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 第25回全日本女子サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
 願いは女王の座を奪回すること。昨年同様、田崎と雌雄を決する。
日テレ、伊賀に貫禄勝ち。2年連続決勝へ!!
第25回全日本女子サッカー選手権大会 準決勝 日テレ・ベレーザvs.伊賀フットボールクラブくノ一

2004年1月24日(土)14:00キックオフ 国立スポーツ科学センター西が丘サッカー場 観衆:591人 天候:曇
試合結果/日テレ・ベレーザ3−0伊賀フットボールクラブくノ一(前0−0、後3−0)
得点経過/[日テレ]近賀(55分)、大野(73分)、井関(82分)


取材・文/中倉一志

「この大会でしっかり勝って、チャンピオンを取って、まだまだベレーザは強いんだというのを証明して今シーズンを終わりたい」(宮村正志監督・日テレ)。

 2冠を狙った昨シーズン、シーズンを通して無敗のままで全日本選手権の決勝を迎えたが微妙なゴールの判定で女王の座を田崎に奪われた。チームを作り直して臨んだ今シーズンは、最後まで田崎と優勝を争いながら後一歩が届かなかった。日本女子サッカー界の女王として君臨してきた日テレにとって、3大会連続でタイトルを逃すなどプライドが許さない。宮村監督の言葉にはそんな強い意志が表れていた。女王の座の奪回まで後ひとつ。日テレは意地とプライドをかけて25日の決勝戦に臨む。



 この日も抜群の存在感を発揮した酒井(6)。彼女の存在なくして
 ベレーザの中盤は語れない。
 準決勝の立ち上がりにも日テレのそんな気持ちが表れた。準々決勝の岡山湯郷戦では酒井をワンボランチにするダイヤモンド型の中盤で臨んだが、この日はシーズン中と同じ小林、酒井がダブルボランチを組む4−4−2。しかし、セーフティに立ち上がりながらも中盤では激しくプレッシャーをかける。伊賀の狙いは左右をワイドに使う攻撃。すばやいプレスでその狙いを封じ込めにかかる。そして頻繁にポジションチェンジをして奪ったボールを伊賀ゴールへ運ぶ。

 対する伊賀も、ひるむことなくプレス合戦に挑む。「高い位置からスモールフィールドを作って、コンパクトなゾーンを保って相手に自由にやらせないのか狙い」(江川重光監督・伊賀)。テクニックの高さなら日テレの右に出るチームはいない。その武器を封じ込むべく、ボールホルダーに激しくプレスをかけていく。そして15分を過ぎたあたりから日テレを押し戻すシーンが増えていく。押し込まれたら押し戻す。試合は一進一退の攻防が続く。

 そんな試合のポイントとなると見られていたのが両サイドの攻防。伊賀のワイドな攻撃が機能するか否かで試合の行方は大きく変わる。そして、その攻防を制したのは日テレだった。

「こういう風に相手はやってくるだろうという感じは掴んでいた。(その対策が)一応、出来たので自分たちのペースで進められた」
「(サイドを)使わせてもらえなかった。ボールへのよせが早かったんで、そこから中々局面が打開できなかった。いつもの幅広い攻撃が出来なかった」(江川監督)

 少しずつ伊賀のプレスが緩み、日テレの選手を捕まえる位置が少しずつ下がっていく。しかし、それでも粘り強い守備を見せる伊賀は最後の砦は譲らず、そして日テレも攻め切るまでには至らない。試合はスコアレスのまま前半を終えた。



 近賀のスーパーゴール。これで流れは一気にベレーザに。
 試合が動いたのは55分、近賀のスーパーゴールがゴールマウスを捉えた。ペナルティエリアの外、右側の地点で得た直接FK。距離にして20メートルはあっただろうか。近賀が右足を振り抜くと、伊賀が作った10枚の壁を破ってゴールネットを大きく揺らしたのだ。

