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 第26回全日本女子サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
日テレイレブンと子供たち。
日テレ、新興勢力の挑戦を退け、ライバルの待つ西が丘へ。
第26回全日本女子サッカー選手権大会準々決勝 日テレ・ベレーザvs.アルビレックス新潟レディース

2004年12月12日(日)13:30キックオフ ひたちなか市総合運動公園陸上競技場 観衆:人 天候:雨
試合結果/日テレ・ベレーザ5−0アルビレックス新潟レディース(前半1−0、後半4−0)
得点経過/[日テレ]酒井(27分)、豊田(52分)、近賀(68分)、大野(71分)、伊藤(73分)


取材・文/西森彰

 2003年の地域リーグを圧倒的な力で制して、鳴り物入りでL・リーグに参戦したアルビレックス新潟レディースは、今季、岡山湯郷Belleに次いで2位でL2リーグを終了した。そして、この全日本女子選手権は、1回戦で広島フジタレディースSCに圧勝。2回戦では、昨年、敗れたL1チーム・スペランツァF.C.高槻に2対1と競り勝って、この準々決勝に進出した。

「(『連戦の不利は気になりませんでしたか?』)いえ、こういうスケジュールはトーナメントでは良くあることですし、あまり気になりませんでした。むしろ、こっちは同じ会場で1試合やっていて、向こうが大会初戦ということで固くなっていた、勝てたのは、そんな影響もあったんだと思いますね。今日の目標ですか? 一桁失点です(笑)」(牛浜真監督・新潟)

 これを迎え撃つのは、INACレオネッサを破って、今大会を立ち上がった日テレ・ベレーザ。もちろん、目指すは元旦・国立の舞台。2年連続準優勝に終わっている悔しさを晴らさねばならない。その日テレの10番を背負う澤はAFCの年間女子最優秀選手に選出された。この日は、マレーシアでの授賞式からトンボ帰りでの参戦。試合を前に、花束のプレゼントを受け取った。

 1試合目から、さらに雨足が強まったひたちなか市総合運動公園陸上競技場。煙るピッチ上に散ったオレンジとモスグリーンのユニフォーム。Jリーグでも同一カテゴリーでの戦いを始めた両クラブの女子チームによる戦いだ。この日はJリーグのサポーターも、それぞれ応援に駆けつけ、その歌声が響く。



AFC年間最優秀女子選手・澤穂希。
 日テレはキックオフから、相手陣内で試合を進めるが、4−4−1−1のフォーメーションで守りを固める新潟から、なかなかゴールを奪えない。「ウチは1点取るまで、いつももたつく。その原因をしっかりと探らなくちゃいけない」。宮村正志監督が舌打ちしたように、日テレにとってはじれったい試合展開。27分、澤のヘディングシュートを皮切りに、新潟ゴール前でリバウンドをさらってシュートを乱れ打ち。最後は酒井與惠が決めて、ようやく先制点を奪った。

 だが、この1点が意外に効いた。「0対0ならともかく、1点取られた。勝つためには、こちらもゴールを奪いにいかなければならない」(牛浜監督)。前半の戦い方が相手を苦しめたことを認識しつつも、後半からは徐々に戦うスペースを前に上げて行く。勝負に行く以上は、仕方のない選択だった。高い位置でのプレスでボールを奪い、カウンターを見舞う。狙い通りの形から幾度かチャンスを作った。

 スペースを消されて苦しんでた日テレにとって、打ち合いは臨むところ。後半から入った荒川恵理子のポストプレーからチャンスが生まれ始める。52分、左サイドバックの豊田菜夕葉が攻撃参加し、パスアンドゴーでペナルティボックスに侵入。たまらず新潟DFが倒してPKの判定が下る。これを豊田が自ら決めて2点目。68分にも、右サイドからドリブルで抜けた近賀ゆかりが、豪快なミドルシュートでさらに得点を加える。エンジンのかかった日テレは大野忍、伊藤香菜子のゴールで5対0。ゴールがゴールを呼ぶ、日テレらしい攻撃だった。



