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一歩後退、二歩前進


文/石毛大介

「敵艦見ユトノ警報ニ接シ、連合艦隊ハ直チニ出動、之ヲ撃滅セントス 本日天気晴朗ナレド波高シ」
 1905年5月27日、時は日露戦争時下、日本海海戦の直前、日本連合艦隊の東郷平八郎司令長官が旗艦三笠より大本営宛てに送信した電文です。

 Jリーグ第2節。ビッグスワンにヴィッセル神戸を向かえてのJ1初ホーム戦です。前節は主力の抜けたFC東京に敗戦。前半は話しにならない内容でしたが、後半J1でやっていけると確信するには十分な内容でした。この後半に魅せてくれたサッカーを、今日90分間プレーし続ければ必ず良い結果が出る、と皆さん信じていることでしょう。しかし相手は前節ジェフ市原に勝利したヴィッセル神戸。

 初のJ1ホーム戦、そして前節の「次節に期待できるアルビサッカー」を魅せてくれたが故の期待感と、そうはいっても簡単には攻略できそうにない敵。期待と不安が同居する想い。まさに「本日天気晴朗ナレド波高シ」。選手、チームスタッフ、そして4万人サポーター、皆同じ想いで、ここビックスワンにてJ1初ホーム戦を迎えていることでしょう。

 試合開始へ向けて、いつもと同じような段取りで進みます。Queenの「We will rock you」で選手紹介。ビッグスワンでいつも見慣れた光景の全てがJ1での舞台。会場を彩るアルビレックスチアリーダーのパフォーマンス。彼女たちも初めてのJ1の舞台でのパフォーマンス。きっと誇りに想っていることでしょう。そして選手入場。君が代斉唱。試合開始前、ピッチ上で円陣を組み、パッとオレンジの花が咲くが如く選手が散ります。ビッグスワンでの試合でいつも見慣れた光景。でもその全てが「J1の舞台」そんなプライドを胸に・・・ J1初ホームのキックオフです。

 あっと試合前の光景で特筆すべきことを忘れました。選手入場前、どこからともなくアルビコールが起ります。ふと目をやると僅か数十人のヴィッセルサポーターからのコールでした。スタンド中から拍手が湧き上がります。そしてしばらくするとアルビサポーターから神戸コールのお返しです。久しく体感しなかった光景でした。

                    

 さて、序盤から激しいボールの奪い合いです。前節の後半で見せてくれたサッカーを、今日は前半から見せてくれます。やはり「良質な体感」がチームを活性化させているのでしょう。神戸も負けていませんが、我がアルビも負けていません。特にサイドに追い込んでからが非常に効率よく協力プレスでボール奪取等、神戸のプレーの選択肢を限定します。仮にボール奪取ができなくても、そこで勢いが殺がれていますし、抜かれてもフォローがあるので、脅威には感じません。いや素晴らしい・・・。「前節の敗戦はムダじゃなかった・・・自分たちのサッカーをもう一度思い出し、実行させているだけかもしれないけど、一週間でここまでにするとはさすが知将反町監督・・・」と胸を撫で下ろしました。

 ただ個人的には、もう少し勇気をもってラインを上げ、ボランチの位置も最終ラインに吸収され気味に感じたのでもう少し受身ではなく、能動的に(攻撃的に)守備陣が仕掛けても良いのでは?と。せっかくアグレッシブに協力プレスを発動しているわけですからネ。「クソ・・・裏取れそうにないなし、中盤がコンパクトで簡単にスペース作れないぞ・・・」なんて気持ちにさせるような。

 前半の最大のチャンスがおとずれます。
 エジミウソンのドリブルがファールをもらいます。ここでプレーが止まりますが2人だけ、この一瞬の間を切り裂く者がいました。山口素弘と鈴木慎吾。山口が軽くボールセットすると、左サイドから最高速で慎吾がゴールに向います。それを視界に入れた山口、迷わずスルーパス。一度落ち着いた歓声が一瞬にして大歓声に変わります。しかし惜しくもゴールを割ることはできませんでした。この2人、前節から思っているのですが、かなりイメージシンクロ率が高いと思います。今後の試合も注目です。

                    

 今日は前後半とも一進一退の攻防が続き、決して足が止まることのないアグレッシブな試合展開を見せます。両者とも決定的な場面を作りますが(試合終了間際のアンデルソンのシュートは惜しかった・・・!神戸GKの掛川のファインセーブ!)、どうしてもゴールを割れずスコアレスドロー。やっとJ1で勝点1を取りました。
 この勝点1を取ることの大変さ。僕は2002年の日韓ワールドカップの日本対ベルギー戦を思い出しました。あの時は2−2の引き分けでしたが、この勝点を取るのに4年掛かったわけです。「勝点1を取るのは大変なんだな・・・」と今更ながらに思った記憶があります。

 試合全体的に思ったのですが、アルビが攻撃に転じるとどうもフォローが少ないような気がします。今日は攻守の切り替えが早く、サイドアタックも随所に見られましたが、ボールホルダーを見ながら周りの選手が動いているように思えて、いささかプレーが遅いようにも感じます。パスが出てから動くのではなく、「もらう方が出してのプレーを決める」、という動き(走り)をもっと観たいですネ。ボールホルダーを追い越して湧いて出てくるような攻撃や、一度引いてボールをもらいに来て、そのスペースを使って攻めるとか、2、3人目の動きが、まだまだという感じが否めません。シュート打つまでの1手2手前までは上手くいくんですが・・・。

 どうしても個人能力が抜群に高い選手がいるわけではないので、単独勝負には弱いと思います。しかしながら第一節、二節と、タテのポジションチェンジからチャンスが生まれましたからネ。もっと頻繁に行えば、もっとチャンスが生まれるし、未だ達成されていないゴールも生まれると思うのです。確かに勇気のあることですからネ。そうは簡単にいかないと思いますが・・・。

                    

 さてリーグは一週間お休みで、次はナビスコカップ。相手はジュビロ磐田。天皇杯優勝チームでもありますし、2試合終わってハイレベルなサッカーを展開しています(2節終わって首位!)。

 去年アルビが天皇杯で磐田に敗戦後、反町監督曰く「少し早いのですが、いいクリスマスプレゼントをいただいたという風に思っています。」このクリスマスプレゼントの御返しをする時が来たようです。できることなら色をつけて。僕はこの磐田戦はリーグ前半戦を占う試合だと思います。やはりJ屈指のハイレベルサッカーを展開するチームですからね。得ることは多いと思います。もちろん勝ってほしいですが、選手たちには多くを得て新潟へ帰って来て欲しいと願っています。せっかくのJ1最高チームと言っても過言ではないチームと、こんなにも早く当たるのですからネ。しかも真剣勝負のピッチ上で。J1同士として。

 そしてリーグは対柏。2連勝と波に乗っているチームです(2節終わって2位)。磐田戦は観戦できませんが、柏戦は東京在住のため観戦できるので、勝点3を掴む瞬間を体感したいと思っています。では柏の葉で。
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