topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 第84回全国高校サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
雨模様の駒場スタジアム。照明には明かりが点された
「スコアーだけでは判らない」。 淞南、真岡の猛攻に耐えて3回戦へ
第84回全国高校サッカー選手権大会 2回戦 栃木県立真岡高校vs.立正大学淞南高校

2006年1月2日(月) 14:10キックオフ さいたま市駒場スタジアム 観衆:2.600人 天候:雨
試合結果/県立真岡高校1ー3立正大淞南高校(前0−2、後1−1)
試合経過/[淞南]松本(12分)、金園(38分)、奥本(73分)、[真岡]佐藤(79分)


取材・文/砂畑 恵

 結果だけをみれば3ー1で立正大淞南が真岡に快勝したと映るだろう。簡単なゴールの流れを言うなら次のようになる。

 立正大淞南の先制点は12分にあったゴール正面のFK。真岡8枚の壁の前に集合写真のように立正大淞南の3選手がしゃがむ。「奇策か?」という雰囲気のスタジアム。松本の右足が繰り出した一撃はいたって「普通」で且つ美しい弾道を描き、ネットに突き刺さった。そして立正大淞南の追加点は前半残り2分という時間帯。本田の縦パスを受けた平山はゴール前をドリブルで横切る。その右側にいた松本へボールが渡ってシュート。クロスバーに当たったボールを金園が頭で押し込んだ。更にトドメとなった3点目は平野が真岡陣内の深い位置で相手ボールをカット。そのままペナルティーエリアに侵入し、フェイントでGK形部のバランスを崩してゴールに流し込んだ得点である。それに対し、真岡の得点はロスタイムに中山のCKを混戦の中で佐藤が叩き込んだ1点で一矢報いたという形だ。

 しかしデータを眺めれば違う表情が見えてくる。シュート数は真岡20本に対し立正大淞南7本。後半に至っては15対1と大差が付いている。ゲーム内容では、前半こそ両チームがほぼ互角も後半は完璧な真岡ペース。いかに立正大淞南が苦しみながらも勝利を手にしたかが判るだろう。そういうことでは立正大淞南は前半あった3つの決定的場面で2得点を入れ、後半の得点に至っては唯一のシュートが得点に結び付いたわけだから、その決定力は見事と言うしかない。



真岡高校の応援団。野太い声でチームを盛り上げたが・・・
 反対に真岡は34分、大貫の縦パスに反応した平山のドリブルからのミドルシュートは、GK竹田のスーパーセーブさえなければゴールとなっておかしくなかった。また58分、大貫のロングシュートはクロスバーに阻まれる不運。67分には豊田のバックラインの裏に通したパスを、懸命に走った大貫が相手DFを追い越してGKとの1対1となった場面では竹田のファインセーブにあった。そういうことでは真岡はチャンスを上手く活かせられなかった感はある。ただそれだけが総てだとは言えない気がする。

 それは真岡にとっての特徴的な戦法を相手に封じられたこと。真岡が相手陣内深い位置で貰ったスローインを武器にしていた節があったからだ。真岡はスローインに関して2パターンの攻撃を持っていた。1つは直接、ゴール前に入れる中山のロングスロー。そしてもう1つは中山が短いスローインで梅沢にボールを渡し、リターンを中山が間髪入れずクロスを挙げるというものだ。

 立正大淞南はこれに対してきっちりと対策を立てていた。殊に真岡はニアにボールを入れる傾向がある。南監督(立正大淞南)の選択は「金園を下げて(相手と)競らせる」こと。ただワンボランチの金園がDFと並ぶ位置に入ってしまえば、ディフェンスラインの前にスペースが産まれる。そこで相手にボールを拾われればゴールに直結しかねない攻撃を受ける危険性はあった。しかし危険を冒してでもロングスローやクロスが入ってくるニアでの競り合いを優先し、その潰し役となる金園と良元が相手に負けないと信じてその守備力に賭けたのだ。

 この点に関して試合後、特段の質問が出たわけではなかったが、真岡・菊池監督自身から「研究してきたなという感じがする」との発言があったことからも、真岡の良さを消されたという気持ちが表れている気がする。



こちらは立正大淞南の応援団。チームとともに3回戦へ
 更に後半、真岡を苦しめたのは立正大淞南の守備が下がってがっちりスペースを埋めてきたことだ。南監督とすればディフェンスラインを上げたい気持ちはあったようだが、前に出る選手と失点を恐れてラインを上げられない選手とがいた場合、意思統一が図れずオフサイドを取れなくなると考え、あえて修正をせずにおいた。その上、ラスト10分のCKでは前線に2人を置くのみで、残る8人は後ろに残す徹底振り。相手の猛攻に耐え続けた守備を「まぐれみたいな頑張りでしたけどね」と、南監督は冗談まじりに話したが、選手の頑張りが実に嬉しそうだった。

 そういうことでは真岡も55分の交代を境に、三村がポジションを高めに取って3バックに移行し、点を奪われるリスク覚悟で前に出た。ただこれだけ守られてはボールポゼッションに勝るも相手を崩すのは至難。そん中でのロスタイムの1点を奪った。「0点で終わるのと1点取るとでは違う。それを後輩達がしっかり目に焼き付けた、次に繋がる1点」とは菊池監督の弁。これを糧にチームに残る生徒と共に雪辱を誓ったに違いない。






(栃木県立真岡高校) (立正大淞南高校)
GK: 形部友明 GK: 竹田雅之
DF: 杉船貴洋 小川亮 中山恵佑 三村和也 DF: 本田晃大 森圭史 良元章浩 岡本彰泰
MF: 豊岡将平 梅沢哲也(70分/助川雅俊) 吉田拓海(54分/中村峻輔) 佐藤弘則 MF: 千賀大樹 金園英学 谷川真一 上原翼(51分/西出憲人)
FW: 小林泰之 大貫洋平 FW: 松本昂樹(70分/奥本雄司) 平野甲斐(76分/永瀬覚)
<前へ次へindexへ>
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送