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 第84回全国高校サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
剛と柔。PK戦にもつれこんだ熱戦を制した野洲が初めてのベスト4
第84回全国高校サッカー選手権大会 準々決勝 大阪朝鮮高級学校vs.滋賀県立野洲高等学校

2005年1月5日(木)14:10 市原臨海競技場 観衆:7,800人 天候:曇り
試合結果/大阪朝鮮高級学校1−1(PK1−3)滋賀県立野洲高等学校(前0−0、後1−1)
得点経過/[大阪朝鮮]趙栄志(55分)、[野洲]瀧川陽(72分)


文・大内孝彦

 今大会出場の48チームのうち、過去に大会を制覇した経験があるのはわずかに4校のみ。市原臨海の2試合目を戦う両チームは、大阪朝鮮は3回戦で国見高校、野洲は2回戦で四日市中央工と、その優勝経験校を降しての勝ち上がりである。ともに今大会が2回目の出場であるのだが、その実力は確かなものと言えるだろう。さて、第1試合の勝者である多々良学園との国立での準決勝に進むことができるのはどちらのチームとなるのだろうか。

 試合開始からしばらくの間は互角であったのだが、前半の半ばあたりからは大阪朝鮮が試合の主導権を握る展開となってゆく。大阪朝鮮の特徴は、相手ボールへの素早い寄せとゴールへの意識の高さ。トップに位置する171センチと比較的に小柄な趙栄志も含めて、忠実に相手ボールへプレッシャーを掛ける。そしてマイボールとなれば、ゴールを目指して直線的に攻めてゆく。この大阪朝鮮の攻勢の前に、なかなか自分達のサッカーをできない野洲だったが、ゴール前ではGK下西を中心とした守備で相手の攻撃をよく食い止めて得点を許さない。結局、両チームともに相手の守備を破ることはできずに、無得点のまま前半は終了した。



 後半、大阪朝鮮は186センチと長身の朴治宣を投入。後半の朴治宣の起用は前3試合同様である。
 前半ほどでは無いにしても、後半も大阪朝鮮のペースで試合は進む。そして55分。大阪朝鮮は金裕士が相手DFをかわしてペナルティエリアに入り込み、マイナスのパス。これを受けた趙栄志が決めて先制した。この後、1点を追いかける野洲と追加点を狙う大阪朝鮮とで試合は攻めあいの様相となってゆく。

 61分、野洲はFWの平石に代えて瀧川を投入。直後の62分には大阪朝鮮がコーナーキックから最後は安泰成がシュートを放つがDFのカバーが間に合ったこともあり、これはゴールマウスを捉えられず。

 そして72分。野洲は、右サイドからのサイドチェンジを受けた乾が平原にボールを戻すと同時に前方のスペースへダッシュ。平原のスルーパスを受けて相手DFの裏へ抜け出した乾はグラウンダーのボールをゴール前へ。このボールに瀧川が右足を伸ばしてゴールへと流し込みゴール。こうして野洲が同点とした。

 この得点の後も、野洲がゲームを支配し、78分にも決定的な場面となったのだが、これは大阪朝鮮のディフェンスが体を張ってシュートをストップ。結局、80分の戦いは引き分けに終わったため、決着はPK戦へと委ねられることとなった。



 PK戦。野洲は1人目のキャプテンの金本がしっかりと決めた野洲に対して、大阪朝鮮の1人目はGK朴寛明。しかしシュートは下西がセーブして野洲が優位に立つ。2人目は両校ともに決めたのだが、大阪朝鮮の3人目が外してしまい、その差が2と拡がってしまう。野洲の4人目の乾のシュートは朴寛明が止めて意地を見せた大阪朝鮮だったが、4人目の沈賢治のシュートはクロスバーを叩き、この時点で勝負がついた。準決勝の国立の舞台に進んだのは野洲高校であった。

 強さを感じさせるサッカーの大阪朝鮮と魅せるサッカーを展開する野洲という好対照の2チームの対戦となったこの試合。このような試合は、スキルの高さが強さに消されてしまうことが多々ある。「柔よく剛を制す」という言葉もあるが、サッカーの試合では生半可な「柔」では「剛」を倒すのは難しいということである。そう考えれば、この試合の結果は、野洲のスキルの高さがかなりのものであるという事を示している。野洲が国立のピッチでどのようなサッカーを魅せてくれるのか、正直なところ楽しみである。






(大阪朝鮮高級学校) (滋賀県立野洲高等学校)
GK: 朴寛明 GK: 下西要
DF: 朴帝宣、沈賢治、安泰成、金裕士 DF: 田中雄大、内野貴志、荒堀謙次
MF: 金泰弘、金大龍(HT/朴治宣)、金俊和、梁泰雄 MF: 金本竜市、中川真吾、楠神順平、乾貴士、平原研
FW: 梁正成(77分/金英龍)、趙栄志 FW: 青木孝太、平石竜真(61分/瀧川陽)
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