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 webnews 03/06/30 (月) <前へ次へindexへ>
「本命」フランスが粘るトルコを振り切って決勝進出
FIFAコンフェデレーションズカップ フランス2003 準決勝第2試合 フランス代表vs.トルコ代表

2003年6月28日(土)21:00キックオフ サンドニ(スタッド・ドゥ・フランス) 観衆:41195人
試合結果/フランス代表3−2トルコ代表(前3−1、後0−1)
得点経過/[フランス]アンリ(11分)、ピレス(26分)、[トルコ]ギョクデニズ(42分)、[フランス]ビルトール(43分)、[トルコ]トゥンジャイ(48分)


文/中倉一志

 選手に経験を積ませることと、試合に勝利するという、いわば相反する2つの仕事を課せられたフランス代表のサンティニ監督。選出された23人の選手を全員起用し、3戦全勝、8得点1失点という文句のない成績でチームを準決勝まで連れてきた。しかし、フランス代表に義務付けられているのは地元開催の大会での優勝。そんなフランスは準決勝で難敵トルコを迎え撃つ。過去の対戦成績は2戦2勝。しかし、決して油断できる相手ではない。

 対するトルコはグループリーグでは1勝1分1敗。最終戦のブラジルとの戦いを2−2で引き分けて、総得点でわずか1点だけブラジルを上回り決勝トーナメントへの出場権を得た。国内でプレーする選手を中心にした代表チームだが、粘り強い戦いぶりは健在。前線には若きストライカー、トゥンジャイが控える。そして何より、真っ赤なトルコカラーに身を包んだサポーターの存在が心強い。この日も「トゥルキエ!トゥルキエ!」の大合唱がスタッド・ドゥ・フランスにこだまする。



 立ち上がりから主導権を握ったのは地元フランス。11分には早々と先制点を挙げる。トルコのクリアボールを拾ったテュラムがダクールへ。ダクールからのダイレクトパスを再び受けたテュラムが右サイドを駆け上がり、その前へ斜めに入ってきたピレスへボールを送る。回り込んだピレスからのマイナスのクロスボールを受けたのはビルトール。ゴール正面の絶好に位置だったが、さらに左前方にフリーで構えるアンリへとボールが渡る。ズタズタに切り裂かれたトルコの最終ライン。アンリは右足インサイドでゴールに流し込むだけでよかった。

 フランスらしい流れるような見事なゴールにスタジアムの大観衆が沸く。フランスはさらに26分、今度はスローインのボールをゴブ、アンリ、ピレスとつないで、またもやトルコ守備網を完璧に崩して早々と2点のリードを奪った。これが「シャンパンサッカー」。そういわんばかりのフランスの攻撃は見事の一言。前を向くとすっとスピードを上げ、柔らかく、流れるようなリズムであっという間に相手を崩していく。ねじ伏せるような力強さはないが、華麗という言葉が見事に当てはまる。

 余裕すら漂わせるフランスは、その後トルコにボールを持たせるが、決して攻めさせない。コンパクトなゾーンを敷き、縦へ入ってこようとするトルコから、絡めとるようにしてボールを奪ってカウンターを仕掛けていく。42分には、ギョクデニズに1点を奪われたものの、その直後の43分、トルコのバックパスをアンリが奪うと、あっという間にゴール前に詰め掛けて怒涛の攻撃を展開。最後はビルトールが決めて、前半を3−1で折り返した。「フランス強し」の印象ばかりが残る前半だった。



 ところが、トルコはこのまま黙っていなかった。ギュネス監督は左SBのイブラヒム・ユジュメルズを左WBの位置に上げてシステムを3−5−2に変更。この采配がいきなり的中する。48分、バシュトゥルクから左サイドを駆け上がるイブラヒム・ユジュメルズへ。中央で待つトゥンジャイは、一度スピードを緩めてDFから離れると、次の瞬間、ギャラスの前へ猛ダッシュ。左サイドからのクロスボールにジャンプしながら右足を合わせてゴールネットを揺らした。

 ここからは完全なトルコペース。攻守にわたって中途半端に過ごした前半とはまったく別のチームがそこにはいた。水を得たように両サイドを駆け上がるギョクデニズとイブラヒム・ユジュメルズ。豊富な運動量とスピードを活かしてDFラインの裏側へ飛び出すトゥンジャイ。両サイドの対応に追われてフランスの中央の守備がゆるくなったところをついてバシュトゥルクが起点を作る。今度はトルコが攻める番。フランスは守備一辺倒だ。

 しかし、サンティニ監督は66分、ゴブに代えてシセを投入。さらに70分にはカポを、78分にはジュリを投入して打開を図る。その効果が現れて試合が落ち着き始めると、今度はギュネス監督が動く。81分にバシュトゥルクに代えてネジャティを、85分にはセルチェクに代えてボルカンを投入した。1点を守りきれるのか、堅く守るフランスのDFを崩しきることが出来るのか。監督同士の丁々発止の駆け引きが始まる。



 そして44分、この試合の最大の山場が訪れる。ペナルティエリアの中へドリブルで入ろうとするイブラヒム・ユジュメルズ。身体を寄せて自由を奪おうとするダクールが、思わず右手がイブラヒム・ユジュメルズのユニフォームをつかんだ。倒れこむイブラヒム・ユジュメルズ。それを目の前で見ていたレフェリーが下した判定はPKだった。追いつくならば今しかないトルコ。同点にされてはトルコの勢いを止めきれないフランス。スタジア中に緊張感が走る。

 キッカーはオカン・ユルマズ。この1点の重みがそうさせるのか、緊張感があふれる表情でペナルティスポットに向かう。PKは右にとんだクペに対しがら空きになった左へ。しかし、グラウンダーのシュートは無常にもポストの左側を通ってゴールラインを割った。これで全てが喫した。落ち着きを取り戻したフランスはボールをキープして時間をコントロール。最後のチャンスに欠けたいトルコに攻撃の機会を与えない。そして3分のロスタイムが経過してホイッスル。フランスが決勝進出を決めた。

 照準をEURO2004に定めるフランス。このチームはまだまだ発展途上。しかも、今大会に召集を見合わせたベテラン選手たちもいる。しかし、あくまでも軽やかに、そして華麗につなぐパスサッカーはフランスそのもの。どこまで仕上がるのか興味は尽きない。
 そしてトルコ。昨年のW杯での活躍ぶりで世界中の注目を浴びたが、その実力が本物であることを今大会で披露してみせた。熱いサポーターとともに、目が離せない存在になりそうだ。


(フランス代表) (トルコ代表)
GK: クペ GK: リュシュテュ(36分/メルコ)
DF: テュラム ギャラス デサイー シルベストル DF: ファギー・アギイエル アルパイ ビュレント イブラヒム・ユジュメルズ
MF: ビルトール(78分/ジュリ) ペドレッティ ダクール ピレス(70分/カポ) MF: ギョクデニズ セルチェク(85分/ボルカン) バシュトゥルク(81分/ネジャティ) エルギュン
FW: ゴブ(66分/シセ) アンリ FW: トゥンジャイ オカン・ユルマズ
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