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 webnews 04/11/22 (火) <前へ次へindexへ>
名古屋の勝利も霞んだ浦和の初ステージ制覇
2004Jリーグ ディビジョン1 2ndステージ 第13節 浦和レッズvs名古屋グランパスエイト

2004年11月20日(土) 14:03キックオフ さいたま市浦和駒場競技場 観衆:21.192人 天候:晴
試合結果/浦和レッズ1−2名古屋グランパスエイト(前0−1、後1−1)
試合経過/[名古屋]マルケス(40分)、角田(77分)、[浦和]エメルソン(88分)


取材・文/砂畑 恵

「私、今日はウォータープルーフのマスカラ付けてきたんだ」。女子大生風のレッズサポーター2人が電車で交わしていた会話だ。もし優勝して泣いてもマスカラが涙で流れ落ちない為の対策。その乙女心を微笑ましく思いながらスタジアムへ向かう。自由席は階段も通路も人、人、人で溢れ返っている。オフィシャルプログラムは試合1時間前には既に完売する盛況振り。そして選手入場の際には先が見えない局地的な大吹雪に見舞われた。



 試合は「攻めの浦和」に「カウンターで切り返す名古屋」と構図がはっきりしていた。勝って優勝を決めたいという想いが、浦和の選手をいつもより攻撃的にさせた。4分、ショートコーナーから闘莉王のボレーシュートを皮切りに、エメルソンが、永井が、そして山田が次々、名古屋ゴールを狙う。相手陣内に攻め入るに伴いセットプレーも増える。DFも総動員で先取点をもぎ取ろうと躍起になった。

 そんな浦和の気持ちを焦らす名古屋の守備陣。秋田を中心に丹念に浦和のシュートコースを潰す。角田もスライドしてDF陣を助けた。そしてマイボールとなるやロングフィード。マルケスとウェズレイに、着かず離れずの程よい距離を保つ中村とのトライアングルは素早いパスで相手陣内に攻め込む。中谷も前線へと勢い良く飛び出した。

 歓声と嘆息で揺れる駒場。だが一瞬の静寂が訪れる。40分、攻撃の意識が強くなり過ぎた浦和の守備がバランスを崩した。その隙を突いた中村が闘莉王をかわして右サイドをドリブルで駆け上る。中村はGK山岸をおびき出すとマルケスにパス。きっちりとインパクトされたボールがネットを揺らす。スタジアムには得点者を告げるアナウンスだけが響いた。



 1点リードで折り返した名古屋だったが、1つ気になったのは前半だけでフィールドプレーヤーの半分がイエローカードの提示を受けていたこと。これが後半のプレにー影響を与えるのではないかと気を揉んだのだが・・・。案の定、58分、大森がエメルソンをタッチライン際で削ってイエローカード。その直後のFKでもファウルを犯して退場となってしまった。

 けれど数的不利になったチームに得点が産まれるのも、これまたサッカーの面白さ。浦和は68分、長谷部に代えて岡野を投入。永井がポジションを上げて3トップとなる。前半以上に浦和の攻撃はうわすった。そして、そんな浦和にエアポケットが産まれる。77分、名古屋のCKは一端はDFに跳ね返されるが、こぼれ球を拾ったクライトンが右サイドにロングボールを送る。そのボールに三都主が被ってしまい、背後に走り込んでいた角田がそのまま持ち込んでシュート。押されていた名古屋が点差を広げた。

 後のない浦和は攻めに攻めまくった。だが完全に自陣に引いた名古屋の守備を打ち崩せない。それでも40分、永井のスルーパスに反応したエメルソンがペナルティーエリア内でクライトンに倒されPKを獲得。それをきっちり決めて1点差。更にはDF全員をゴール前に置いてパワープレーも試みる。特にネネには再三、ヘディングシュートのシーンが訪れるがあと一歩が及ばず。ロスタイムにはエメルソンのパスをアルパイが楔となり、その戻しを田中がダイレクトシュートするも、楢崎が適切なポジショニングでゴールにがっちり鍵を掛けた。そしてそのまま名古屋が逃げ切ってゲーム終了。しかしG大阪の敗戦の報がもたらされ、浦和のステージ優勝が決定。負けて沈んだ駒場に歓喜の時は訪れた。



 名古屋は浦和の「絶対に勝ちたい」という気持ちの裏を突き、老獪で固い守備と、鋭いカウンターを浴びせて勝利を収めた。特に中村に関しては攻撃だけではなく、守備でも対峙する長谷部に烈しくアプローチ。長谷部に効果的なパスを出させることがなかった。惜しむらくは退場者2人を含め、ラフプレーが多かったことだ。また交代や判定に対する異議で試合が数分間に渡って中断する場面が何度もあった。好ゲームを期待していただけに非常に残念。この点についてだけは猛省を促したい。

 この試合に関して言えば、浦和は勝ちを意識し過ぎて、自ら守備をアンバランスなものにしてしまった。それに加え、相変わらずセットプレーに関しても、蹴り入れるボールの種類やパターンの工夫が乏しかった。やはり今後、綿密に突き詰め直さねばいけない問題だろう。

 それにしても大事な一戦、しかも今季負けなしのホーム試合でコケて優勝を飾るのも、なんだか浦和らしい。浦和と言えば「個人技による得点」と、その攻撃を称する向きがある。だが攻撃陣は昨年と全く変わりはない。にも拘わらず攻撃力がアップしているのは、各々が強い信頼で結ばれ特性を融和させ結果に他ならない。また守備面では大型補強の効果が大きかったが、サブの選手が出ても遜色ない働きが出来るのはチームのレベルが安定していた証拠だ。勿論、やり残した課題はあるが、それをこれからも1歩ずつ解決する楽しみがこのチームにはある。

 試合後、サポーターは現役だけでなく歴代の選手のコールを繰り返していた。山あり谷あり、それが人生。浦和で結ばれた選手とサポーターはいかなる時も共に歩み続けていく。


(浦和レッズ) (名古屋グランパスエイト)
GK: 山岸範宏 GK: 楢崎正剛
DF: アルパイ 田中マルクス闘莉王 ネネ DF: 大森征之(58分/退場) 秋田豊 古賀正紘
MF: 山田暢久 長谷部誠(68分/岡野雅行) 三都主アレサンドロ(84分/平川忠亮) 鈴木啓太 MF: 角田誠 吉村圭司 クライトン(86分/退場) 中谷勇介 中村直志
FW: 田中達也 永井雄一郎 エメルソン FW: ウェズレイ マルケス(44分/平林輝良寛、60分/井川祐輔)
SUB: 都築龍太 内舘秀樹 酒井友之 SUB: 川島永嗣 藤田泰成 山口慶
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