topnewscolumnhistoryspecialf-cafeabout 2002wBBSmail tolink
 webnews 03/12/02 (火) <前へ次へindexへ>
呼び込んだ奇跡!!横浜が大逆転でシーズン完全制覇!
2003Jリーグ ディビジョン1 2ndステージ第15節 横浜F・マリノスvs.ジュビロ磐田

2003年11月29日(土)14:02キックオフ 横浜国際総合競技場 観衆:43,283人 天候:雨
試合結果/横浜FM1−2磐田(前0−1、後2−0)
得点経過/[磐田]グラウ(2分)、[横浜FM]マルキーニョス(50分)、久保竜彦(89分)


取材・文/大内孝彦

 J1の2ndステージは、最終節を迎えても磐田、鹿島、横浜FM、市原の計4チームに優勝の可能性が残っている。ただし、市原については得失点差を考えるとほぼ絶望といって良い状況であり、実質は3チームの争い。そしてこの試合は、横浜FMが磐田をホームに迎えるというとともに優勝の可能性を残している両チームの対戦である。

 磐田は第14節を終えて勝ち点は26。2位の鹿島とは勝ち点2の差があるため、最も優位に立っているといえる。この試合に勝利すれば文句無く2ndステージ優勝であり、引き分けた場合でも、鹿島の試合結果に左右されるものの優勝の目は残る。だが、敗れてしまった場合は優勝の望みは絶たれてしまう。

 対する横浜FMは、磐田に勝ち点3差の3位。この試合に勝利すれば得失点差で磐田を上回ることになる。しかし、2ndステージのタイトルを手に入れるには、鹿島が引分けるか負けるかが必要条件となる。1stステージの覇者であり、2ndステージも制覇して完全制覇を目指している横浜FMだが、それを実現することは非常に難しい状況であるといえる。



 季節外れの台風の影響もあって、この日の横浜は雨。朝から時折激しい雨となっていたが、試合開始前頃は小雨となっていた。この日の磐田は前節に退場処分を受けた西が出場停止。また中山はこの日もベンチからのスタート。
 対する横浜FMも、鹿島戦に退場処分を受けた柳想鐵が2試合出場停止の処分を受けたためこの試合も出場できない。ただし、前節に体調不良で欠場した松田が復帰したのは明るい材料である。

 この試合、柳想鐵を欠く横浜FMの布陣が注目されたのだが、岡田監督の出した結論は3−5−2であった。磐田も同じく3−5−2であり、かつ中盤の底に2人を配置する形であるため、両チームともにほぼ同じような布陣となった。

 試合は開始早々から大きな動きを見せることになる。2分。左サイドからジヴコヴィッチがゴール正面のグラウへ合わせて入れたセンタリングに対して、河合がボールのカットを狙ったのだが空振り。そしてボールを受けたグラウが見事なシュートを放ち、ゴール右へと決めて先制したのである。

 この後、激しい攻防が展開するのだが得点までにはいたらず。そして15分。事件が起きた。GK榎本が蹴ったボールに対してグラウがジャンプしてチャージ。ボールは転々と横浜FMのゴールに転がりポストに当たったところで榎本がこれを確保する。このグラウのプレーに対しては主審が笛を吹いており、例えゴールに入っていたとしても無効であった。しかし、榎本はこれに対して激昂。そのまま猛然とグラウに向かって突進し突き倒してしまったのである。

 当然、この榎本のあまりに稚い行動に対して主審は退場を宣告。こうして横浜FMはまたしても10人で試合をすることとなってしまった。そしてGKを欠いた横浜FMは右翼の攻撃の起点である佐藤を下げて、この試合が実に3年ぶりの公式戦出場となるGK下川をピッチに送り出すことになった。



 1点をリードし1人多い状況。磐田が普段どおりのサッカーをして横浜FMの選手達の疲労を重ねさせていれば、おそらく横浜FMはノーチャンスであったのではないだろうか。しかし、この優勢な状況が磐田を心理的な陥穽へ誘ったのか、この後、磐田のプレーはゆっくりボールを回すようなリスクを背負わないものになってしまう。

 そのような展開に加えて、横浜FMが守備的に構えたこともあり、試合は落ち着いたペースとなって行く。そんな状況下の33分。横浜FMに大きなチャンスが訪れる。左サイドからのボールを中央で受けたマルキーニョスが右へはたき、これを受けた久保が右足でシュート。あわや同点かという場面だったが、これは惜しくもゴールポストに当たる。この後は両チームに大きなチャンスは無く、前半は磐田が1点をリードして終了。

