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 頑張れ!女子サッカー 03/01/21 (火) <前へ次へindexへ>

 これぞトーナメント。日体大の気迫の勝利!!


 取材・文/中倉一志
第24回全日本女子サッカー選手権大会 2回戦 宝塚バニーズレディースサッカークラブvs.日本体育大学
2003年1月18日(日)10:00キックオフ(80分)大分総合競技場サッカーラグビーAコート
試合結果/宝塚バニーズレディースサッカークラブ1−3日本体育大学(前0−2、後1−1)
得点経過/[日体大]丸山(5分、13分)、岩田(48分)、[宝塚]伊丹(68分)


 一発勝負のトーナメント戦には独特の難しさがある。もともと不確定要素の大きなサッカーという競技において、たった1回で勝負を決めるという方式が両チームの精神状態に微妙な影響を与えるからだ。負けられない上位チームには、ややもすると受身に立つという意識が生まれ、下位チームには、その試合を勝つためだけの戦術を用いて上位チームを喰ってやろうという積極的な姿勢が生まれる。負けても失うもののない下位チームが開き直ることで、上位チームと互角以上に戦うことは良くあることだ。

 まして、宝塚にとっては4ヶ月にも渡るL・リーグ戦を戦い終えて、まだ1ヶ月あまりの時期。維持し続けてきた緊張感からの開放と、リーグ戦を終えた達成感は選手たちに、ある種の安堵感を与えるものだが、それを払拭して再び戦う気持ちを呼び起こすには1ヶ月という期間は長くはない。さらに、その間に兵庫県のU−18の大会のために、レギュラー数人がチームを離れたままでの調整を余儀なくされた宝塚が、万全の体制で試合を迎えられなかったのは仕方のないことだったかもしれない。そんな宝塚に対し、日体大は「これがトーナメント」といわんばかりの戦術でぶつかってきた。



「相手を自由にさせないということ。そのために中盤に厚みを持たせて、すぐにチェックにいけるようにした。そして、日本代表のCF丸山に自信を持って突破しろという形で臨んだ」(森田英夫監督・日体大)という日体大の布陣は3−6−1。日本代表の丸山1人を前線に残して9人が自陣の低い位置にコンパクトなゾーンを敷いて宝塚が前に出てくるところを狙っている。そして、宝塚が前に出てくると囲い込むようにして、その自由を奪い去った。

 衰えることのない豊富な運動量。鋭い出足。激しいプレッシャー。日体大の戦い方に明らかに宝塚イレブンは戸惑っていた。そして、開始直後の4分に日体大のセットプレーから奪われた先制点で、さらに落ち着きを失った。むやみに中に入っては日体大のプレスの餌食になり、慌てて出すパスはことごとくカットされ、DFの裏へ走りこむ丸山へのロングフィードの処理に四苦八苦している。そして13分、日体大はハーフウェイライン近くでボールを受けた丸山がドリブルを開始すると、そのままDFを抜き去って左足を一閃。決定的とも思える2点目をゲットした。



 日体大が多くの決定機を作っていたわけではない。その証拠に前半に放ったシュートは2本だけだった。しかし、徹底的に宝塚の攻撃をつぶし、少ないチャンスを抜群の切れ味を見せる丸山の得点力に託すという作戦が見事に図に当たった。そして後半の8分、「後半の立ち上がりに止めを刺せ」という森田監督の指示に日体大イレブンが応える。右からのCKのチャンスに後方から走りこんできた岩田が頭で合わせて3点目をゲット、これで試合は決まった。

 後半開始早々にメンバーを3人入れ替えて流れを変えようとした高藤監督(宝塚)だったが、68分に1点を返すのが精一杯。日体大の術中にはまった宝塚は、最後まで流れを変えることが出来なかった。「(日体大の)守っておいて、裏に走る丸山に合わせるという方法はミーティングでも確認していたが、やはりそれでやられてしまった。サイドを起点にという練習をやってきたが、先にカウンター、セットプレーからという形で入れられ、選手の中に焦りがあった」と完敗を認めざるを得なかった。




 L・リーグ5位の宝塚を破ってベスト8に駒を進めた日体大。「相手はL・リーグなんで守備を重点的にやろうということで戦った。守備をして自由にさせないということ。1人、1人が、よく絡んで相手に何もさせないようにという形で狙い通りだった」とは森田監督。改心の勝利だっただろう。そして、「修正点は、やはり集中ですね。集中欠かさず、このまま今日のような試合を続けて頑張りたいと思う」とベスト4へ照準を定めていた。

 さて敗れた宝塚。結局、L・リーグらしさを見せられないままに全日本女子サッカー選手権から姿を消すことになった。「気持ちの中で、(リーグ)最終戦でYKKに勝って下位リーグで1位になったという部分で、ほっとしたわけではないんですけれど、気持ち的に緩んだ部分があったのかなと。自分自身も含めて反省している」とは高藤監督。やはり、1ヶ月あまりという期間は、L・リーグから気持ちを切り替えるには少々短すぎたようだ。


(宝塚バニーズレディースサッカークラブ) (日本体育大学)
GK: 安田真季 GK: 平田麻利絵
DF: 道下愛子(40分/小林舞子) 加治屋早織(45分/佐藤裕美) 西手友美 田中眞由美 DF: 吉村萌 岩田久美 田代久美子
MF: 稲葉昌美 阪上由紀代 宇良博絵 伊丹絵美 MF: 田村奈津枝 大堀幸恵 松窪裕子(67分/美馬智子) 藤巻藍子(73分/大野由紀子) 法師人美佳 村岡夏希
FW: 今枝梢 三浦香子(40分/久志美野) FW: 丸山桂里奈
※このレポートは「fantasista online magazine 2002CLUB」に掲載されたものです。
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