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 第25回全日本女子サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
 L・リーグ4位のさいたまレイナス。目指すは国立のピッチだ。
目指すは国立。さいたま、順調な滑り出し。
第25回全日本女子サッカー選手権大会 2回戦 北海道文教大学明清高校vs.さいたまレイナスFC

2004年1月12日(月・祝)13:00キックオフ 東平尾公園博多の森球技場 観衆:130人 天候:曇
試合結果/北海道文教大学明清高校0−7さいたまレイナスFC(前0−3、後0−4)
得点経過/[さいたま]安藤(21分)、岩倉(29分)、笠嶋(39分)、岸(48分)、木原(58分)、安藤(69分、76分)


取材・文/中倉一志

「L・リーグと対戦することをひとつの目標にしてきた。守りっ放しとかにはしたくない。北海道のレベルがどこまで戦えるのかというのを見たい」

 1回戦終了後に、そう話してくれた高崎裕治監督(道文教大明清高)。この日も、いつもの4−4−2のフォーメーションで試合に臨む。対戦相手は前回大会3位、今年のL・リーグ4位の「さいたまレイナス」だ。1回戦で見せた高い技術と、ボールを正確に捉えるキックの確かさを武器にL・リーグの強豪に挑む。

「L・リーグでやっているというプライドを持つこと。そして、やはりL・リーグのチームは違うんだという、目標になるような戦い方をしないと相手にも失礼」

 田口禎則監督率いる「さいたま」も全力を挙げて道文教大明清高戦に臨む。フォーメーションは3−4−2−1。前線に岸が張り、2列目から日本代表の安藤梢と、木原梢が交互に前へ飛び出してゴールを狙う。高い位置から縦へ突破してくる赤星も相手にとっては脅威だ。そして日本代表の不動の守護神、山郷のぞみを中心にゴールを守る。



 パンチングでピンチをしのぐ澤田(道文教大明清高)
 L・リーグ相手に高校生がどこまで戦えるか。観客の注目を浴びた試合で道文教大明清高はまずまずの立ち上がりを見せる。「さいたま」を誘い込むように、やや低めに構える道文教大明清高は、自分たちのゾーンに入ってくる「さいたま」の選手をしっかりと捕まえて中盤の自由を与えない。そしてボールを奪うと、そのままラインを押し上げて前へ出る。引きすぎず、かといって前がかりにならず、微妙なバランスを保ちながらゲームを進めている。しかし、相手はLの強豪。さすがに攻め込むまでには至らない。

 一方、地力にまさる「さいたま」は、開始直後からボールを一方的にキープ。ボールをピッチ一杯に動かして道文教大明清高の隙をうかがう。しかし、こちらも相手に脅威を与えるほどの攻撃ができない。「ゴールに向かっていく、チャレンジするっていうのが感じられないサッカー」(田口監督)。ボールポゼッションは高いものの、縦への勝負が仕掛けられない。どちらかというとボールを持たされている感さえある。

 仕掛けどころを見つけられず、相手の出方を伺う両チーム。不用意に攻めれば確実に逆襲にあい、引きすぎれば相手の思う壺。互いに我慢の時間帯が続く。そんな試合の先制点は21分、「さいたま」に生まれる。岩倉からのロビングボールに、前線へ飛び出した安藤が右足を合わせた。そして、このゴールが試合を大きく動かすことになる。それまで微妙なバランスを保っていた道文教大明清高の運動量が落ち、「さいたま」の後手を踏み出したのだ。



道文教大明清高にも攻め込む時間もあったが実力差を埋めることが
できなかった。
 じりじりと下がってしまった道文教大明清高は中盤でのブレスはおろか、ボールホルダーに対しても身体を寄せることがかなわない。中盤の自由を得た「さいたま」は、以前にも増してボールを大きく動かし、そして縦方向のパスが入りだした。こうなってしまっては「さいたま」の一方的なペース。道文教大明清高は的が絞れず振り回される展開が続く。「さいたま」の追加点は29分、岸のシュートがペナルティエリア内にこぼれたところを岩倉が押し込む。そして39分には、右からのCKに笠嶋が合わせて3点目。試合は前半で決まってしまった。

 連戦の影響からか、後半に入ると道文教大明清高の運動量が一気に落ちた。そして「さいたま」が波状攻撃を繰り出した。48分、ゴール前の混戦でチャンスを得ると、岸が難しい体勢から右足を振り抜いて4点目をゲット。58分には赤星、岩倉とつないでゴール前へ。最後はこぼれたボールに木原が豪快に右足を一閃、ゴールネットを揺らす。さらに手を緩めない「さいたま」は、69分、76分に安藤が決めて7−0。終わってみれば道文教大明清高に付け入る隙を与えないままに準々決勝進出を決めた。

「(こういう結果を)多少は予想していた」とは高崎監督。L・リーグのチームとの間にある差は大きなものだった。しかし、それにしても残念だったのは、道文教大明清高の運動量が後半に入って極端に落ちたことだ。前日の吉備国際大学との激しい試合の影響であることは明らか。時間とともに選手たちは孤立し、連係プレーが影を潜めた。「どこも同じ条件だから」。高崎監督は言い訳を口にしなかったが、できることならフィジカル面で対等な条件で戦わせてみたかった。



 勝負が決まっても、「さいたま」は攻撃の手を緩めなかった。
 7−0という大敗を喫した道文教大明清高。高崎監督はL・リーグとの差を「スピードがまず違うことと、体の使い方がうまいこと。あとは正確な球回し、ボールタッチ」と語る。そして、「Lのチームは、いいところを周りが引き出してやるような動きができてる。そこら辺の部分がこっちは足りない」とも。これが来シーズンに向けての道文教大明清高の課題になる。「高校選手権でファイナルまでいけるようなチーム作りを目指していきたい」と語る高崎監督。この日の経験は大きな財産になったに違いない。

 さて、順当に準々決勝に駒を進めた「さいたま」。「相手に対しておごるような気持ち、なめるような気持ちがある選手は、レイナスの選手としては必要ない」という田口監督の日ごろからの教えを守り、丁寧に、そして大きくボールを動かして最後まで力を抜かずに戦い抜いた。実力差のある相手との試合は、ややもすると雑なサッカーになりがちだか、自分たちのやるべきサッカーを貫き通せたことは、今後の戦いに向けて収穫になったことだろう。

「さいたま」の準々決勝の相手はYKK。今シーズンは4回対戦してまだ負けがない。しかし、油断は禁物。一発勝負のトーナメントならではの難しさもある。「女子サッカーが存続するためには、自分たちのようなクラブチームが頑張っていかなければいけない。ボールを大きくまわすことができればレイナスの勝機がある」。自分たちのサッカーを実践すること。それが準々決勝の鍵になる。「目標は国立で戦うこと」(田口監督)。「さいたま」は、その第一関門を突破すべく、18日に駒場で迎え撃つ。


(北海道文教大学明清高校) (さいたまレイナスFC)
GK: 澤田法味 GK: 山郷のぞみ
DF: 波佐谷唯 浮田あきな(69分/大石早希子) 小森有華 石川このみ DF: 田代久美子 笠嶋由恵(47分/仲希理子) 西口柄早
MF: 坂本珠梨 中野真奈美 目黒宝 白浜亜美 MF: 高橋彩子 木原梢 赤星照美 安藤梢 片桐ひろみ(40分/山本有里) 岩倉三恵
FW: 神成美紀 福庄希実 FW: 岸一美(58分/中池桃子)
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