 そして後半。横浜FMに同点ゴールが生まれることになる。50分。ドゥトラのゴール前に入れたコーナーキックを磐田の選手がクリア。しかしこのクリアが小さく、これにマルキーニョスが反応。このボールをゴールに押し込んで同点となった。
 しかし、磐田にとって同点までは十分に許容範囲内である。この試合を引分けたとしても優勝の可能性は十分にある。そしてハーフタイムの時点で鹿島のリードは2点。まだ現実に得失点差で余していた。



 とはいうものの、磐田としては勝ち越して勝ち点3をしっかりと稼いでおくのが本来の姿であろう。だが、どうしても攻撃のペースが上がらない。それどころか1人少ないはずの横浜FMにほとんど互角もしくは互角以上と言ってよい試合を展開されてしまう。しかし、81分。磐田に大きなチャンスが訪れる。途中出場の川口が左から入れたボールが横浜DFに当たりながらも逆サイドにいるグラウの前へと流れてくる。そしてこれをグラウがシュート。だが、これは惜しくも右のポストを直撃。磐田の勝ち越しとはならなかった。

 この後、双方ともに決定的な場面を作れないまま時間が経過してゆく。そしてロスタイムへと突入。ここに信じられないようなドラマが待っていた。
 GK下川のゴールキックから松田が競り合いつつも前線へ大きく蹴りだす。このボールが非常に微妙な位置へと落下。そして大きくバウンドする。そしてこのボールに久保が反応していた。落ちてきたボールに対して山西と競りつつもジャンプして頭で合わせる。このヘディングのボールがつられて前に出てきていたGK山本の頭上を越えてゴール右へと吸い込まれた。横浜FMがついに逆転したのだ。

 まさかの逆転を許した磐田は、DF山西に代えてFW中山を投入。2ndステージ優勝を再び手元に引き寄せようとするのだが、残されていた時間はあまりにも少なすぎた。間も無く試合終了の笛が鳴らされ、磐田の2ndステージ制覇の夢は潰えた。



 こうして横浜FMが磐田より2ndステージの順位が上回ることが確定。こうなると気になるのが埼玉の試合の状況である。そしてスクリーンに浦和vs.鹿島戦の模様が映しだされる。そこに映しだされたの鹿島の選手達の険しい表情。何かの気配を感じ取って異様な雰囲気が辺りを包む。そして画面の片隅に表示されたスコアはなんと2−2。鹿島が引き分けならば、横浜FMの2003シーズン完全制覇である。歓声に包まれる横浜国際総合競技場。実は、この少し前に浦和がエメルソンのゴールで同点としたばかりだったのである。

 そしてしばらくの後、埼玉の試合もタイムアップ。横浜FMが2003Jリーグ年間チャンピオンに決定した瞬間であった。こうして横浜FMが昨年の磐田に続いて、リーグ完全制覇を成し遂げたのだが、今年の横浜FMは昨年の磐田のような力強さを感じさせるチームではない。1st、2ndともに混戦を制しての優勝であったことがそれを示している。

 だが、そうであるからといって、今年の横浜FMが幸運に恵まれて完全制覇を果たしたのかといえば、断じてそうではない。忘れてはならないのは、今年の横浜FMには試合を決してあきらめない強い心と、勝利に対する執念を持ち合わせていたということだろう。来シーズン、横浜FMは他のチームから追いかけられる立場となる。しかし、そのハートを持ち合わせている限り、来年もスリリングで迫力を感じられるサッカーを我々に見せてくれるに違いない。


(横浜F・マリノス) (ジュビロ磐田)
GK: 榎本哲也(15分/退場) GK: 山本浩正
DF: 中澤佑二、松田直樹、河合竜二(79分/大橋正博) DF: 鈴木秀人、田中誠、山西尊裕(89分/中山雅史)
MF: 佐藤由紀彦(16分/GK:下川健一)、遠藤彰弘(51分/上野良治)、那須大亮、ドゥトラ、奥大介 MF: 河村崇大、福西崇史、服部年宏、ジヴコヴィッチ(76分/川口信男)、名波浩
FW: マルキーニョス、久保竜彦 FW: グラウ、前田遼一(72分/西野泰正)
SUB: 小原章吾、安永聡太郎 SUB: 佐藤洋平、上本大海
<前へ次へindexへ>
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送