topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 頑張れ!女子サッカー 03/07/22 (火) <前へ次へindexへ>
 大きくなったら、いっしょにやろうよ

 田崎、伊賀との無敗対決に圧勝! 6連勝で一次リーグ突破に王手。


 取材・文/西森彰
第15回Lリーグ一次リーグ 西日本リーグ第5節 伊賀FCくノ一vs.田崎ペルーレFC
2003年7月19日(土)12:00キックオフ 上野市運動公園競技場 観衆:100人 天候:雨
試合結果/伊賀FCくノ一0−4田崎ペルーレFC(前0−3、後0−1)
得点経過/[田崎]渡辺(11分)、大谷(29分、45分、89分)


「大きくなったら、一緒にやろうよ」

 第15回Lリーグのキャッチコピーだ。運営サイドからも全て手作りの匂いがしてくるLリーグ。この日の公式記録員は伊賀FCくノ一所属の双子のミッドフィルダー松長佳恵選手。小・中学生くらいの女の子たちも、プレイはともかく運営サイドでは大きくなる前から一緒に手伝ってくれている。ベンチや机・イスの出し入れから関係者やプレスの受付まで手伝う彼女たちは、試合会場の入り口でLリーグの公式プログラムも販売している。

 一部1,000円。中身はモノクロだが、各クラブの所属選手が写真入りで紹介されているほか、昨シーズンの試合結果や過去の大会の戦績なども載っている。Lリーグ初心者向けの観戦ガイドとしてだけでなく、資料としてもお買い得感たっぷり。入場料無料のLリーグ。観戦に行かれた方は入場チケット代わりに、ぜひ購入をお勧めする。



 ワールドカップ・プレーオフへの参戦によって、再び日程変更を余儀なくされた第15回Lリーグ。この日、西日本リーグでは順延されていた第5節では、ここまで3勝2分けの伊賀FCくノ一と、5連勝で首位を突っ走る田崎ペルーレFCの対戦(開催日程上、既に第1〜4節と第8節を消化している)。生憎の雨模様となってしまった上野市運動公園競技場だが、100人ほどの熱心なファンが足を運び、西日本リーグの頂上決戦を見守った。

 ホームチーム・伊賀のキックオフで始まったゲームは、しばらく一進一退の攻防が続く。伊賀はライン4で中盤はボックスタイプの4−4−2。田崎は相手キープレイヤーをしっかりマンマークで捕まえる3−5−2。どちらも相手のボールホルダーにきちんとプレッシャーをかけて、互いに決定機を作らせない。苦し紛れにタテに送ったボールを弾き返す形でゲームは推移した。

 やや、膠着状態に陥った11分、田崎が右サイドからCKのチャンスを掴んだ。ボックス内のプレイヤーの位置取りを確認していると伊賀の江川重光監督の声が響き渡った。「ショートだ!」。タッチライン際にをスルスルと上がってきた川上直子が、ショートコーナーのボールを受けて正確なクロスを入れる。これが渡辺千尋の頭にピタリとあって先制。田崎がゲームのイニシアチブをしっかりと握った。



 先制点で波に乗った田崎はここから伊賀を一方的に攻めたてる。23分、左サイドを柳田美幸が抜け出して大谷のヘディングシュートを生み出すと、25分、今度は右サイドを土橋優貴が突破し、渡辺千尋にセンタリングを合わせる。そして29分、川上が右サイドに空いたゾーンに、メキシコ戦でも見せた右足アウトサイドで回転をかけたボールを送りこみ、これを抜群のスピードで奪った大谷が蹴りこんで2点目。

 早々に2点を先行された伊賀も30分過ぎから反撃を開始。元日本代表・井坂美都がボールを呼びこんで起点になる。35分、左サイドをペナルティエリアのほぼライン上をタテに抜けて、原歩にあわせてこの試合初めての決定機を演出。39分にもキャプテン・山岸靖代からの長いパスを懸命に追ってシュートまで持ち込む。前半、飛ばした田崎に疲れが見えたこの時間帯に、伊賀が1点でも返していれば、試合展開ももう少し違ったものになっていたかもしれない。

 しかし「全勝優勝」を公言する、田崎の勝負強さは半端じゃなかった。ロスタイムに得た右からのFKのチャンスに、日本女子代表左ウイングバックの山本絵美が嫌らしいボールを送りこむ。敵味方が同一線上で5人以上かぶってしまっては、伊賀GK瀬口江美にはノーチャンス。大谷が頭をちょこんとあわせてゴールに送りこむ。伊賀にとって精神的なダメージの大きい3点目が入った。



 3点を追う伊賀はどの道、前に出るほかはない。後半開始早々の井坂のミドルシュート、そしてコーナーキックから生じた混戦のこぼれ球を原がシュートと、前半以上の迫力で田崎のゴールに迫る。チーム全体の動き出しで勝負し、オープンスペースへの展開から良い場面も作るのだが、田崎のツボを心得た守備の前に、どうしてもゴールをこじ開けることができない。

 逆に田崎は相手の足が止まったところを再び攻勢に転じる。68分、ロングボールを山本が落とし、渡辺のシュート。75分には左から川上のクロスを大谷がフリーでヘディングシュート。そして90分の大谷のミドルシュート。瀬口の好セーブがなかったら、いずれも得点になっておかしくなかったシーン。ロスタイムには伊賀のカウンターを受けとめた後、再び川上のロングフィードを交代出場の鈴木智子がつなぎ、大谷が締めてハットトリック達成。4−0の完勝を飾った。



 敗れた伊賀は勝ち点を伸ばすことができず、6試合消化して勝ち点11の3位。リーグ戦で4失点を喫しての大敗となると1998年のプリマハムFCくノ一時代、宝塚に1−5で敗れて以来5年ぶりのこと。序盤で2引き分けと出遅れたように、今ひとつ調子が出ていない様子だ。1試合消化数が多い2位・スペランツァ高槻には勝ち点で5つ離されたまま、後ろから追う岡山湯郷Belle、宝塚との直接対決が残っている。最低条件の決勝リーグ進出に黄色い信号が灯ってしまった。

 一方、勝った田崎は、これで西日本リーグ負け無しの6連勝。一次リーグ突破まであと1勝と迫ったが、このチームにとってはそれもあくまで通過点でしかないはずだ。日本女子代表にも多くの選手が選ばれているように、まず個々の選手としての強さがあり、全員がサボらないチームとしての強さがある。そして一瞬の隙を逃さない集中力まで兼ね備えられていては、相手チームもなかなか勝機を見出すことはできない。

 ほとんど唯一の死角と言えるのが19人という少ない登録選手数。チームの主力はワールドカップ本大会も召集されるはず。そのための強化試合や合宿を含め、強行軍を強いられることは間違いない。そこさえ乗り切ることができれば、今年こそシルバーコレクターの座を返上できるだろう。


(伊賀FCくノ一) (田崎ペルーレFC)
GK: 瀬口江美 GK: 大西めぐみ
DF: 仁科賀恵、宮崎有香、馬場典子、藤村智美(72分/山田雅奈恵) DF: 白鳥綾、磯ア浩美、佐野弘子
MF: 山岸靖代、那須麻衣子、宮本ともみ、堤早希(85分/吉泉愛) MF: 土橋優貴(89分/早坂優)、川上直子、新甫まどか、山本絵美、柳田美幸
FW: 井坂美都、原歩 FW: 大谷未央、渡辺千尋(89分/鈴木智子)
<前へ次へindexへ>
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送