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 webnews 04/10/06(水) <前へ次へindexへ>
激闘120分。日本、6大会連続で世界の舞台へ!
AFCユース選手権大会 マレーシア2004 準々決勝 日本vs.カタール

2004年10月3日(日)18:00キックオフ ラーキンスタジアム/ジョホールバル
試合結果/日本代表0−0(5PK3)カタール代表


文/中倉一志

 重苦しい緊迫感が漂った試合は120分で決着が付かず、PK戦でも互いに譲らずゴールネットを確実に揺らしていく。いつ果てるとも知れない激闘。ピッチの上にこれ以上ない緊張感が漂う。しかし、この流れをGK西川が断ち切った。先攻の日本が4−3で迎えたカタールの4本目。ジャファルが蹴ったPKを右に飛んでゴールマウスの外へと弾き出したのだ。そして日本は5人目の船谷が落ち着いてゴール右隅に流し込む。この瞬間、日本は6大会連続、7度目の世界への切符を手に入れた。

「本当に良かった。内容は満足のいくものではないが世界に行けたことは良かった。感無量です」(大熊監督)。苦しい試合だった。カタールの強いフィジカルとスピードの前に、日本はパスをつなぐ自分たちのサッカーを最後まで展開することができなかった。しかし、そんな試合を高い集中力で凌ぎ切ったことが勝利につながった。「今日だけはゆっくりさせたい。しかし、ここまで来たら最後まで。明日からは気持ちを切り替えて臨む」(同)。日本は、まだ成し遂げていないアジアチャンピオンの座を目指して準決勝に臨む。



 この試合に勝てばワールドユースへの出場権を獲得できる。しかし、カタールは思った以上に強敵だった。見るからに体格は日本より一回りも大きい。そして、ロングボールを放り込んでは、そのフィジカルとスピードを生かして前へ、前へと進んでくる。対する日本はボールホルダーに対して身体を密着させ1対1のシーンを凌ぐ。その粘り強いDFはカタールに決定的なシーンを与えない。しかし、守備の健闘に反し、攻撃面では自分たちの形を作らせてもらえなかった。

 カタールの圧力の前に自陣深くまで下げられてしまった日本は、セカンドボールを拾えずに守備に追いやられる時間が続く。時折、反撃に転じようとするのだが、カタールに分断されたラインは前線をフォローすることができず、トップに対するボールも簡単に囲まれて前線が孤立する。パスをつないで組み立てようにも、カタールのプレッシャーの前に思うようにボールを捌けない。日本は我慢に時間帯が続く。

 4−3−3の布陣で臨むカタールは、やや下がった位置で自由に動き回るワリードを中心にサイドから攻め込んでくるというパターン。特にゲームの組み立てに、そして攻撃に切れのあるプレーを見せるワリードは要注意だ。しかし、日本にとって幸いだったのは、カタールの攻撃はオーソドックスではあるが意外性に欠けていたこと。強烈なミドルシュートを2本ほど浴びたものの、流れの中から崩されることはなかった。結局、前半は0−0。カタールの圧力をどうやってかいくぐるかが、後半の日本のポイントとなった。



 後半も立ち上がりの47分、日本は鮮やかにボール回してカタールを崩すと、最後はカレン・ロバートがゴールネットを揺らす。このプレーは、一連のプレーでオフサイドがあったとしてノーゴールと判定されたが、この試合で初めて見せた日本らしい攻撃だった。そして、ここから、ジワジワと日本が持ち味を見せ始める。ポイントとなったのはカレン・ロバートの動きだった。中盤に参加し、精力的に動き回ってボールを引き出すことで、日本にボールの収まりどころができた。そして24分、日本は苔口が決定的なシュートを放つ。しかし、これはGKカーセムのファインセーブに阻まれた。

 一方のカタールも主導権を譲らない。試合開始直後から比べれば、その縦への圧力は弱まったとはいえ、ロングボールとスピード、そして、相手を背負いながらも全く苦にせずプレーするフィジカルの強さは相変わらず日本を苦しめていた。試合の流れは一進一退。どちらかに、あと1本パスが通れば決定的なシーンが生まれるのだが、日本もカタールも、それを許さなかった。35分には高柳が、40分にはワリードが、ともに強烈なロングシュートを放ったがGKへ。そして、試合は延長戦へと進んでいく。

 しかし、ここからの日本はノーチャンスだった。再び攻勢を強めるカタール。96分にはワリードのシュートがポストの右をかすめ、101分にはマギドのシュートがクロスバーを襲う。さらに108分にはワリードがFKのチャンスに直接ゴールを狙う。延長戦でカタールが放ったシュートは7本。しかし、自陣深いところまで押し込まれ、守備に追いやられる日本は森本の放ったシュート1本だけ。試合の流れは完全にカタールが掌握していた。しかし、この30分間を粘り強く守り切ったことが、結果的に世界への切符を手に入れることにつながった。



「DFとGKが頑張ってくれたおかげで勝てた」(平山)。その言葉どおり、この試合のポイントは守備陣の頑張りが全てだった。劣勢に追い込まれながらも、フィジカルに勝る相手に徹底して身体を寄せて、相手に思うようにプレーさせなかったDF陣。3人目のキッカーまではタイミングが全く合っていなかったにもかかわらず、ここぞと言うところで高い集中力を発揮してPKを弾き返したGK西川。気温31度、湿度70%という気候の中で、最後まで維持した集中力は見事だった。

 厳しい戦いを勝ち抜いて手に入れた6大会連続のワールドユースへの出場権。それは、日本のサッカーの将来を考えたとき、間違いなく大きな成果だと言える。しかし、彼らには、もうひとつの大きな使命が残されている。それは、アジアユース初優勝という勲章を手に入れることだ。「今まで成し遂げたことのない優勝をしたい」(平山)。アジアの頂点まで、あと2つ。大熊ジャパンの戦いはこれからだ。


(日本代表) (カタール代表)
GK: 西川周作 GK: カーセム
DF: 小林祐三 増嶋竜也 水本裕貴 DF: アリ・ナセル ハルーン ビラール ヌールアルディーン
MF: 高萩洋次郎(56分/中山博貴) 高柳一誠 中村北斗 苔口卓也 兵藤慎剛(87分/船谷圭祐) MF: アルバレーシ イマード(116分/ジャファル) メサード
FW: カレン・ロバート(96分/森本貴幸) 平山相太 FW: サリム ワリード アル・アラーク(83分/マギド)
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