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 黄金週間のリスタート 04/05/19 (水) <前へ次へindexへ>
悪条件下のゲームは柳田美幸のゴールで、TASAKIが辛くもモノにした。
黄金週間のリスタート(4)


取材・文/西森彰

 忍びの里レディーストーナメント2日目の5月4日(火)は、午前中にグループリーグ最終戦が、そして2時間のインターバルを置いた後に順位決定トーナメントの初戦が行なわれる。優勝を争う1位トーナメントに参加したのはTASAKIペルーレFC、宝塚バニーズレディースSC、スペランツァF.C.高槻、そしてホームの伊賀FCくノ一。L1の4チームが順当に勝ちあがった。

 陸上競技場でTASAKI対宝塚、球技場で伊賀対高槻という組み合わせになったが、強風を伴う強い雨脚を前にしては、吹きさらしの球技場には足が向かない。陸上競技場のカードを観戦することにする。TASAKIの仲井昇監督、宝塚の高藤順監督も「いやぁ、寒い、寒い。実際にプレーするほうがもっと大変なのは分かっているけど、『もう、適当にやって』と言って部屋から出たくないわ(笑)」と黒雲に覆われた空を恨めしげに見つめる。

 午前中の蒸し暑さも消え、ただ寒さだけが募る悪条件の中、地力に勝るTASAKIがボールを支配するが、縮こまった足がボールについていかなかった。前半は両チームとも無得点で終了。ハーフタイム。雨の中、ピッチ上で押しくら饅頭をしながら体を温めるTASAKIのプレーヤーに対し、宝塚は一旦、全選手がロッカーに引き上げて暖を取った。時間になっても出てこない宝塚に対し、TASAKIの選手たちからは文句が出たが、あの雨の中に戻りたくない気持ちは良く分かる。

 後半に入って鈴木智子、大石沙弥香の2トップを大谷未央、渡辺千尋に代えたTASAKIは、相手ゴール前での混戦から、最後は柳田美幸が詰めて先制。虎の子の1点を手に入れ、ようやく逃げ切った。試合終了後「ベストメンバーのTASAKIとゼロイチ(0対1)。大谷を引きずり出して、代表の5人は全部出てたからな。控えじゃないよ」と笑顔の高藤監督以外は、皆、顔を引きつらせていた。全力でロッカールームに走る両チームの関係者からは、とてもコメントを拾える状況ではなかった。



常盤木学園を逆転で破った新潟はお馴染みのユニフォーム。
 最終日の5月5日(水)は一転、晴れ間も見えた。第1試合は3位トーナメントの優勝決定戦。アルビレックス新潟レディースと常盤木学園の対戦である。常盤木は、高校女子サッカー界の名門校。「タテに放り込むようなサッカーをみんながやっていたら、日本はいつまでたってもアメリカやドイツ、ナイジェリアなんかには勝てない」とは、昨年の高校女子選手権の取材で話を聞いた阿部由晴監督のセリフ。今年も、3−3−3−1の布陣で、きっちりとビルドアップするチームスタイルだ。

 胸を貸す立場の新潟は、全日本女子選手権の時と同じ4−4−2。さいたまレイナスFCから片桐ひろみを補強し、センターバックは片桐とヴァネッサ。屋富祖綾乃が右に回り、岡林亜希代だけが従来どおり左のポジションを守る。新潟の守備の再編成はまだまだ未成熟なようで、常盤木の初見尚美にラインの裏を突かれてあっさりと先制点を喫した。新潟も相手ゴール前でショートパスを交換、藤巻藍子が放ったシュートが常盤木GK・大谷明香の好セーブにあったが、これを大堀幸恵が詰めて同点に追いつく。

 タイスコアで入った後半、勝ち越したのは常盤木。センターFWの鮫島彩が右サイドに流れてドリブルで突破。中央に折り返したマイナスボールを途中出場の田中明日菜が決めた。L・リーグの威信に賭けて負けられない新潟は、セットプレーのチャンスから藤巻が頭で決めて再び追いつく。試合が決したのは後半の38分(40分ハーフ)。常盤木の選手交代で生じたマークのズレを藤巻が突いて勝ち越しのゴールを挙げた。

「前半は良く戦えるんだけれど、後半がちょっとなぁ」と嘆息した阿部監督だが、高校女子は通常35分ハーフ。40分ハーフの条件下で高槻、新潟のL・リーグ勢と1点差ゲームを演じた経験は、今後生きてくるに違いない。勝った新潟は、結果だけを見れば不本意な大会成績だったかもしれないが、シーズン前に課題を洗い出せたという点ではプレ・シーズンマッチの機会を生かせたと言えよう。



試合前、戦術の確認をする本田美登里監督(岡山湯郷Belle)と選手たち。
 2位トーナメントの決勝はL2の岡山湯郷Belle、同じL2のルネサンス熊本をベースにする熊本国体選抜の対戦。両チームとも前日に続いての観戦になった。試合はキックオフから岡山湯郷が押し気味のうちに展開し、宮間あやのPKで先制する。熊本も後半、佐藤恵利子のフリーキックから寺澤希のヘディングシュートで同点に追いついたが、そこまで。切れに切れる宮間がドリブルで4人抜きからのミドルシュート、そして2本目のPKでハットトリックを達成。岡山湯郷が3対1で勝利した。

 宮間は昨年の女子ワールドカップ・アメリカ大会にもチーム最年少選手として参加し、カナダ戦の終盤でピッチに送り出された。この忍びの里レディーストーナメントでは、大谷未央らを抑えて、6得点で得点女王の座を手に入れた。前日に続いて動きをチェックしていた今泉守正・U-19日本女子代表監督も、宮間のデキには手応えを感じたことだろう。大会ベストGKに選ばれたのも岡山湯郷の福元美穂。元日本女子代表の本田美登里監督の指導によって、チームは一歩一歩着実に成長している。若手が多いだけに、これからが本当に楽しみだ。






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