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 頑張れ!女子サッカー 03/01/14 (火) <次へindexへ>

 全日本女子サッカー開幕!初出場のJ・シーガルが1回戦を突破


 取材・文/中倉一志
第24回全日本女子サッカー選手権大会 1回戦 J・シーガル(北海道)vs.高知JFC.ROSA(四国)
2003年1月12日(日)11:00キックオフ(試合時間80分) 大分総合競技場サッカーラグビーAコート
試合結果/J・シーガル2−0高知JFC.ROSA(前0−0、後2−0)
得点経過/[J・シーガル]近藤(54分、59分)


 女子サッカーチャンピオンの座を争う「第24回全日本女子サッカー選手権大会」が開幕した。単独チームが争うカップ戦としては国内では最も権威ある大会に参加するのは、L・リーグ所属の11チームと、全国9ブロック代表の10チーム(関東のみ2チーム)。大会はトーナメント方式で行われ、全国各地区で試合が進められた後、26日に国立霞ヶ丘競技場で行われる決勝戦でチャンピオンを決定する。女子日本一を決定する大会は、天皇杯同様、女子サッカー選手の憧れの大会でもある。

 さて、1回戦の大分会場では、北海道代表のJ・シーガルと、四国代表の高知JFC.ROSAが顔を合わせた。J・シーガルは創部5年目にして初出場。この大会を目指してレベルアップを図ってきたというチームの目標は1回戦突破、そしてL・リーグとの対戦だ。対する高知JFC.ROSAは5年ぶり3度目の出場。半数以上が中学生というチームにはまだ幼さが残る。「身体の大きさとか、パワーとかは断然向こうのほうが上。勉強させてもらおうかなという感じ」(宮地監督・高知JFC.ROSA)というチームは、チャレンジャー精神で1回戦に臨む。



 試合は立ち上がりからJ・シーガルのペースで進む。J・シーガルのフォーメーションは4−5−1。ボランチに構える深谷がボールを散らし、トップ下の近藤が高いテクニックと広い視野でゲームを作る。そして1トップの谷口がスピードを生かしてゴール前に飛び出し、チャンスと見るや、左MFの堀(真)が果敢にオーバーラップを仕掛ける。「外のゲームは約2ヶ月半ぶり。ずっと雪の中だったものですから前半は広いピッチに慣れるので手一杯でした」(佐藤監督、J・シーガル)というハンデもあって、最後の詰めに欠くのは否めないが、試合のペースを完全に掌握している。

 一方の高知JFC.ROSAは4−4−2。中盤をフラットにしてJ・シーガルの攻撃に備える。しかし、守るのが精一杯の高知JFC.ROSAは、攻撃にはほとんど手が回らない。まるでカテゴリーの違うチーム同士のような戦いでは防戦一方になるのもやむを得なかったかも知れない。それでも、「何とか0点に抑えようということを目標にしていた」(宮地監督)チームは、必死にJ・シーガルの攻撃を跳ね返す。そして、ピンチの場面ではGK神原が思い切りのいいプレーでゴールマウスを死守した。



 0−0で迎えた後半、J・シーガルが動いた。トップ下の近藤を前線に上げて2トップに変更すると、両サイドの高橋と堀(真)も高い位置に上げた。「点を取りに行かなきゃいけないので底上げした」とは佐藤監督。そして、その狙いが的中する。時間は54分、得意の左サイドからの攻撃で高知JFC.ROSAを崩してから、谷口がゴール前へ低く、スピードあるボールを供給、そこへ走り込んできた近藤が左足インサイドで合わせてゴールネットを揺らした。

 J・シーガルの追加点は59分、左からのCKに、近藤が今度は頭で合わせて2点目をゲットした。ドンピシャリのタイミングで決めたきれいなゴールだった。そして、さらにJ・シーガルの攻撃が迫力を増していく。しかし、高知JFC.ROSAも必死の抵抗を見せる。厚みのあるJ・シーガルの攻撃を必死に食い止め、ロングボールを前へ蹴りこんで、とにかく前へ出ようという姿勢を最後まで貫く。しかし、両チームの間の力の差はいかんともしがたく、試合はこのまま2−0でJ・シーガルが勝利を収めた。



 初出場で嬉しい初勝利を上げたJ・シーガル。2回戦はL・リーグ2位の田崎ペルーレと対戦する。
「挑戦というよりも、自分たちがどこまで出来るか、どこまでついていけるか、いい機会だと思います。L・リーグとは練習試合でも出来ませんからね。まずそれがひとつ目標だったんでクリア出来てよかったと思います」と佐藤監督は初勝利の喜びを語った。週1回、土の屋内グラウンドで練習する以外は、体育館でしか練習が出来ないという北国のハンデを乗り越えての初勝利。2回戦でもはつらつとした試合を期待したい。

「もうちょっと頑張れたらよかったんですけれど。でも、粘りだけは最後まであるようになってきた」とは宮地監督。最後まであきらめずに戦ったが、さすがに年齢的なハンデを跳ね返すことが難しかったようだ。しかし、女子サッカーの置かれた環境が決していいとはいえない中で女子のクラブチームを運営し、四国代表として全国大会に駒を進めてきた頑張りは試合を観戦した人たちに伝わったに違いない。



「今一番ネックになっているのが中学年代。中学校の時は公立は学区とかがありますから、自由にサッカー部のある学校に行けるわけではない。本当にサッカーが好きな子は、高校になればそういうところを求めていけるんですけれど、中学校のときに私立に行ってまでやるっていう子は、そんなにいない。だから中学校のときにこぼれていく」と女子サッカーの難しさを語ってくれた宮地監督。そんな環境の中でも、ボールを追いかけ続ける女子のプレイヤーたち。彼女たちのプレーにはサッカーを好きな気持ちがあふれ出ている。


(Jシーガル) (高知JFC.ROSA)
GK: 小林富樹子 GK: 神原静香
DF: 加賀屋歩 原百花 佐藤羽 大友利恵 DF: 花田亜衣子 久保文乃 永吉利帆(70分/東美希) 永吉希早
MF: 深谷志保 堀果代子 高橋舞(70分/河原しおり) 堀真以子 MF: 岡林里芳 杉本静香 入交美緒 中村茜
FW: 近藤由美 谷口祐香 FW: 前田桃世 景山久実(79分/今井奈三)
※このレポートは「fantasista online magazine 2002CLUB」に掲載されたものです。
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