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 webnews 04/10/26(火) <前へ次へindexへ>
安定感を見せた福岡が3連勝。逆転昇格に望みをつなぐ。
2004Jリーグ ディビジョン2 第39節 ヴァンフォーレ甲府vs.アビスパ福岡

2004年10月23日(土)14:00キックオフ 山梨県小瀬スポーツ公園陸上競技場 観衆:6,088人 天候:曇
試合結果/ヴァンフォーレ甲府1−2アビスパ福岡(前0−1、後1−1)
得点経過/[福岡]エジウソン(25分)、有光(75分)、[甲府]津田(81分)


取材・文/中倉一志

 立ち上がり、甲府が軽快なリズムで福岡のゴールに迫った。前線でポイントを作る小倉を軸にして須藤、石原が最終ラインの裏へ飛び出し、それを横山がフォローする。バランスを保った守備と、ボールが小倉に収まると一気にスピードアップしてシンプルにゴールへ向かう甲府らしい攻撃だ。ここ3試合で勝ち星がなく、また怪我人のために高卒ルーキー3人が先発メンバーに並ぶ甲府はモチベーションが心配されたが、この試合に向けてきちんと準備ができているようだ。

 対する福岡は、中盤でボールをキープすると、下がってくるエジウソンを起点にしてボールを回しながら甲府の隙を捜す。狙いはサイドからの攻撃。こちらも持ち味を生かして試合の主導権を奪いにかかる。勝ち点を落とせばJ1昇格の可能性が限りなく低くなる福岡は、どちらかといえば慎重な立ち上がりだが、僅かな隙を見逃すまいと神経を張り詰めて甲府ゴールを狙う。特にアレックスの積極的な姿勢が目を引いている。



 守りに重点を置きながら、チャンスには攻守の切り替えを早くしてシンプルにゴールへ向かう。両チームの狙いは明確だった。ここまでの対戦成績は1勝1分1敗の五分。福岡の1−1、0−1、1−0というスコアが示すように、どの試合もジリジリするような展開だった。「今度も我慢比べのような試合になる」(松田浩監督・福岡)。いかにバランスが保てるか。そして、少ないチャンスをどうやってモノにするかが、この試合のポイントだった。

 そんな試合は、時間の経過とともに福岡が流れを引き寄せる。ポイントは中盤の攻防だった。この日の甲府のダブルボランチは、千野と鈴木の高卒ルーキーコンビ。そつなくプレーしていたものの、やはり経験不足は否めない。プレッシャーを思うようにかけられず、福岡に中盤の主導権を奪われた。スペースを狙うことで新たなスペースを作り出す有光。ボールをキープしてアレックスの上がりを待つエジウソン。果敢に仕掛けるアレックスと宮崎。福岡は面白いように左サイドを崩していく。

 福岡の先制点は、このサイド攻撃から生まれた。時間は25分、相手のクリアボールを拾った宮崎が左サイドの深い位置まで持ち込んでゴール前に折り返す。ニアに飛び込んできた有光がボールをスルーすると、その後方に難なく入り込んだエジウソンが左足インサイドで合わせてゴールネットを揺らした。そして、1点を返そうと前に出てくる甲府を安定感のある守備でかわすと、しっかりとゲームをコントロールして前半を終えた。



 前半の流れから見て、試合はこのまま福岡がコントロールする気配が漂う。しかし、甲府は黙ってはいなかった。「やられたのは失点のシーンだけ。自信を持っていこう」。(松永秀樹監督・甲府)。そして甲府はリスクを背負って猛然と前に出る。「何点取られてもいいという感じで前に仕掛けてきた。相当厳しいプレッシャーでボールをつなぐは非常に難しかった」(松田浩監督)。試合は一変して甲府のペースに。福岡はゴール前に釘付けにされる。

 しかし、甲府は決定力に欠いてゴールが奪えない。この時間帯でゴールが生まれていれば結果は違ったものになったのだが、シュートに持ち込めなければゴールは生まれない。56分、福岡はエジウソンに代えて太田を投入。高い位置にターゲットを置いてカウンターで2点目を奪いに行く。しっかりと前へボールをつなぐ福岡。足が止まる甲府。そして75分、セットプレーからの太田のヘディングシュートがクロスバーに跳ね返ったところを有光が押し込んで、事実上の決勝ゴールを決めた。

 ここからは完全な福岡のペース。攻めに出る甲府を堅い守備で危なげなく跳ね返し、有光と太田が高い位置までボールを運んで時間を使う。計算しつくしたかのように時計の針を進める福岡の前に、甲府は効果的な攻撃を繰り出すことができなかった。81分には、CKから津田が頭で合わせて甲府が1点を返したが試合の流れは変わらず。落ち着いて試合をコントロールする福岡は、2−1のままで試合を終わらせて大切な勝ち点3を積み上げた。



「本来であれば無失点で終わりたかったなというのが本音。けれど、とにかく今は結果というのが一番大切なので、そういう意味では大きな勝ち点3だった」(松田監督)。しかし、1失点を喫したこと以上に収穫があった試合だった。有光とエジウソンが2トップを組むことで縦方向へパスを打ち込むことができるようになり、同時にチームにスペースを使う意識が生まれ、今まで閉塞感が漂っていたサイド攻撃を活性化したからだ。3連勝を果たしたチームのムードも悪くない。福岡は逆転J1昇格を目指して残り5試合全てに勝利を目指す。

 さて、敗れた甲府。「判断力であったり、状況を見極める目であったり、あるいは技術力の差であったり、もちろん経験の差であったりと、そういったところでの差は、どうしてもある」。松永監督は敗北を認めざるを得なかった。しかし、将来が楽しみな若手もいる。「勝ち点をひとつでも積み重ねていくということが大事。今までやってきたこと、自分たちのスタイルが出せるようにやっていきたい」。まだシーズンは終わっていない。応援を続けてくれるサポーターのためにも、残り5試合で完全燃焼を期す。


松田浩監督(アビスパ福岡)記者会見
松永英機監督(ヴァンフォーレ甲府)記者会見
(ヴァンフォーレ甲府) (アビスパ福岡)
GK: 佐藤優也 GK: 水谷雄一
DF: 津田琢磨 池端陽介 青葉幸洋 土橋宏由樹 DF: 川島眞也(86分/宮本亨) 千代反田充 増川隆洋 アレックス
MF: 千野俊樹(79分/長谷川太郎) 鈴木健太 横山博敏(62分/藤田健) 石原克哉 MF: 山形恭平(65分/松下裕樹) ホベルト 米田兼一郎 宮崎光平
FW: 須藤大輔(69分/白尾秀人) 小倉隆史 FW: エジウソン(56分/太田恵介) 有光亮太
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