強行日程に泣いた男子の分まで戦ったが…。
 敗れた新潟だが、2回の選手交代で大幅にポジションチェンジを行い、日テレの守備を霍乱しようとも試みた。「トレーニングの中で全てイメージをしてやってきているし、フォーメーションが変わっても基本的なコンセプトは同じですから」と牛浜監督が胸を張ったように、選手たちは大幅に異なるポジションにも全く戸惑うことなく対応した。「前に出て失点を食ったのは結果論」(牛浜監督)。日テレ4バックの奮闘が無ければ、ゴールを陥れたに違いない。

「相手が強かったけれど、こっちも本気で勝つつもりでやっていますからね。後半は何度かチャンスを作ることができたし、0対0のままだったら、もっとチャンスがあったと思います。昨年、高槻に負けて『来年はあのクラスのチームに勝とう』と思って、実際、それができた。今度は来年、日テレと顔をあわせた時に、もう少し食い下がれるチームを作りたいし、そのポイントも見つかったと思います」(牛浜監督)

 試合前に言っていたように、失点を抑えるだけなら、前半の戦いを続ければ良かった。しかし、あくまで勝利を目指してギャンブルに出た。その結果の大量失点であり、恥ずべき点はどこにもない。L1昇格を目指すL2勢の中でも1、2を争う力がある。女子の試合でも1,000人オーバーのファンを集める新潟。地元の人たちの期待に応えるためにも、L1行きの切符を掴めるよう、さらにレベルアップが望まれる。



日テレ選手の握手会は大盛況。
 勝った日テレのアテネ五輪メンバー5名は、身支度を整えるとすぐに握手会に参加した。1回戦からこの準々決勝までを運営してきた茨城県サッカー協会女子部は、TASAKI全選手サイン入りボールの抽選会など様々なイベントを発案し、大会を盛り上げてくれたが、この握手会はその締めにあたる。

「(『ファンにプレゼントしているのは?』)ベレーザの集合写真に選手たちが1枚ずつサインをしたものです。600枚用意していたんですよ。澤なんか、マレーシアから帰ってきて渡したら、『徹夜で書かなくちゃ』と言っていました。その場でサインをしてあげたほうが喜ぶんでしょうが、何しろ荒川のサインは時間がかかってしまうので。1度長野でやった時には電車に乗り遅れそうになりましたから(笑)」(中畑成部長・日テレ)

 日テレには、アテネ組の5人意外にも、まだまだ代表候補に選ばれているメンバーがいる。1年半ぶりに代表に復帰した日テレの大野に話を聞いた。「(『チャイニーズ・タイペイ戦に出場すると、昨年の韓国戦以来の代表復帰になると思いますが』)はい。代表に選ばれたのは、1年間、チームで出れたということとつながっていると思うので素直に嬉しいです」。

 大野にとって、クラブでの活躍あってこその代表選出という思いは強い。その後に代表のシステムや紅白戦でのパートナーを質問したのだが、こちらの訊き方に問題があったのか、彼女から返ってきた答えは日テレでのものだった。もちろん、代表にも残りたいし、台湾戦にも出たい。だが、それよりもまずはクラブでのタイトル奪取。この日の彼女の視線は、同じ西が丘で1週間後に行なわれるTASAKIとの準決勝を、しっかりと捉えているようだった。


(日テレ・ベレーザ) (アルビレックス新潟レディース)
GK: 小野寺志保 GK: 轟奈都子
DF: 中地舞、四方菜穂、須藤亜紀子、豊田奈夕葉 DF: 田辺友恵、田中桜、片桐ひろみ、川村優理(70分/大畑彩乃)
MF: 酒井與恵、近賀ゆかり(79分/井関夏子)、伊藤香菜子、澤穂希 MF: 野村千枝子、江橋桂、吉本宏美、藤巻藍子(H.T/渡辺樹里)
FW: 永里優季(H.T/荒川恵理子)、大野忍(70分/小林弥生) FW: 大堀幸恵、岡林亜希代
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