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 webnews 03/06/10 (火) <前へ次へindexへ>
勝負を分けた先制攻撃。広島が福岡を下して首位を堅持。
2003Jリーグ ディビジョン2 第16節 サンフレッチェ広島vs.アビスパ福岡

2003年6月7日(土)14:04キックオフ 広島スタジアム 観衆:5,901人 天候:曇
試合結果/サンフレッチェ広島3−1アビスパ福岡(前2−1、後1−0)
得点経過/[広島]サンパイオ(7分)、マルセロ(17分)、[福岡]ベンチーニョ(24分)、[広島]マルセロ(80分)


取材・文/中倉一志

 一巡目を10勝1分という圧倒的な強さで駆け抜けた広島。その広島も2順目に入ってから苦しい戦いが続いている。12節の川崎戦で今シーズン初の敗戦を味わってから、ここまで1勝2分1敗。ボールはつなげるのだが、守りを固める相手を崩せず、自慢の攻撃陣は4試合で2得点とすっかり影を潜めている。「前の意識、ゴールへの意識、多少雑になっても大胆なプレー」を求める小野監督は、福岡戦を仕切り直しの一戦として迎えていた。

 一方、福岡にとっても広島戦は今後を占う意味で試金石の試合だった。開幕から試行錯誤を重ねてきたメンバーも2順目に入ってようやく固定。チームの目指す戦い方も随所に現れるようになっており、ここまで積み重ねてきたものが形になりつつある。平均年齢23.36歳という若さはメンタル面での弱さが指摘されているが、結果を出しさえすれば、若いだけに勢いに乗れる可能性もある。自分たちのスタイルで強豪広島にどこまで戦えるのか。福岡からやってきたサポーターも熱い視線を送っていた。



 開始直後の3分、左サイド後方から駆け上がってきた服部がパスを受けると、その勢いのままシュートを放つ。広島が作った最初の決定機だ。そして、これを合図にしたかのように激しく福岡に襲い掛かった。「前半はアグレッシブに前へ行こう。サイドに広く、テンポよくボールをどんどん回していこう」(小野監督・広島)。指揮官の指示を受けたイレブンは、ここまでの4試合の鬱憤を晴らすかのように、前へ、前へと駆け上がってくる。

 必死にプレスにくる福岡の鼻先で素早くボールを回し、スペースへ次から次へと走りこんで福岡DFを切り裂いていく。最終ラインは上村とリカルドの2人だけ。その攻撃的な姿勢の前に、福岡はボールを追いかけるだけで精一杯の展開が続く。そして17分、左サイドを駆け上がってきた服部が立石と競り合いながらも絶妙のボールを折り返すと、二アサイドに注意を引かれた福岡DFの背後に現れたサンパイオが、左足インサイドで楽々ゴールに流し込んだ。

 続く17分、福岡を翻弄し続ける広島はゴール前の混戦から李漢宰がマルセロとのワンツーでペナルティエリア内へ飛び込んでいく。たまらず立石が体を預けると李漢宰が転倒。そしてPKを告げる笛が鳴る。これをマルセロが決めて広島は早々と2点のリードを奪った。対する福岡は24分、ベンチーニョの芸術的なFKで1点を返し意地を見せたが、前線の危険なゾーンに何度も顔を出すマルセロの前にペースを奪い返すまでにはいたらず。試合は広島ペースのまま前半を折り返した。



 ところが、後半に入ると福岡が盛り返した。立ち上がりの激しい攻撃のためか広島の足が止まったのに乗じて中盤のボールを支配。ベンチーニョにボールを集めると、宮崎がスペースへ飛び出すという得意のパターンで主導権を握る。広島で目立つのは前線を動き回るマルセロだけ。前半、面白いようにサイドを突破していた服部はピッチの上から完全に消えていた。そして68分、ベンチーニョのFKを壁に入ったマルセロが手で叩き落したとしてPKの判定が下る。福岡にとって最大のチャンスが訪れた。

 同点にさえ追いつけば、このまま押し切れる。福岡イレブンはそう感じていたはずだ。「この流れの中で得点をとられるとまずい」。小野監督も同じことを感じていた。しかし、試合の行方を大きく左右するベンチーニョのPKを、下田が左へ飛んで見事にキャッチ。広島のピンチを救った。そして、この後は互いに一進一退の攻防が続く。広島には前半のような勢いはなく、福岡もベンチーニョに頼る以外に決定機が作れない。勝負は次の1点。ともにジリジリする展開が続く。

 そして、試合にけりをつけたのは、やはり広島だった。時間は80分。高木からボールを受けた森ア和がピッチ中央をドリブルで駆け上がる。そして、福岡のプレスが緩んだ瞬間、ペナルティエリアの右隅でフリーになっていたマルセロへボールが渡った。この時点で勝負あり。マルセロの右足から放たれたシュートは、必死で両手を伸ばすGK水谷の指先を掠めてゴールマウスに吸い込まれた。「3点目が最終的には一番大きかった」(松田監督・福岡)。もはや福岡に反撃の手は残されていなかった。



 それにしても見事な広島の先制攻撃だった。素早いパスワークはもちろん、パスを引き出す周りの選手の動きが素晴らしかった。誰かがボールを受けるのと同時に他の選手がスペースに向かって動き出す。さらに、飛び出した選手を福岡の選手が追いかけると、さらに新しくできたスペースに別の選手が走りこむ。その連動した動きで福岡のDFを切り裂いた。途中、福岡にペースを握られる時間帯もあったが、結局は、早い時間帯での2得点が大きくものをいった。

 一方、敗れた福岡の松田監督は、必要最低限のことだけを話して記者会見場を早々と引き上げた。追いかける記者にミックスゾーンで捕まると、穏やかな表情で応じたものの、言葉の端々から悔しさがにじみ出た。後半開始直後から3失点目を喫するまでは、むしろ福岡のペース。同じ気持ちで立ち上がりから戦うことができれば・・・。そんな思いで一杯だったに違いない。「ゲームプランは変わらない。同じことを続けるだけ」。最後にそう語った松田監督。若さゆえのメンタル面での弱さ。辛抱の戦いはまだまだ続きそうだ。



松田監督(福岡)記者会見
小野監督(広島)記者会見

(サンフレッチェ広島) (アビスパ福岡)
GK: 下田崇 GK: 水谷雄一
DF: 駒野友一 リカルド 上村健一 服部公太 DF: 立石飛鳥(82分/川島眞也) 千代反田充 セルジオ 宮本亨
MF: 李漢宰 森ア和幸 サンパイオ MF: 宮崎光平 篠田善之 米田兼一郎 宮原裕司(74分/アレックス)
FW: 大木勉(70分/梅田直哉) マルセロ 森ア浩司(45分/高木和正) FW: ベンチーニョ 林祐征(12分/福嶋洋)
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