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 webnews 03/12/10 (水) <前へ次へindexへ>
中国に2得点完封も不満の残る勝利
東アジア選手権2003決勝大会 日本代表vs.中国代表

2003年12月4日(木) 19:16キックオフ 国立霞ヶ丘競技場 観衆:41.742人 天候:曇
試合結果/日本代表2−0中国代表(前1−0、後1−0)
試合経過/[日本]久保(4分、80分)


取材・文/砂畑 恵

 今春のSARS流行の影響で冬にまで延期となった東アジア選手権決勝大会が、ようやく開催の運びとなった。日本、韓国、中国と昨年のW杯経験チームに、ノーシード枠を賭けて予選を勝ち上がってきた香港を含めた4カ国の対抗戦。日本戦の前には香港vs.韓国の試合が行なわれ、韓国が3−1のスコアーで勝利し勝ち点3とし、まずは他の相手国に先手を打っている。日本とすれば結果を知った上での中国との対戦。韓国に遅れを取ることなく、勝ち点をゲットしたいところ。とは言っても中国は難敵。厳しい試合となることが予想された。

 ところが開始4分に久保が代表初ゴールを決め、早々と青く色付いたスタジアムを揺らす。得点のシーンは日本のFKから。小笠原のキックはやや精度を欠いて、李毅が短めのクリアーで周海浜に繋ぐ。そこで小笠原がボールを奪い返して前線へフィード。そのボールに守備位置を高く仕掛けた中国ディフェンスライン上で、久保は半身で小笠原を様子を視界に捉えて急発進。少し離れてはいたが、同じタイミングで引き返した肖戦波よりも身体半分前に出てボールをインパクトする。前に出てきたGK劉雲飛に当てるも、そのこぼれを押し込んだ。

 早い時間帯の得点に気持ちが乗るかと思われた日本であったが、10分を過ぎる頃となると、中国に攻め込まれた。10分、李毅のFKを李イ鋒に頭で合わされ、GK楢崎がCKに逃れる。15分にも鄭智のロングキックから前線の李毅にボールが渡る。李毅の侵入は山田が止めたが、左サイドを楊璞に突かれた。更には19分に中国ベンチが早い動きを見せた。李銘義に代えて劉金東を投入。ゲームメイクする小笠原を警戒し、劉金東をマンマークに付かせたのだ。



 小笠原がマークされると、日本の攻撃は冴えを失った。2列目の小笠原とそれ以降の選手の間が開き過ぎたこともあって、フォローのない小笠原が苦戦する。福西と左アウトサイドの三都主が絡んで攻め込むシーンもあったが単発に終わる。中国が日本の右サイドを崩しに掛かかったこともあって、山田は低い位置に閉ざされて、攻めに上がる機会を失っていた。そんな中でも35分、小笠原のパスから決定機が生まれた。三都主のパスを受けた小笠原が一瞬タメを作る。その間にオフサイドの位置にいた久保は左に流れながらDFを引きつけ、オフサイドラインに戻る。その間に大久保がウェーブしながら小笠原のパスと同時にゴール前に駆け抜ける。スタジアムは沸いたが、大久保のシュートはGK劉雲飛に止められてしまった。

 逆に中国は日本に攻め込む回数は多いものの決定機はさほどない。38分、肇俊哲と劉金東ワンツーから肇俊哲が前線にクロスを入れるが、李毅のヘッドは左に流れる。43分にはハオ海東のパスを周海浜がダイレクトで前に送り、李毅はシュートに持ち込んだが、宮本がコースを切って、GK楢崎は難なくキャッチした。

 前半はボールの繋がりがスムーズといかなかった日本だが、後半になると中盤の修正が図られていた。鳴りを潜めていた山田が、後半になって攻めに上がる回数が増えた。60分には山田のパスから、反転1発で久保が相手を抜き去りシュートに持ち込む。小笠原のプレーにも冴えが戻る。福西と遠藤が代わるがわる前に出て、頻りに小笠原のフォローを行なったからだ。小笠原より福西、遠藤へ、時に福西と遠藤のパス交換をするシーンが目立ち始めた。そのことで小笠原へのマークも甘くなりがちで、小笠原は決定的な仕事をした。

 62分、小笠原のロングパスに久保が反応してGKと1対1。落ち着いて狙ったと思われたシュートはポストを直撃して追加点ならず。それでも前半、停滞気味だった攻撃にリズムが戻ったことは明らかだった。そして80分、待ちに待った追加点は生まれた。小笠原のインターセプトから投入されたばかりの本山がダイレクトで前線に。一気に加速して中国DFを置き去りにした久保が今度は冷静にボールをゴールに流し込んだ。そのまま中国には得点を許さずに幸先の良いスタートを切ったかに見えたのだが…



 まずは収穫という点で、久保の活躍が挙げられるだろう。その身体能力の高さから、日本人離れしたストライカー像を見出し、かねがね久保に期待する声は多く聞かれた。クラブチームでは遺憾なく力を発揮していた久保でも、こと代表となると縁遠い状況であった。その久保の鮮やかな2ゴール。ストップ&ゴーの動作転換、トップスピードに乗るシフトチェンジがともに素早く、相手のマークの甘さを差し引いても素晴らしい切れだった。

 もう一つはジーコジャパン初の3バックが、混乱もなく順応出来たことだろう。3バックを組んだ坪井、中澤、宮本の3人は、いずれもトルシェジャパンや自チームにて3バックを経験してことも安定していた理由だと言える。今回は宮本がやや引いたスイーパーシステムのオーソドックスな3バックではあったが、スピードに優る坪井、高さと当たりに強い中澤、クレバーでカバー能力に長けた宮本と、それぞれの個性をも活かせていた。

 坪井は34分に楊璞と肇俊哲のワンツーから楊璞にサイドを破られ、ペナルティーエリアに侵入されたが、持ち味のスピードを活かし自らそのピンチを防いだ。中澤も果敢に高い位置で相手にプレッシャーを仕掛けている。62分の久保のシュートは中澤が小笠原と相手を挟み込んだことで相手ボールを奪うことに成功したことに起因している。宮本も81分に李毅のシュートシーンで前に飛び出したGK楢崎のカバーに入りゴールを死守した。3バックの欠点はDF間が広く、宮本が外に引き出された際に危険が生じる。その場合はディフェンシブハーフがバックアップ。殊に遠藤の献身的なプレーは光り、58分、66分と見事なカバーにチームは救われた。

 しかし3バックにしたことにより、1番活性化するかと考えられたサイド攻撃は不発。所属チームで同じポジションを務める三都主、山田ともにサイドからの崩しは思うほどには効果が上がらなかった印象を受ける。三都主のドリブルでの仕掛けもあるが、これと言えるほどでもなく、山田に関しては後半こそ高い位置でプレーを見せたが、あまりにアタックが少なかった。ただ2人だけに問題があるわけでもない。FWの2人がDFライン上に留まることが多く、クロスのタイミングが掴めずにいたことも確か。アウトサイドの2人を活かすためにも、プル・アウェイなどしてFWが再度動き出す必要もあるかと思う。


(日本代表) (中国代表)
GK: 楢崎正剛 GK: 劉雲飛
DF: 山田暢久 宮本恒靖 三都主アレサンドロ 中澤佑二 坪井慶介 DF: 李イ鋒 楊璞 鄭智 李銘義(19分/劉金東) 肖戦波 徐雲龍(73分/魏新)
MF: 福西崇史 小笠原満男 遠藤保仁 MF: 周海浜(68分/楊晨) 肇俊哲
FW: 久保竜彦 大久保嘉人(77分/本山雅志) FW: 李毅 ハオ海東
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