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 頑張れ!女子サッカー 03/09/23 (火) <前へ次へindexへ>

 アルゼンチンを一蹴!グループリーグ突破に向けて好発進。


 文/中倉一志
FIFA女子ワールドカップ USA2003 グループC 日本代表vs.アルゼンチン代表
2003年9月20日(土)20:30キックオフ コロンバス・クルー・スタジアム
試合結果/日本代表6−0アルゼンチン代表(前2−0、後4−0)
得点経過/[日本]沢(13分、38分)、山本(64分)、大谷(72分、75分、80分)


 お馴染みのFIFAアンセムに乗って、ジャパンブルーのユニフォームに身を包んだイレブンが登場してくる。晴れがましく堂々とした顔。4大会連続で世界の大舞台に立つ彼女らの姿は自信にあふれてさえ見える。決して恵まれているとはいえないプレー環境。SARSの影響で大幅に狂った予選のスケジュール。16番目の最後の椅子を争って戦ったメキシコとのプレーオフ。ここまで来る道は平坦ではなかった。しかし、その逆境を乗り越えて、彼女たちは一回り大きくなった。

 初戦の相手はアルゼンチン。世界ランキングは日本の14位に対して35位。しかもワールドカップは初めての舞台になる。通り一遍にみれば日本の優位は動かない。しかし、今大会に先立って初めて発表された女子ランキングは、必ずしもお互いの戦力を正しく反映しているわけではなく、アルゼンチンの情報も少ない。事前情報に惑わされずに自分たちの戦い方をやり通せるかが大きな鍵だ。そして20時30分、コロンバス・クルー・スタジアムにキックオフのホイッスルが鳴り響いた。



 立ち上がり、日本は最高の形でゲームに入った。宮本、酒井の両ボランチを起点にして左サイド、あるいは中盤へ楔のボールを入れてアルゼンチンをボールサイドに引き付けると、そこから右サイドへ展開。フリーで待ち構える川上がスピードを生かした直線的なサイドアタックから正確なクロスボールをゴール前へ供給する。ボールを素早く動かして両サイドからの突破を図る日本のパターン。GKのファインセーブに阻まれたが、9分には早くも決定的なシーンを作り出す。

 日本の先制点は13分、立ち上がりから再三鋭い突破を見せる川上のプレーがきっかけになって生まれた。川上の突破をファールで止めるアルゼンチン。日本は右サイドの絶好の位置からFKを得た。キッカーは小林弥生。その右足から放たれたボールが放物線を描いてアルゼンチンDFの前を横切っていく。そしてボールは沢へ。沢はワンバウンドのボールを胸トラップでコントロールするやいなや右足を一閃。次の瞬間、アルゼンチンのゴールネットが大きく揺れた。

 だが、ここから試合は膠着状態に。ボールポゼッションで上回るものの楔のボールが中盤に収まらなくなったからだ。いやな時間帯が続く。そんな中の28分、沢、山本とつないで大谷へ。続く38分には川上からのアーリークロスに小林が2列目から飛び出す。どちらもゴールが決まってもおかしくないシーン。そして、この2つのプレーが日本に流れを引き戻した。そして38分、右からのCKに飛び込んだ沢が右足アウトで合わせて2点目をゲット。さらに39分にはラフプレーでガッティが一発退場。日本の事実上の勝利が決まった。



 アルゼンチンは技術的には日本よりも劣るようだ。またボールにつられてしまうケースが多く、スペースや背後に走りこんでくる選手のマークがルーズになる。時折、ドリブル突破を図るシーンも見られるが、日本に脅威を与えるには至らない。さらに日本に対して数的不利の状況に追い込まれた。日本の後半のテーマは、次の試合に備えて自分たちのプレーをやり通せるか、グループリーグ突破のために得失点差をどれだけ稼ぐかに移っていく。

 後半に入ってしばらくの間、日本は数的優位を生かせずにチャンスが作れない時間帯が続く。前半の膠着状態同様、中盤にボールが収まらなくなった。ボールを受けに来る小林がヘレスに徹底マークされ、楔のパスにミスも目立つ。ボールの動く範囲も狭くなってきたようだ。敢えてこの試合での課題を探せば、このあたりが日本の課題といえるのかもしれない。しかし両チームの力の差は明らか。日本が再び攻勢に出るのは時間の問題だった。

 日本の追加点は64分、川上が右サイドの深い位置からマイナスのクロスボールを送る。DFを引き付けてニアに走りこんだ荒川がスルー。その後ろに山本がフリーで走りこんで、落ち着いてゴールに流し込んだ。これが呼び水になって日本のゴールラッシュが始まる。72分には酒井、山本とつないでゴール前の大谷へ。このボールを巧みな個人技でDFをかわして決めた大谷は、さらに75分、80分にヘディングシュートを決めてハットトリックを達成。日本は6−0に大差でアルゼンチンを下した。



 全員の力で奪い取った勝利だった。先制点、中押し点と貴重なゴールを奪った沢。前線のスペースを走り回りアルゼンチンDFを錯乱させた大谷。ボールを受けて起点を作るとともに2列目からの鋭い飛び出しを見せた小林。巧みなドリブルで左サイドを切り裂いた山本と、直線的なサイド突破で右サイドを疾走し正確なクロスを送りつづけた川上。ゲームの起点になってボールを捌いた宮本に酒井。そしてDF陣はラインを高く保って中盤をサポートした。GK山郷は見せ場がなかったが、それも日本が圧勝した証だ。

 日本の次の対戦相手ははヨーロッパチャンピオンで世界ランキング3位のドイツ。グループリーグの初戦では、日本とグループリーグ突破の2つ目の椅子を争うと見られているカナダを4−1で一蹴した。日本にとって本当の勝負はドイツ戦から。どこまで自分たちのサッカーを見せられるかがポイントになる。山本、川上の両WBを活かすことが出来れば活路は見出せるはず。注目の2戦目は24日17:45(現地時間)にキックオフされる。


(日本代表) (アルゼンチン代表)
GK: 山郷のぞみ GK: フェーロ
DF: 山岸靖代(73分/磯崎浩美)、大部由美、矢野喬子 DF: ウベール、リコッティ(76分/ロペス)、ゴンセバテ バルビッタ
MF: 川上直子、宮本ともみ、酒井與惠、山本絵美 MF: ガッティ(39分/退場)、ヘレス、ゴメス(46分/コテーロ)
FW: 小林弥生(57分/荒川恵理子)、大谷未央、沢穂希(80分/丸山桂里奈) FW: バジェーホス、ビジャヌエバ(46分/アルバリサ)、コロネル
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