「あの1点が(先制点)大きかった。みんなの気持ちがああいうゴールを引き込んだ」(宮村監督)
「1点取られてしまうと非常に消極的になるというか、そういう部分がどうしても出てくる。焦りも出た」(江川監督)

 この1点で試合の流れは大きく日テレに傾いた。高い技術を駆使して中盤で流れるようにショートパスをつなぎ、奪ったボールを確実に伊賀のゴール前まで運んでいく。そして、反撃を試みようとする伊賀に対しては、堅固な最終ラインと、中盤で要所を抑えるディフェンスでチャンスを与えない。伊賀はトップの井坂と右サイドの山岸のポジションを代えて打開を図ったが、それも効果は現れなかった。試合の流れは完全に日テレのもの。伊賀にとっては閉塞感ばかりがつのる試合展開になっていく。

 72分、伊賀は左サイドのMF吉泉に代えて中川を投入。中川をトップ下に、那須を左サイドに出して最後の反撃に出る。しかし、その交代を尻目に日テレが決定的な2点目を奪う。73分、伊藤が中央をドリブルで上がってスルーパス。このボールが抜群のタイミングで飛び出した大野の足元へ。大野は落ち着いてゴールに流し込んだ。さらに82分、途中出場の井関が二アサイドに飛び込んでダイレクトシュート。駄目押しの3点目を奪って伊賀を突き放した。



 伊賀は悔しい3位。この雪辱は来シーズンに果たす。
「前半、ちょっと悪い時間帯もあったが、その時間を凌いでいければ必ず自分たちにチャンスが来るとみんな考えていた。(悪い時間帯も)自分たちのミスからリズムを壊してたっていうところだったんで、大事にプレーしていけば自分たちのペースでやれると思っていた」(宮村監督)

 立ち上がりの時間こそ苦労したが、終わってみれば日テレの完勝。伊賀に攻め込む隙を与えなかった。高い集中力と強い精神力で奪った勝利。それは、彼女たちの女王奪回にかける強い意志の表れでもある。「(決勝戦は)1点を争う戦いになる。非常に厳しい戦いになることは間違いない。でもリーグ戦では負けていないんで、自信を持っていけば。(リーグ戦と)同じような試合が出来れば結果は後から付いてくる。勝機はある」。力強く語る宮村監督。女王奪回まで後ひとつだ。

 さて、敗れた伊賀。「全てに対して、いい勉強をさせてもらいました。スモールフィールドにしてコンパクトに、相手に自由にやらせないという狙いは出来たんですけれど、そこから、もうひとつ良い形で奪えなかった。その辺が今後の課題」と試合を振り返った。準決勝に臨むにあたって「先制点と両サイドを使った攻撃がポイント」と語っていたが、そのサイド攻撃を日テレに徹底的に封じ込まれてしまい、勝機を見出すことが出来なかった。

 厳しい環境の中、上野市をはじめ、関係者やサポーターに支えられて過ごした1年。しかし、残念ながら5年ぶり3回目の優勝へは手が届かなかった。「この悔しさを忘れずに来シーズンに向かっていかなければいけない。何をしていかなければいけないのかということを選手自信も頭に入れて、やっていかないといけない。まだ終わりじゃない」(江川監督)。この悔しさは来シーズンに結果を残すことでしか晴らすことは出来ない。伊賀の新たなチャレンジが始まる。


(日テレ・ベレーザ) (伊賀フットボールクラブくノ一)
GK: 小野寺志保 GK: 小林舞子
DF: 戸崎有紀(85分/中地舞) 須藤安紀子 四方菜穂 豊田奈夕葉(88分/岩清水梓) DF: 藤村智美 馬場典子 宮崎有香 仁科賀恵
MF: 酒井與恵 伊藤香菜子(77分/井関夏子) 小林弥生 近賀ゆかり MF: 吉泉愛(72分/中川愛美) 宮本ともみ 那須麻衣子 山岸靖代
FW: 大野忍 山口麻美 FW: 井坂美都 原歩
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