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 webnews 03/12/02 (火) <前へ次へindexへ>
TDK、天皇杯初勝利!アルエットはホームで悔しい敗戦。
第83回天皇杯全日本サッカー選手権大会 1回戦 アルエット熊本vs.TDK

2003年11月30日(日)13:00キックオフ 熊本市水前寺競技場 観衆:536人 天候:晴
試合結果/アルエット熊本1−3TDK(前0−1、後1−2)
得点経過/[TDK]森田(18分、75分)、[熊本]相良(86分)、[TDK]森田(87分)


取材・文/中倉一志

 今年も天皇杯の季節がやってきた。参加するのは、Jリーグ28、JFL2、大学2、高校1に、1都1道2府43県の各代表チームを加えた合計80チーム。プロとアマチュアが同じ土俵で戦う「日本最大・最古の大会」は、11月30日に開幕する1回戦を皮切りに約1ヶ月間に渡って激しく、熱い戦いが繰り広げられる。目指すは、サッカープレーヤーなら誰もがあこがれる「元旦の国立」、そして真の日本一の名誉だ。

 さて、熊本市で開催された1回戦では、地元熊本県代表のアルエット熊本FC(以下、アルエット)と秋田県代表のTDKが対戦した。アルエットにとっては3大会連続の初戦突破が、TDKは10回目の出場で初勝利を挙げることが、この試合の目標になる。そんな両チームを応援しようとスタンドには熱心なファンが駆けつけた。536人という数字は、Jリーグを見慣れた人たちには物足りないかもしれないが、チームを思う気持ちと熱い声援は、どこのスタジアムでも変わりはない。



 ホームの声援をバックにホイッスルと同時に積極的に前に出るアルエット。しかし、10分を境に、この攻撃を凌いだTDKが試合の主導権を握る。狙いは極めてシンプル。1トップの本田に楔のボールを当てて、落としたところを裏へ飛び出す森田へつなぐ。高い位置からのプレッシングで中盤の主導権を握り、最終ラインからは正確なロングフィードを前線に送る。本田の高さと、スピードのある森田の突破で何度もチャンスを演出して行く。

「前半は全体的に連動性に欠けた」(河野忍監督・アルエット)。一方のアルエットの狙いは両サイドで起点を作り、そこから楔を入れるというもの。しかし、TDKの激しいプレッシャーの前に中々ボールがつなげない。サイドを突破しようとしては押さえ込まれ、縦へのパスは正確性に欠けて楔のボールが入らない。攻め手を完全に封じられてしまった。やりたいサッカーを相手にやらせてもらえないもどかしさが、ひしひしと伝わってくる。

 そんな展開の中、TDKに先制点が生まれる。時間は18分。ハーフウェイラインから10メートルほど入った左サイドでFKのチャンスを得たTDKは、すばやく成田がグラウンダーのボールをゴール前ファーサイドへ。そこへフリーで森田が飛び込んできた。「リスタートが早いという話はしていたが、リスタートに対する対応が少しぼけた」(河野監督)。慌てて守備に入るアルエットを尻目に、森田が落ち着いてゴールネットを揺らした。



「後半、あそこまで押し込まれるとは思っていなかった。選手が初の1勝ということで緊張したのかもしれない」(小松監督・TDK)。前半は一方的に主導権を握っていたTDK。しかし、後半に入ると試合は一変する。攻めるしかないアルエットは、左SBの仲安に代えて藤田を、FW吹氣に代えて田尻を投入。システムを3−5−2に変えた。狙いは両ワイドを活性化することと、高い位置で楔のボールを受けること。これが見事に効を奏した。

 楔のボールが入ることで全体が上がり目になり、アルエットは中盤の主導権を奪い返す。これが、前半苦しめられていたロングフィードを封じることになり、サイドに起点を作ることを可能にした。特に右WBの野元が再三サイドを突破。面白いようにチャンスを作り出す。さらの中盤の西村を前に上げて3トップ気味の布陣で攻め立てるアルエット。51分、52分、そして71分にも決定的な場面を作り出す。しかし、これはGKのスーパーセーブと身体を張ったDFにはじき返された。

 流れは完全にアルエット。だが、決めるべき時に決められないと足元を救われるのはサッカーの常だ。75分、森田のドリブルから左サイドの佐藤淳へ展開したTDKは、そこからのクロスをゴール前に飛び込んだ森田がダイレクトで合わせて追加点をゲットする。アルエットも負け時と86分に1点を返し追撃体制を整えたが、その直後の87分、TDKは、更に前がかりになるアルエットの裏を取ってカウンター一発。最後は森田がハットトリックとなる3点目を決めて試合に終止符を打った。



「先取点が一番大切と思っていたが、先にとられたのが後々まで響いた。内容は紙一重」(河野監督)。先取点をとられ前がかりにならざるを得ず、ここぞというときに2失点目を喫したことが大きく試合の流れを変えてしまった。ちびっ子からご年配の方まで、実に幅広いファンの声援を受けて最後まで戦ったが、勝利の女神を引き寄せることができなかった。しかし、限られた環境の中で積み上げてきた実力を存分に発揮したアルエットに、観客も大きな拍手を送った。

 一方、初の1回戦突破を果たしたTDK。「結果的に勝てたんで、まずは良しという感じ。半分、運もあった。でもああいうゲームはよくやってるんで、そういう意味では選手に焦りはなかったと思います」。小松監督は、そう試合を振り返った。「次はカウンターしかないんで。今日の反省点を生かして、カウンターで何とか勝ちたいですね」。2回戦の対戦相手はJFLの大塚製薬。TDKは1回戦突破を果たした勢いで強豪に挑む。


(アルエット熊本) (TDK)
GK: 中西慶太 GK: 小野聡人
DF: 村上一武 中山貴夫 内平卓博 仲安啓介(HT/藤田俊一) DF: 佐藤淳 佐藤敬 小沢征敏 佐々木義人(68分/大村孝)
MF: 西村歌志 藤家千博 野元恒兵 吉田陽一 MF: 成田卓也 佐藤聡 森潤 森田真吾 佐々木武彦
FW: 相良利朗 吹氣邦弘(HT/田尻秀一) FW: 本田直樹
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