が唸る。次の瞬間、放たれたシュートはゴール右上の、ここしかないというところに突き刺さった。スーパーゴール。GK下野敏幸はノーチャンスだった。呆然と立ち尽くす東福岡イレブン。ボールを持ちながらも攻めあぐねるチームが陥る典型的なパターンからの失点だった。

 東福岡は73分、リベロの原をベンチに下げて最終ラインを3枚に減らして、前線に高橋洋平を投入。前線を2枚に、その下に4枚のMFを並べてパワープレーに出る。しかし、動きにリズムのない中盤は、セカンドボールを思うように拾えずに攻撃が組み立てられない。それでも、77分には千代原が、高橋洋平が決定的なシュートを放ったが、ゴールキーパーのファインセーブに阻まれ、そしてわずかにポストをそれた。そして80分が経過。粘り強さを発揮した遠野が1点差を守りきって3回戦進出を決めた。



最後まで攻め込んだ東福岡だったが遠野の壁は破れなかった
「守るだけではやられてしまうので、前に出て行って、ゴールラインでも、サイドラインでも、とにかくラインを割って終わることを徹底させました。そうすれば相手の攻撃の速さをつぶせますから。でも、彼らが持っている『何か』があるんですね。ずっとこういう試合を続けてきていますので」(松田監督)。1回戦に続き強豪チームを破った遠野は、彼らの持つ「何か」を武器に5年ぶりのベスト8を目指す。

「1回戦で6点も取ってしまって自分たちのサッカーに狂いが生じてしまったのかもしれない」とは森重監督。スピードと展開力あるサッカーは全国の舞台での活躍を期待させたが、それは叶わなかった。「今回は東福岡の伝統のサッカーに加えて、いろんなサッカーに挑戦してきました。上手くいくことも、そうでないこともありますが、伝統を継承しつつも新しいサッカーを取り入れて、また来年、戻ってきたいと思います」。この悔しさは来年はらす。そんな気持ちを胸に東福岡はスタジアムを後にした。







(東福岡高等学校) (岩手県立遠野高等学校)
GK: 下野敏幸 GK: 高橋佳豊
DF: 江崎洋介 原祥太郎(73分/高橋洋平) 藤淳二 大迫慎乃介 DF: 長田真 佐々木勝洋 佐藤那祥 伊藤輝将
MF: 里恵介 棚橋雄介 松井拓也 畠中雅浩 藤嶋圭一朗 MF: 薄井朋也(67分/松尾健) 小島暢明 橋場貴之 千葉竜司
FW: 千代原孝徳 FW: 鈴木秀啓(51分/菅原崇弘) 菊池亮
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