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 webnews 04/12/31 (金) <前へ次へindexへ>
鹿島、延長でも一歩も引かず、PK戦で広島の3冠達成を阻止し2度目の優勝!
第12回Jユースカップ2004 決勝 鹿島アントラーズユースvs.サンフレッチェ広島F.Cユース
2004年12月26日(日)13:01キックオフ 長居スタジアム 観衆:1,538人 天候:晴
試合結果/鹿島アントラーズユース0−0(延長)PK3−1サンフレッチェ広島F.Cユース

取材・文/貞永晃二


 こぶしを天に向かってつきあげ咆哮する鹿島の選手たちと、敗戦のショックで打ちひしがれた広島の選手たちを見ると、胸が締めつけられる思いがする。3年生にとって最後のゲーム、死力をつくして戦った両チームのメンバーの優劣をつける手段がPK戦というのはなんだかとても残念な気がした。

 8月の日本クラブユースと10月の高円宮杯全日本ユース、ともに決勝で磐田を降し優勝した広島。3冠という偉業達成をかけた決勝は横浜FM、柏、浦和という関東の強豪のブロックを勝ち上がった鹿島との対戦となった。



 準決勝(2−0ヴェルディ)に勝利したあと、広島・森山監督は記者に囲まれる中で「決勝では、最初からガンガンと前へ前へと行くサッカーをやりたい」と話した。しかしながらこの日口火を切って攻め込んだのは意外にも鹿島の方だった。右サイドをSB滝川が駆け上がりクロスを入れ、広島DFがカットしてCKに逃げる。CKはうまく活かせず得点には至らないが、さらに鹿島は右サイドから崩してチャンスを作りかけた。広島の選手の強烈な自信を崩すには十分だった。

 広島は時間の経過とともに徐々にペースを握っていく。広島が攻め、鹿島が守る。この予想された展開も、どのチームも止め切れなかった前田、平繁、木原、纉cらの攻撃陣に対して、準決勝の3バックから4バックに切り替えたCB後藤を中心とする鹿島DFは必死にしかも激しくまとわりつき決定機を作らせない。

 得点のにおいが全くなかったわけではない。23分、鹿島DFのミスからのこぼれを平繁がダイレクトでカーブシュートし惜しくもバーを叩いた場面。42分、前田が倒されて得た左サイドのFKを大屋がGKに向かうカーブで蹴ると、両チーム選手のヘッドの競り合いでコースが変わりGKが取れずDFがゴールライン上でクリアした場面だ。

 対する鹿島も決して専守防衛ではないのは当然のこと。トップ昇格を決めているMF山本を基点にFWもよく走り広島DFに脅威を与える。



 後半序盤は広島が前半同様にリズム良く攻め込む。しかし肝心のシュートのタイミングに鹿島DFが身体を張り、広島は先制することができない。やがて鹿島がペースを引き戻し攻撃への意欲を前面に見せ始め、シュート数でも鹿島が上回っていく。

 残り20分となって森山監督はアタッカー木原に代えて中盤の底に田中を入れ、高柳を一列前に上げ攻撃重視にシフトさせた。一方鹿島・河崎監督もFW黒澤を投入し勝負に出た。しかしこの日の両チームの守備陣のハード&クレバーなディフェンスは互いのアタッカーを封じ込めてしまう。DFだけではない守護神の広島・佐藤、鹿島・杉原の冷静でアグレッシブな守備も見ものだった。佐藤は72分の大道の強烈な左足のシュートも防ぐ。直後、右サイドから前田がドリブルで侵入するが、いつもの彼らしくない不正確なシュートがワクを外れていった。

 インジュリータイムには右の前田から左の高柳へ美しいパスが通るが、広島の決勝点とはならない。まさにパサーとレシーバーが反対だったらと思われた。

 10分ハーフのVゴール方式の延長に入っても互いに大きなチャンスもなく、時間は過ぎていく。まさに守備力が攻撃力を押さえ込んだという展開が続き、タイムアップの笛の音が鳴ると、左右に陣取った多くのサポーターたちに安堵の声が聞かれ、すぐさまPK戦での勝利を願う声援に変化した。

 PK戦では、鹿島GK杉原がスーパーなセーブを連発し、先攻の広島は2、3、4人目が連続して止められた。鹿島は失敗なしで3人が決め110分間でつかなかった決着があっけなくついた。勝負とはかくも冷酷なものか。



 スコアレスだったもののJのユースチームらしく、ボールを大切にプレーする基本が徹底されたハイレベルなチーム同士の好ゲームだった。しかし高校選手権で選手が見せるがむしゃらさは感じられなかった。それだけにこの両チームが正月の高校選手権に加わればどういうプレーをするのか確かめてみたい衝動を抑えることができない。鹿島・広島の選手たちはどのように考えているのだろうか。

 広島では藤井が新潟へ、佐藤・森脇・高柳・纉c・前田の五人がトップに昇格し、一方の鹿島も後藤・吉澤・山本がプロの道に進む。まだ原石でしかない彼らだが、森山・河崎両監督が愛情あふれる指導で手塩にかけて育てた逸材たちだ。この日流した涙はうれし泣きと悔し泣きと対照的だった。一日も早くJリーグの舞台で彼らが活躍して暮れる日が待ち遠しい。








(鹿島アントラーズユース) (サンフレッチェ広島F.Cユース)
GK: 杉原一貴 GK: 佐藤昭大
DF: 滝川敬祐 野本泰崇 後藤圭太 鈴木寿毅 DF: 大屋翼 藤井大輔 槙野智章 森脇良太
MF: 郡司祐太(70分/黒澤光士) 山本拓弥 吉沢佑哉 田嶋慎吾(90分/畑中亮人) MF: 高柳一誠 柏木陽介 纉c慎一朗
FW: 大道広幸 関野達也 FW: 木原正和(69分/田中裕樹 平繁龍一(105分/佐藤将) 前田俊介
SUB: 菅谷竜樹 槙峰大和 岡野大輔 大内正貴 大崎智裕 SUB: 栗崎和也 中山修志 遊佐克美 冨成慎司 横竹翔
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