ガンバ大阪　サポーター通信　〜攻撃力の復活を 　レポート／gambanna

　ガンバにとって初めてのファイナル、国立競技場決勝戦の場に立った。当然ガンバサポーターも初めて体験する場、普段とはまったく違った雰囲気を初体験できたナビスコ決勝。結果はたった１本のPKが勝敗を分けてしまったが、大きな問題は得点できなくなってしまったことだ。リーグ戦の大分戦で前線トライアングルが抑え込まれて以来、その次のＦＣ東京戦も不発。前線トライアングルの得点力が魅力だった今季のガンバは、見る影もなくなってしまった。その流れで臨んだこの決勝戦も、やはり同じ延長線上にあった。

　結局、延長戦にもつれ込んで、０−０でＰＫ戦での決着。延長戦では走るジェフに対して、次から次へと足をつり出すガンバ選手達。結果、紙一重で優勝杯をさらわれてしまった。目の前で優勝をさらわれ、一段と悔しさがこみ上げることも体験できたファイナルの場。今後への貴重な体験としていろんなシーンで生きてくるだろう。


　そして中３日で向かえた天皇杯４回戦。相手は横浜ＦＣ、選手一覧には懐かしい顔が並ぶ。西野監督としては、中２日で迎える浦和戦を意識してか、けがのためか、できるだけ主力を温存した選手起用で望んだのだろうが、これがまた紙一重の結末になるとは誰が予想しただろう。

　両サイドに家永・松下、ボランチに児玉、ストッパーに入江、ＧＫには松代を起用。前線には吉原を置いた。これが監督に期待に反し、まったくの不発。前半１９分に綺麗なスルーパスから内田に先制を奪われ追いかける展開となってしまった。得点が期待できそうにないガンバは、後半から吉原・児玉に代え、大黒・二川を投入し反撃を狙うが、セットプレーに弱いガンバはＣＫからさらに久保田に追加点を奪われてしまう。

　２点差を追いかける羽目になったガンバは、すぐにＣＫから山口がヘッドで１点返したが、残りの１点が奪えず残り時間はどんどん少なくなっていく。この状況で西野監督は、アラウージョを下げ公式戦初出場の三木に運命をまかせ、３枚目のカードを切ってしまった。城と交錯し肋骨を痛めながら体中にテーピングしプレーしていた山口が、その直後の後半３１分、プレー続行不可能で自主退場。ガンバは１人少ない状態で１点を追いかける状況に追い込まれた。

　ジシクレイを前線に上げパワープレーで１点を追うガンバは、守りに入った横浜ＦＣ相手に、なんとロスタイム残りわずかで大黒が待望の同点弾を決め、紙一重で延長戦へつなげた。しかし、延長に入りまたしても早々と失点しまったガンバは、また追いかける状況になってしまった。延長後半に入るとまたもやシジクレイを前線に上げ、パワープレーで同点を狙う。残り１分を切り、初戦敗退を覚悟しかけた時、ガンバのカウンターに対し横浜ＦＣの足が一瞬止まる。大黒のパスをゴール前から三木が決め終了直前でまたもや紙一重でＰＫ戦につなげた。


　ＰＫ戦一人目はシジクレイ、ナビスコ決勝のＰＫ戦が思い出され冷や冷やのＰＫ戦開始。キャプテン・シジクレイがきっちり決め、大黒・フェルナンジーニョ・二川・家長と５人までが確実に決める。横浜ＦＣも５人がきっちり決めＰＫサドンデスへ突入。６人目・橋本が決め、横浜ＦＣも決める。７人目・三木のキックは力が入らず、ＧＫに止められてしまい、絶対絶命のピンチに立たされる。

　次の横浜ＦＣのＰＫが決まれば天皇杯４回戦で早々と敗退が決まる最大のピンチに、ＧＫ松代がトゥイードのシュートを阻止。ギリギリの土壇場で次につなげたガンバ８人目のキッカーは松下。松下は恐れることなく思いっきり決め先行のガンバが有利な展開となる。横浜ＦＣ８人目・高田のシュートに対し、左へ横っ飛びしたＧＫ松代。読みはみごと的中し強烈なシュートを両手で阻止、最後に勝利を手にし、大喜びしたのガンバだった。

　ガンバの歴史に残る壮絶な死闘だった。もう負けられないという気持ちが最後になって結果となった試合だった。しかし、天皇杯４回戦で平日ということもあってか、この壮絶な死闘の目撃者はわずか２７３５名。当日万博へ足を運んだ数少ないサポータは貴重な試合の目撃者となった。


　ＰＫ戦は運、とするならば、勝利の女神は平等に微笑んだということか。リーグ戦では見られない延長戦、そしてＰＫ戦を久しぶりにそれも２試合連続で体験でき、これまで軽く見ていた１点の重みを再認識できたことであろう。この２試合で得た、貴重な経験を生かして、残りのリーグ戦で自慢の攻撃力の復活を期待する。まずは次節浦和戦だ。