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「毘」の一字旗、J1の地へ


文/石毛大介

 越後の虎、上杉謙信が関東征伐のため、最初の出陣を行ってから約440年(1559年・永禄3年)。「毘」の旗を携え関東に上陸する様を、440年の時を越えて、今再現しているかのような、ここ東京都調布市にある味の素スタジアム。
 公式・非公式合わせて新潟から来たツアーバス60台。また始発から昼前までの上越新幹線の指定席も完売。昂ぶる気持ちを抑え切れそうにもないオレンジの軍団が大挙して越後の大地からJ1最初の決戦場へ上陸しました。

 新潟の誇りとも言えるアルビがいよいよJ1で戦います。アルビサポが開設しているいろいろなHPの掲示板等を見ましたが、やはり皆さん、かなり入れ込んでいるようで、前夜眠れない方や、バスで前夜の内に出発する方、朝の始発から新幹線で来る方。その全てが皆J1で戦うアルビを誇りに思い、それをサポートする自分たちもどこか気高く思っているのが伝わってきました。僕はにわかではありますが今年一年できる限りアルビを追っかけたいと思っていますので、アルビサポの方よろしくお願いします。

 スタジムへ入るとそこは「ホントに東京のホーム?」と疑ってしまうようなアウェイゴール裏。バスの台数やいろいろな情報だけではピンとこなかったのですが、こうしてオレンジ色のゴール裏を見るとそれはそれは壮観でした。アウェイ側に渦巻く歓声。自分自身の声をどんな気持ちで聞き、自分たちの想いをどんな気持ちで叫んでいるのでしょうか。
また選手や現場の方たちも、どういった気持ちで今日という日を迎えているのか。確かにアルビはJ1経験者の多いチームといえますが、それはあくまで個人レベル。チームとしては初めてですからね。大挙して来たサポーター、あるいはTVの前で応援しているサポーターを同じ心境のはず。全員が誇り高い気持ちで迎えるJ1。
 「信じています・・・!!」いろんな想いが去来すると思いますが、我がアルビレックス新潟がJ1で十分に戦えることを信じる気持ちは全員が同じはず。いよいよキックオフです。

                    

 初戦の相手FC東京はU-23日本代表の茂庭、今野、石川。ケガでケリーが出場できません。しかしJ屈指の攻撃力を誇るチーム。一瞬のツボにハマった時の爆発力といったらそう簡単に止められませんからね。それをアルビはどう受け止めるか、あるいは爆発させないか・・・主力4人が抜けているとはいえ、今年のスローガンにあるように「攻激、攻劇、攻撃サッカー」を標榜しているくらいですから絶対に侮れません。

 さて前半。試合終了後の反町監督のコメントに集約されます。「前半大人と子供のサッカーのような感じでした」試合冒頭から目を疑うような展開です。全てにおいて遅い。パスのスピード、判断のスピード・・・。仮にアルビがボールキープしても誰も動かないしワンテンポ遅くプレイするので、東京にとっては守るも攻めるも余裕を持ってプレイできます。また球際が弱い。簡単にボール奪取されてしまいますし、ボール奪取のためにアルビの選手がアタックを仕掛けても簡単に空かされます。

 ですから東京の高質な中盤プレスを発動され、またアルビの球際の弱さも手伝って、東京の攻守の切り替えが早く、あっという間にアルビ陣内へ。しかも1人2人ではなく、後ろからどんどん湧いて攻撃参加しますので、前線を越えてのタテのポジションチェンジもありますし、先述とおりアルビより判断スピード、パススピードが早いので、アルビ守備陣も右往左往、ペナルティーエリア内に何度となくチャンスを迎えてしまいます。ですがアルビも何とか堪えます。ですがカウンターを食らおうもんなら、ディレイできずにズルズルと・・・。

 アルビが攻撃に転じても、ボールホルダーがルックアップしても貰う方がゴール背にして完全に「待って」貰おうとするので、守る東京も楽です。しかも先述のとおり、全てに遅いプレイ・・・。しかも攻撃も守備も・・・。完全に悪循環が悪循環を生んでいます。これは前半ずーっと続きました。いや去年のJ1昇格に向けてのギリギリの戦いで勝負に徹したアルビのサッカーを見てますからね・・・。見ていて正直腹が立ちました。「去年あれだけギリギリの戦いができたのに、なんだ!完全に浮き足立って!」反町監督の試合後のコメントにもあるように、まさに「よそ行きのサッカー」です。

 そんなもんだから案の定(?)先制点を奪われます。この場面でもアルビの球際の弱さ(いや悪さ?)が現れました。その後も同じペースで前半終了。前半は完全に東京ペース。1失点で終わったのがせめてもの救いでした。試合後原監督も「前半のうちに少なくてもあと1点取っておかなければいけなかった」というコメントの通り、3,4失点してもおかしくない内容でした。「やっぱりJ1は違うな・・・ アルビ大丈夫か?ロッカルームが暗く沈んでいたら今日は終わりだな・・・」こんなことをハーフタイム中に考えていました。

                    

 さて後半・・・。前半の「よそ行きサッカー」がウソのようにアグレッシブなサッカーへ様変わりします。幾度となく東京陣内深く入り込みます。もちろんただボールを運ぶのではなく、危険な臭いを感じさせるものです。単純なボールボゼッション率は、ほぼ互角になったのではないでしょうか。また途中出場の鈴木慎吾がアルビのアグレッシブジェネレーターになります。迷いの無い「前へ」のプレイは見ていて非常に気持ちが良いです。もちろん単なる個人プレイではなく、それが結果的にチームを活性化させ、状況を大きく変えたプレイを幾度となくしてくれました。他の選手たちも迷いの無いプレイ、縦のポジションチェンジで再三チャンスを作ります。が最後までゴールネットを揺らすことなくタイムアップ。J1初戦はホロ苦いデビュー戦となってしまいました。

 前半は話にならないとして、後半アルビはJ1でやっていける自信を取り戻すには十分な戦いをしたと思っています。J2昇格に向けて我々に見せてくれた、ギリギリの戦い。レアルやアーセナルのような華麗なサッカーができなくても、自分たちのサッカーを常に100%に近い状態で我々に見せてくれ、たとえ無様なサッカーでも、想いの込められたプレイを見せられると応援したくなるものです。たとえ結果がついてこなくても。ですから勝ちこそは逃したものの、第二戦に向けてアルビサポーターに対しても、J1で戦うんだ、という確固たる信念は伝わったと思います。

 僕もそれは感じました。後半確かにアルビは持ち直しましたが、やはりFC東京の方が危険な臭いを漂わせていました。故に同点もしくは逆転する気配は個人的は感じなかったのですが、まだ先が長いJ1リーグ。試合で出た問題点を修正すれば十分にJ1で恥ずかしくない、サポーターに誇らしげに戦っていける、と確信しまいた。ですから今日の初戦は企業の新人研修だと思っています。ちょっと厳しい新人研修でしたけどね・・・ 

 さあ次はホームで何かと話題のヴィッセル神戸を迎え撃ちます。味の素スタジアムで反町監督がサポーターの声援を聞いて「ぞくっとした」とコメントを残しましたが、今度はビックスワンの大歓声でゾクゾクさせてしまいましょう。そして初のJ1勝利を。では。
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