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雨中のサバイバル


文/ふかえ まさひろ

 今年で32回を迎える九州サッカーリーグ(Kyuリーグ)、昨年はJFLから2チーム降格したので12チームで行われたが、ランザ熊本、九州INAX、京セラ川内が降格し、新たに鹿屋体育大学の2軍を母体に社会人も交えたチームで、10年後のJリーグ入りを狙うOSUMI NIFS UNITED FCを迎え、今年は2年ぶりに10チームで行われている(ちなみにNIFSとは鹿屋国立体育大学の英語表記 KANOYA National Institute of Fitness and Sportsの頭文字)。

 Kyuリーグの特徴としては、
@ 毎週末、10チーム全てが1つの地区に集まり、ピッチ2面を用いて土日で各チーム2試合の集中開催(去年は2チームある沖縄で1回のみで、代わりに北九州が2回開催だったが、今年は沖縄で2回開催。また熊本も2回開催)。
A 90分で決着がつかなければPK戦。90分勝ちが勝ち点3、PK勝ち2点、PK負け1点。
B 将来的にJリーグ入りを目標と掲げるチームが多い

というのが挙げられるだろうか。ちなみに11、12月の地域リーグ決勝大会への今年の出場枠は、昨年沖縄かりゆしとヴォルカ鹿児島が共に決勝大会の予選リーグ敗退したため、わずかに1しかない。


 4月17・18日の開幕以来の試合となる5月15・16日は今年唯一の北九州開催となり、地元大手企業をユニフォームスポンサーに迎え、地元選手も加入し意気上がるニューウェーブ北九州は、北九州市内や博多の森でのアビスパ福岡戦でも抽選券付き「招待券」(入場は無料だが)を配布したり地元メディアなども使って市民の来場を呼びかけた。
 その甲斐あってか、5月16日(日)、スタンド増設でかなり奇怪な形の鞘ヶ谷競技場は朝からの大雨で、しかも日曜の朝10時キックオフながらニューウェーブ北九州vs.OSUMI NIFS FC戦には数百人(西部日刊スポーツによると300人)が詰め掛けた。

 ピッチ上に水がたまり、ボールが転がらない状況なのでパスをつないでの攻撃など出来るわけもなく、両チームともセットプレーからゴールを狙うが、4分、OSUMIのFKからのシュートはクロスバーに当たるなどゴールを割れず折り返す。
 得点は後半18分、波野の中央からのスルーパスを受けたエース植木が、飛び出してきたGKの上を浮かせる感じで今季初ゴールを決め北九州が先制。それから北九州の一方的な展開になるも、OSUMIはCKからチャンスを作る。しかし今山や内山のシュートは枠を外れる。

 待望の追加点は後半40分。波野から左サイドにいた大塚がパスを受け、GKの場所をよく見てゴールのファーサイドに浮かせて決める。メインスタンドで大騒ぎするサポーターの前をちょうど通りかかった沖縄かりゆしFCの加藤監督も笑っていた。
 結果、最悪のピッチ状況に苦しみながらも、試合を終始優勢に進めた北九州が、地元の声援の後押しもあり快勝した。余談だが、この日から発売したニューウェーブのマフラータオルは、大雨と1000円という手ごろな値段から、結構売れたらしい。


 北九州の選手たちが子供らに囲まれサインをしているうちに始まった鞘ヶ谷の第2試合・沖縄かりゆしFCvs.サン宮崎FCは終始かりゆしペース。直前に運営母体で最大のスポンサーである株式会社かりゆしが今年限りの撤退を発表してチームが揺れる中、約1ヶ月ぶりの公式戦に選手も、そして沖縄から駆けつけたサポーターも混迷をふっきらんばかりに雨の中戦う。

 すっかり観客が少なくなった中での試合は、松原(元福岡など)からのパスを酒井(元山形)が前半7分と40分にゴールを決めると、後半は5分にこれも元山形の貞富が酒井のクロスに足を伸ばしてゴールを決め、16分には金城も決めて4-0。「今はただ勝っていくだけ」というサポーターの気持ちにこたえるかのごとく、格の違いを見せつける大勝だった。


 大雨の中、鞘ヶ谷の2層式のスタンドは屋根なしの全体を見渡せる席か、雨をしのげる下の階の席は柱やテントで全体を見渡せないかのどちらかで、記録を取りながらの観戦には忍耐力と想像力を必要とする状況だった。私自身、OSUMIのメンバーを10人しか記録してなかったり、宮崎の選手が後半10人だったことも(交代枠使い切ったあとにけが人が出た)試合後に気づく始末で、観戦すること自体がもはやサバイバル状態だった。よってメンバー表の掲載が出来ずに申し訳ない。

 サバイバル状態はリーグ全体にいえることで、元日本代表から高卒ルーキーまでの選手がプレーし、わずか1枚のJFL挑戦権を賭けて10チームが戦っている。この状態ではJを目指しながら息絶えるクラブが出ることも危惧してしまうが(沖縄かりゆしの問題は、単純なスポンサー問題ではないらしいが)、10月3日までどんな戦いを繰り広げるか、皆さんも少しでも注目していただければ、と思う。

 おまけ:リーグのパンフレットは過去の記録とチーム紹介名鑑2ページ+そのチーム関連の広告2ページがメインで、母体企業や「○○は○○FCを応援しています」という広告が多いのだが、新日鉄大分の広告欄「花の咲く街 夢のある街 恋の街大分(ゴリラのイラスト) 知名度”ゼロ”です」は、いったい何なのだろう?

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