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 webnews 03/06/30 (月) <前へ次へindexへ>
「不屈のライオン」初タイトルに王手
FIFAコンフェデレーションズカップ フランス2003 準決勝第1試合 カメルーン代表vs.コロンビア代表

2003年6月26日(木)18:00キックオフ リヨン(スタッド・ジェルラン) 観衆:12.352人 天候:晴
試合結果/カメルーン1−0コロンビア(前1−0、後0−0)
試合経過/[カメールーン]エンディフィ(9分)


文/砂畑 恵

 ゲームも終盤に差し掛かろうかという時だった。69分、コロンビアにしてはめずらしく、自陣からロングフィード。ボールを受けたエルナンデスがベセーラにスルーパスを供給した。ベセーラはペナルティエリア手前で切り返す。堪らずに飛び込んだチャトはベセーラの足を払い、倒してしまった。審判は躊躇なくチャトに2枚目イエローカードを提示し、退場を通告。カメルーンリードとは言っても、その差は僅かに1点であり、セーフティーではない。コロンビアの猛攻に浮き足だったカメルーンは苦境に立たされ・・・。



 このゲーム、カメルーンは幸先のよいスタートを切っていた。サッカーではゴールの産まれやすい時間と言われる開始10分までの間に先制点を奪った。後方からのクロスをイドリソはヘディングで中に折り返す。コロンビアディフェンス陣の意識は中央に走り込んだフォエに集中。しかし、ボールは遠いサイドに待っていたヌジェフィへ。そしてフリーでゴールに押し込んだ。

 だが、この得点の後はコロンビアの反発に合う。ドリブルで持ち込んだパティーノにシュートを浴び、右サイドをサイドバックのマルティネスに破られては、そのクロスをアリスティサバルにダイレクトでボレーシュートされる。いずれのシュートもゴールの枠を外れ、大事には至らないが、守備に人数を割いているにも拘わらず、カメルーンのディフェンスの甘さが見られたシーンであった。

 それでもコロンビアがゲームのペースを握った時間帯に失点を間逃れたこともあって、カメルーンは次第に好機の波を引きよせた。相手に勝るスピードを武器に徹底的にサイドから崩しに掛かる。堪らずファウルを犯すコロンビア。昨年のW杯のドイツ戦では熱くなってリズムを自ら乱してしまう側面もあったカメルーンだが、この試合では執拗な相手のマークにも冷静に対処していた。



 26分にはFKから最後はジェレミのシュートへと繋げる波状攻撃を展開。さらに32分にはフォエの撫で切るようなボールにベトーヤが被ったところをジェレミは上手く抜け出たかに見えたが、ここはO・コルドバのナイスセーブに阻まれる。そして後半に入ってもカメルーンの優位は続く。53分、相手の連携ミスを見逃さずにボールを奪い、カウンターを繰り出す。ヌジェイフの横パスはフォエを抜けたが、フォアに走り込んだイドリソがシュート。カメルーンの追加点かと思われたが、ここでもO・コルドバがスーパーセーブ。カメルーンはコロンビアを突き放すチャンスを逸した。

 このO・コルドバの好守がカメルーンの勢いを止めた。カメルーンの攻めに精彩がなくなる。そして、マツラナ監督が切り札として後半から投入したベセーラが、コロンビアにゲームの流れを引き寄せた。コロンビアの攻撃はショートパス主体で、中央からの崩しに固執しがち。これがコロンビアサッカーの特徴とも言えるが、ワンパターンに陥っている感は否めない。

 逆にカメルーンにとっては、同じパターンを繰り返すコロンビアの攻撃に身体が慣れて守り易い。ところがドリブラータイプのベセーラは単独でサイドをかき回し、ペナルティーエリアに向って突破を計る。その今までにないベセーラのテンポは、カメルーンの守備に混乱の波紋を広げる。58分、65分とベセーラの動きが、相手を翻弄。66分にはあわやPKかと思われるほどにカメルーンの守備を追い詰め、そしてついには、チャトを退場の憂き目に合せた。



 この退場劇を受けて、カメルーンベンチは交代選手の準備に慌ただしくなる。そんな矢先だった。突如、フォエがセンターサークル内で天を仰ぐように倒れた。そのままフォエはピッチから運び出される。チームの核となる選手の離脱。動揺はゲームの行方に大きく作用する。カメルーンは腹を括った。しかも時計は75分を過ぎている。カメルーンはアトウバとネザフを相次いでピッチに送くると、全員が自陣に引いて守りに専従。もしカウンターのチャンスが巡ってきても、ボールホルダーがドリブルで行けるところまで突っ走り、フォローも少人数で済ませる。チーム内の意志統一ははっきりしていた。

 反対にコロンビアは10人となった相手に攻めあぐねた。もともと攻めのバリエーションも少ない上に、カメルーンが自陣にこもったことで、リズムを変えられるベセーラが使うスペースがなくなった。サイドチェンジで相手を揺さぶる工夫もなければ、相手ディフェンスの裏を狙う2列目、3列目からの飛び出しもない。89分には最大のチャンスを迎えたが、ゴールポストにも見放されてしまった。

 そしてカメルーンが最後までその牙城を守り抜き、フル代表が競う世界大会でアフリカ勢初の決勝進出を果した。



 このレポートの終りに際し、急逝したフォエ選手のことに触れざるを得ない。今後、こういった大会のスケジュールや医療運営について、考え直さねばならぬ点もあろう。
 私達はサッカーに様々な人生を投影し、ピッチで繰り広げられる出来事に感情を移入する。歓びも、悲しみも、怒りも、楽しみも・・・。フランス映画「サンドイッチの年」の一節に次のようなシーンがある。人生をサンドイッチに例えるなら、ハムもあるが、カラシ一杯の年もある。どんなに辛くても、頬張らなくてはいけない、と。この悲しみを厳粛に受け取ると共に、サポーターも含め、サッカーに関わる統べての人が乗り越えなくてはならない。ADIEU FOE、あなたの愛したサッカーと私達は人生を歩んでいく。


(カメルーン) (コロンビア)
GK: カメニ GK: O・コルドバ
DF: メトモ ソング エンジャンカチャト DF: マルティネス I・コルドバ ジェペス ベドジャ(70分/ムリージョ)
MF: ジェレミ ジェンバジェンバ フォエ(75分/ネザブ) エンバミ チャト MF: パティーニョ ベラスケス(46分/ベセーラ) バレンティエラ ロペス
FW: エンディフィ(74分/アトゥバ) イドリス(90分/ファレミ) FW: エルナンデス アリスティサバル
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