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 黄金週間のリスタート 04/05/11 (火) <前へ次へindexへ>
上田栄治・日本女子代表監督の目に止まった選手は果たして?
黄金週間のリスタート(2)


取材・文/西森彰

 この日(5月3日(月))のリコー・グラウンド第1試合は、日テレ・ベレーザと東京女子体育大学の対戦だ。日テレは、半月板を傷めた澤穂希をはじめ、日本女子代表のメンバーは全てベンチに残す若手中心のメンバー構成だ。前日の早稲田大学戦では1対1の引分け。この試合に勝たなければ、グループリーグ突破に黄色信号が灯ってしまう。

 彼我の力関係を考えて、2トップ以外の8人でゴール前に壁を作って守り倒す東京女子体育大。開始5分、山口麻美のゴールで先制した日テレだが、なかなか追加点を奪えず、イライラする展開。それでも集中力を切らさず、大きなサイドチェンジで相手の守備ブロックに足を使わせたことが後半になって効き始め、足の止まった東京女子体育大から大野忍、永里優季らがゴールを重ね、5対0で振り切った。

 日テレは6名の代表選手を擁し、上田監督がひとつのブロックとしている「25人」まで枠を広げるとさらに3名が加わる。「代表にあれだけ選手を持っていかれると、さすがにきついんじゃないですか?」と日テレの宮村正志監督に尋ねると「そうですね。だから残った選手がちゃんとやってくれないと困るんです」と笑顔で答えが返ってきた。その視線の先には大野、山口ら、台頭著しい若手がいる。



 第2試合は、神奈川大学と日テレ・ベレーザの妹分である日テレ・メニーナ。序盤こそ体格差でゲームを押し気味に進めた神奈川大だが、ユニバーシアード東日本代表チームに5人を供出した影響は大きく、最後の場面で呼吸が合わない。それに対して前半をチーム一丸のプレスで凌ぎきったメニーナは、後半に入ると徐々に決定機を生み出していく。そして後半21分、12歳のFW・嶋田千秋の挙げた得点で1対0と勝利した。

 敗れた神奈川大の鎌田俊司監督には、全日本女子サッカー選手権でTASAKI(当時は田崎)ペルーレFCに完敗した時のような笑顔は無い。試合内容に納得がいっていない様子だ。どうしても「もっとできるはず」という悔しさが先に立ってしまうのだろう。

「今回は矢野(矢野喬子)、稲葉(稲葉彩衣里)など5人がユニバー(ユニバーシアード東日本代表チーム)に持っていかれています。せっかく、こうやって強いチームと何試合もできるフェスティバルだったので、ベストメンバーでやりたかったですね。今日、出た子たちは、レギュラー組と比較するとまだまだ気持ちの面で弱い部分があります。選手全員が出場できることは良い点なので、今回はそこに収穫を求めて、インカレまでには仕上げたいと思っています」(鎌田監督・神奈川大)

 続く第3試合は、YKKAP東北女子サッカー部フラッパーズと日本体育大学の対戦。日本体育大もエースFWの丸山桂里奈がユニバーに引き抜かれている。ベンチのスタッフ、選手たちは懸命に鼓舞したが、キックオフから終始YKKのペースで試合は運ばれる。元日本女子代表・佐藤春詠の2ゴールなどで3対0の完勝。昨シーズン途中で放棄した3バックにもう一度トライしているYKK。この大会で決勝戦まで進み、まずまずの仕上がりを見せた。



ベストメンバーを揃えた日テレ・ベレーザは、ユニバーシアード東日本
代表を一蹴。
 第4試合からはグループリーグの最終戦となった。まずは1勝1分けの日テレ・ベレーザと、日テレがドローに持ち込まれた早稲田大学に勝って2連勝のユニバーシアード東日本代表による、決勝トーナメント進出を賭けたゲーム。日テレは澤穂希を除く代表選手全員を投入したフルメンバーで臨み、引分けでも決勝トーナメント進出が決まるユニバー代表も、日の丸候補のプライドで真っ向から立ち向かう。

 一進一退の攻防から、29分、先手を奪ったのは日テレ。後方からのボールを受けた永里が一瞬にしてDFと体勢を入れ替えて抜け出し、確実にゴールネットを揺らした。この日は相手関係もあったか、独力突破の際の力強さが増して見えた。もっとも本人は「いや、全然。外し過ぎ、ぶつけ過ぎです」と不満な顔を覗かせる。GKを見ないで自分のタイミングでシュートを放つスタイルは、一昔前の久保竜彦そっくり。「(アテネの本大会に)選ばれるためにも結果を残さないと」とU-19代表で一暴れを期している。

 北朝鮮戦で大活躍だった荒川恵理子も後半に2得点と手がつけられない。「いやぁ、ガンはどんどん良くなってきていますね。もう、あの試合で完全に自信をつけちゃったなぁ」と上田栄治・日本女子代表監督が感嘆したように、プレーに思い切りがある。それはシュートやドリブルだけでなく、相手に詰める際の判断などにも全く迷いが無い。若手を叱咤激励し、さらにプレーで引っ張る酒井與惠、小林弥生らもいる。永里のゴールで緊張の切れた相手に4対0の完勝だった。



日テレ・メニーナは、さいたまレイナスFCを相手に、堂々とした戦いを
繰り広げた。
 5試合目はSAITAMAフェスティバルの主催チームであるさいたまレイナスFCに、日テレ・メニーナが挑んだ。どちらもASエルフェン狭山FCと神奈川大を降し2勝。引分け以上で決勝トーナメント進出が決まる。

 山郷のぞみ、安藤梢という代表組も入ったフルメンバーのさいたまに、平均年齢14歳の少女たちは自分にできる精一杯のプレーをぶつけた。神奈川大戦と同じスターティング・メンバーで戦うメニーナには、2試合目の疲労がより大きかったはずだが、そんな素振りは全く見せなかった。とにかく粘り強く戦う。自分のマークは決して外さず、抜かれても追いかけて後ろのサポートに加勢する。

 一回りも違う子供たちとのゲームで、さいたまの選手たちにやりにくさはあっただろう。それでもさいたまの田口禎則監督をして「お前ら、相手は中学生なんだぞ」と嘆かせたメニーナの健闘ぶりはこの日のハイライトだった。4枚の選手交代を行なったさいたまの猛攻を、メニーナの11人は80分間(この大会は前後半40分というレギュレーション)を無失点で抑えきり、決勝トーナメント進出を飾った。準決勝はYKKに0対1で敗れ、3位決定戦でも姉貴分の日テレ・ベレーザに大敗を喫したが、少女たちはこの大会で大きな自信を掴んだに違いない。




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