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 第25回全日本女子サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
 来場者の多くは、地元のクラブ・さいたまレイナスFCの応援か?
さいたま、消化不良の内容でも公式戦6連勝。
第25回全日本女子サッカー選手権大会 準々決勝 さいたまレイナスFCvs.YKK AP東北女子サッカー部フラッパーズ

2004年1月18日(日)13:30キックオフ さいたま市駒場スタジアム 観衆:354人 天候:晴
試合結果/さいたまレイナスFC2−0YKK AP東北女子サッカー部フラッパーズ(前半1−0、後半1−0)
得点経過/[さいたま]岩倉(1分)、岸(60分)


取材・文/西森彰

 昨年の第24回大会ではともに準決勝で涙を呑んださいたまレイナスFCとYKK AP東北女子サッカー部フラッパーズ。そのリベンジの舞台と女王・田崎ペルーレFCへの挑戦権を賭けて、さいたま市駒場スタジアムのピッチに姿を現した。どちらも博多の森球技場からの転戦だが、さいたまにとって駒場はホーム。第1試合から100人ほど数を増した観衆の過半数は、さいたまの準決勝進出を願っていたはずだ。

 2回戦でA・Sエルフェン狭山FCを一蹴し「埼玉ダービー」のシチュエーションを打ち砕いたYKKは、ここでは格好の敵役だ。リーグ戦では昨季4回対戦してさいたまの2勝2分。「前半は失点しないということ。後半に勝負をかけていく」と2回戦終了後に語ったYKKの齋藤誠監督の気持ちも理解できるだろう。だが、指揮官の思い通りにいくゲームなんて一握りだ。

 試合開始直後の1分、さいたまディフェンスラインからのフィードを、1トップの岸一美が右に流れて受けると、これをセンタリング。ペナルティエリア内で岩倉三恵が1タッチでコントロールし、右足でYKKのゴールに叩き込む。齋藤監督の「抑えて後半勝負」というゲームプランは、キックオフから僅か90秒であっという間に破綻した。ところが、この1点はさいたまの田口禎則監督が脳裏に描いていたパズルをもひっくり返したのだ。

「1点取るのが早すぎた。ウチは相手のチャレンジを受けるようなサッカーに慣れていないから」(田口監督)

 さいたまのサッカーがバタバタしはじめた。後方のパス回しに参加するために中盤の選手が下がったところで、縦に大きく蹴ってしまう。逆に陣地を回復するタッチキックが欲しい場面で無理につなごうとする。L・リーグの終盤から公式戦5連勝中のさいたまだが、前半をリードして終えたのは1週間前の北海道文教大学明清高等学校戦だけ。慣れない役回りに対する焦りや違和感のようなものがあったのか。

 高橋彩子の1ボランチシステムを敷くさいたまだが、2列目の安藤梢が高橋の横まで下がって防戦を強いられる。記者席からはシステム変更したかに見えたほどだ(試合後、田口監督にこの点を尋ねて「ウチのボランチはひとりだよ!」と怒られるオマケがついたが)。上手くいっていないのは明らかだった。



日本代表のキャプテン・大部由美は、この日もその右足からチャンス
を作った。
 得意のセットプレーから2点目を奪っても、さいたまのパフォーマンスは上がらなかった。逆にYKKの攻撃は、いっそう激しさを増した。その起点となったのは右サイドの高橋唯だ。リーグ戦では途中出場が目立ったこのスーパーサブは時計が進むとともに、危険度を増していった。さいたまの深いタックルを恐れずドリブルでチャレンジして、相手からファールを奪い取る。

 82分のプレーは両チームの気持ちを象徴していた。大部のフリーキックに対して壁に入ったさいたまの選手ふたりが、ズルズルと自分たちで後ずさりしていくのだ。ベンチの田口監督は大声で叫ぶ。「ほら、そんなに下がらない。怖くないよ」。しかし、前半に、唸るような弾道を見せられているさいたまの選手には、指揮官の声も届かない。既に、気持ちの上では追う者が、追われる者を食っていた。

 83分、左サイドを突破した槇寛美からのクロスをボレーであわせた高橋のシュート。そしてロスタイムに2回、途中出場した本間真喜子のもとを訪れたチャンスなど、YKKがスコアを記してもおかしくないシーンはあったが、日本女子代表の正ゴールキーパー・山郷のぞみの守るさいたまのゴールをこじ開けることはできなかった。



 齋藤監督は「(失点が)あまりにも早い時間帯だったので、逆に、前半のうちに1点取れれば(もっときわどい勝負に)持ち込めたのかもしれません。途中でサイドから良い形が作れてはいたんですが、最後の部分が…」と語った。最終節の田崎戦同様、失点に浮き足立つことなく、追いかけた内容そのものにはある程度満足しているようだったが、遠いゴールへのもどかしさも伝わってきた。

「今シーズン途中で4バックから3バックに変えたんですが、選手たちが良く対応してくれました。後半に1点取った田崎戦(上位リーグ第5節・11月16日)から変わりましたね。伊賀戦(同第6節・11月23日)が2−3。次のベレーザ戦(上位リーグ第7節・11月30日)に勝った。それからだんだん調子が上がって、この全日本女子に乗り込んで、狭山に勝ったんですが…。まあ、これからまた少しずつ上げていきます」

 東日本リーグの覇者として、来シーズン、華麗な復活を見せてくれることを期待したい。



 試合終了後、選手たちのクーリングダウンに参加してコミュ二ケー
 ションをとる、さいたまの田口禎則監督。
 さて、苦しい中、勝利を手にしたさいたまの田口監督は「今日は皆さんにコメントができるような内容ではありません。やらなければいけないこと、目指していること。それが全くできなかった」とまるで敗戦の弁。苦戦に陥った原因については「まだ受けて立てるような力がついていない。それは技術的な部分とか、気持ちの部分でもあるんだけれども…」と経験値の少なさを挙げた。

「第1試合で田崎さんが、きちんとした狙いのあるサッカーをした後に、こんなゲームをしてしまって…。まあ、堕ちるところまで堕ちたと。それでも今日、勝てたということはもう1試合戦うことができるということなので、この1週間で修正できる点は修正したいと思います」

 自嘲気味な言葉が尽きない田口監督だったが、次の試合は幸いにも受身で構える立場にはない。チャレンジャーになった時に、最終節の日テレ・ベレーザ戦で見せたような、粘り強い戦いを取り戻せるか。田崎との準決勝に期待したい。







(さいたまレイナスFC) (YKK AP東北女子サッカー部フラッパーズ)
GK: 山郷のぞみ GK: 内田由布子
DF: 田代久美子、笠嶋由恵、西口柄早 DF: 大部由美、宇野涼子、梅原美砂子
MF: 片桐ひろみ(84分/山本有里)、高橋彩子、赤星照美、木原梢(86分/仲希理子)、安藤梢、岩倉三恵 MF: 高橋唯、北郷裕子、鹿毛亜希子、槇寛美、染矢晴海(68分/本間真喜子) 、五十嵐章恵
FW: 岸一美 FW: 佐藤春詠
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