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 webnews 04/10/05(火) <前へ次へindexへ>
福岡が仙台に粘り勝ち。J1昇格へ望みをつなぐ。
2004Jリーグ ディビジョン2 第37節 ベガルタ仙台vs.アビスパ福岡

2004年10月2日(土)14:05キックオフ 宮城スタジアム 観衆:17,632人 天候:晴
試合結果/ベガルタ仙台1−2アビスパ福岡(前0−0、後1−2)
得点経過/[福岡]山形(55分)、[仙台]村上(67分)、[福岡]アレックス(73分)


取材・文/中倉一志

 6チームが入り乱れて展開してきたJ2の2位争いも第4クールに入って動き出した。第3クールが終わった段階で3位につけていた福岡は痛恨の3連敗。順位を6位に落としただけではなく、2位の大宮に11、3位の山形にも8の勝ち点差をつけられた。そして、7位という順位ながらサバイバルレースに必死に喰らい付いてきた仙台も2連敗。サバイバルレースを戦ってきたライバルたちに大きく水を開けられた。わずかに残された可能性を現実のものに変えるためには、ともに勝つこと以外に方法はない。

「あきらめるな。全勝すればいい」。仙台サポーターは横断幕を広げ、ピッチの上に現れた選手たちを大声援で迎える。宮城スタジアムに終結した17,000人を超えるサポーターはゴールドのユニフォームを身にまとい、フラッグを振って選手たちを鼓舞している。アウェイ側のゴール裏には「残された全ての時間をJ1アビスパのために」の横断幕。福岡サポーターは人数にすれば50人ほど。しかし、熱い気持ちは負けてはいない。遠い福岡から宮城スタジアムに思いをはせるサポーターの分まで選手を後押しするつもりだ。



 立ち上がり、リズムを掴んだのは福岡だった。積極的に高い位置からプレスをかけ、米田、松下が交互に前線にまで顔を出す。ボールを早く縦へ運ぼうという意識も高い。そして8分、アレックスがドリブルで左サイドを突破してファーサイドへ。飛び込んできた山形が右足ボレーで合わせる。しかし、そのリズムも10分まで。ボールをキープするものの相手を崩しきれないシーンが続く。そして、次第にバランスが崩れていく。ここまで何度となく繰り返してきたパターン。福岡に嫌なムードが漂う。

 しかし、仙台のサッカーも迫力に欠けた。守備に重点を置いた戦い方は福岡のサイド攻撃を潰すことには成功した。しかし、福岡のプレスの前に引きすぎてしまい、カウンターのチャンスに前線との距離を詰められず、佐藤、萬代が孤立。ロングボールを放り込むだけの攻撃に陥っている。そんな仙台に思わぬ決定機が転がり込んだのは25分。福岡DFのペナルティエリア内で緩慢な動きを突いて萬代が左足を振り抜いた。しかし、これはGK水谷がファインセーブ。ゴール裏で声援を送るサポーターにガッツポーズで応える。

 ボールキープ率では上回り、試合のほとんどの時間帯を仙台陣内で過ごすものの、チャンスらしいチャンスを作れない福岡。守りを固めるだけで前へ出られない仙台。終了間際には梁の強烈なミドルシュート、川島のサイド突破からの山形のシュートと互いにチャンスは作ったが、ゴールには結びつかなかった。そして、攻撃の形を作れない両チームは、閉塞感をつのらせたまま前半を終える。しかし、互いに勝つことしか許されていない試合。後半、どのように修正してくるかが、大きなポイントとなった。



 後半、前に出たのは仙台だった。福岡との大きな違いはボールを持っていない選手の動き。パスの出し手と受け手、そしてもう1人の選手がスペースに向けて飛び出していく仙台は福岡の中盤を切り裂いてゴールを目指す。自陣に引きこもっていた仙台が、ようやく攻撃を開始した。だが、先制点は福岡。右サイドからドリブルで切り込んできた川島への村上のスライディングタックルを、足をはらったと判断した主審がPKを宣告。このPKを山形が落ち着いてゴール右隅に流し込んだ。55分のことだった。

 しかし、仙台は意気消沈するどころか、ここから更に激しく攻めたてた。低い位置から好パスを連発する熊谷。虎視眈々と裏を狙う佐藤。左サイドから積極的に前へ出る村上。福岡は防戦一方に追いやられる。そして、仙台の同点ゴールは67分。シルビーニョのFKを水谷がパンチングで防いだが、そのこぼれ球を村上が押し込んだ。更に68分、仙台は中田を下げて関口を投入。3トップ気味にシステムを変更して左サイドから猛攻を仕掛けた。試合の流れと時間帯からして当然の交代だった。

 しかし、逆転を目指して攻め込んだことが、結果として裏目に出るのだからサッカーとは怖いものだ。73分、攻めあがってきた村上からボールを奪った福岡は松下、宮崎へとボールをつなぐ。前がかりになっていた仙台は守備の枚数が足りない。右サイドへ走り込んだ山形にパスを出してペナルティエリアへ走り込む宮崎。そして左サイドからはアレックスが長い距離を走って前線へと上がっていく。マークに付ききれない仙台。山形がセドロスキーをかわしてクロスボールを送ると、ドフリーのアレックスが落ち着いてゴールネットを揺らした。

 そして、この1点を水谷が守り抜く。「いままで負けているのに、サポーターがこんなところまで来てくれた。それに応えなきゃいけないと思っていた」。83分、萬代の決定的なシュートをCKに逃げ、その直後の萬代との1対1のシーンも、ゴール前に仁王立ちになって弾き返した。このプレーに選手たちも応える。更に前がかりになり、最後はセドロスキーを上げてパワープレーに出た仙台の猛攻を耐え忍ぶ。そして試合終了のホイッスル。最後の生き残りをかけた戦いは福岡が制した。



「前半に失点をしてしまうということが多かったが、前半を0−0で折り返したということで今日は行けるなという感じになった。追いつかれた後も、選手の中に勝ちたいという気持ちが強かった」(松田監督)。内容自体は3連敗中と大きく変わるものではなかったが、我慢しなければならない時間帯を凌いだことが勝利につながった。しかし、勝ち続けなければならない状況に変りはない。「本当に僕たちは負けたら終わり。ひとつ、ひとつ、とにかく全力で戦っていきます」。この日、大活躍だった水谷は気を引き締めてバスに乗り込んだ。

「全体の流れとしては悪くなかった。ただ流れの中で、点を取りきれなかったりとか、ちょっとしたミスでやられてしまったり、微妙な判定の中で不利な状況を招いてしまった。しかし、そういう中で勝っていかなければ、J1には上がれない」(熊谷)。チームは確かに成長の後を見せている。それでも勝ちきれないのは、ベルデニック監督が言うように、経験が足りないということか。しかし、下を向いても何も始まらない。仙台が成熟するためには、残り7試合を全力で戦い抜くことが欠かせない。


松田浩監督(アビスパ福岡)記者会見
ベルデニック監督(ベガルタ仙台)記者会見


(ベガルタ仙台) (アビスパ福岡)
GK: 高桑大二朗 GK: 水谷雄一
DF: 森川拓巳 セドロスキー 根引謙介 DF: 川島眞也(75分/篠田善之) 千代反田充 増川隆洋 アレックス
MF: 熊谷浩二 シルビーニョ 中田洋介(68分/関口訓充) 村上和弘 梁勇基 MF: 山形恭平 米田兼一郎 松下裕樹(81分/田中佑昌) 宮崎光平
FW: 佐藤寿人 萬代宏樹 FW: 林祐征(76分/太田恵介) エジウソン
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