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 webnews 05/01/04 (火) <前へ次へindexへ>
全員攻撃・全員守備。組織力の高さを見せた奈良育英が2回戦へ
第83回全国高校サッカー選手権大会 1回戦 東海学園vs.奈良育英

2004年12月31日(金)12:10キックオフ 柏の葉総合競技場 天候:雨 観衆:1,500人
試合結果/東海学園0−2奈良育英(前0−0、後0−2)
得点経過/[奈良]細川(65分)、小池(74分)


取材・文/中倉一志

 前日の大雪が心配されたが、大会運営をサポートする高校生たちの手によってピッチの上には雪の姿は消え、柏の葉総合競技場のフィールドには青々とした芝生が広がる。とは言え、冷え込んだ気温は水分を含んだ芝生を凍りつかせ、キックオフ前から振り出した冷たい雨は、ピッチコンディションを更に悪化させる。天候やピッチコンディションもサッカーのうちだが、厳しい戦いを勝ち抜いて全国にやって来た選手たちのことを考えると複雑な気持ちになる。

 そんな悪条件の中、奈良育英が完成度の高いサッカーを披露した。全員攻撃・全員守備を身上とする奈良育英のフォーメーションは4−4−2。奥野、宮本のCBを中心とした安定した守備をベースに、ボールを奪うとギアチェンジをしてスピードを上げ、全員が無駄走りを惜しむことなくスペースへ走りこむ。特に目立つのは右からのサイド攻撃。MF前河とSB西本のコンビネーションにトップ下の岸本が加わって繰り出す流れるようなサイド攻撃は、何度も決定的なシーンを演出していく。

 しかし、そこはやはり高校生。「肩がつりあがっているのが外から見ても分かった」(上間政彦監督・奈良育英)。初戦の緊張からか、度重なる決定機にもシュートが枠を捉えられない。決めるべきときに切るられなければ流れが相手移っていくのはサッカーの常。そして、ここまでいいところのなかった東海学園に流れが移っていく。東海学園の特徴はロングレンジのパスを繋いでシンプルにボールを前に運ぶというもの。ディアゴナルなロングパスを多用して前に出る。しかし、決定機を作るには至らず。試合はスコアレスのまま前半を折り返した。



 後半も奈良育英のペースで始まる。決め切れなかったことでリズムが変わることが心配されたが、むしろ、攻撃の迫力は前半よりも上。東海学園は中盤でのチェックが甘くなり、押し込まれる時間帯が続く。2分、7分、8分、そして10分、奈良育英が決定機を次から次へと作り出す。しかし、それでもゴールが決まらない。すると東海学園にも12分、20分ち決定的なチャンスが訪れる。このチャンスにスコアが動けば試合の内容も変わったのだろうが、東海学園もゴールが奪えず試合の流れを変えるまでには至らなかった。

 それにしても、奈良育英の選手たちは、ゴールを決めきれない展開にも慌てずに自分たちのサッカーを繰り返す。結果から言えば、この姿勢が自分たちのリズムを守り続ける要因となった。これだけ決まらないと集中力が散漫になるものなのだが、それだけ鍛えられているということなのだろう。そしてそれは、自分たちのサッカーに絶対の自信を持っていることの表れでもある。そして、そんな姿勢がゴールに結びつくのは時間の問題だった。

 時間は65分、途中出場のFW細川(3年)が左サイドからドリブルで中へ。キックフェイントを入れてタイミングをずらすてから左足を振り抜いた。ゴール左隅に決まったシュートにGKは反応することさ腕着なかった。そして追加点は74分。ボールをキープする東海学園のDF2人が緩慢な動きを見せたところを見逃さずにボールを奪取。そのままドリブルで持ち込んでゴール右隅へシュートを突き刺した。2回戦に進むためには、この2得点で十分。組織力の高さを見せ付けた奈良育英が順当に1回戦を突破した。



「もう少しテンポが速くなれば、もっと崩せたと思いますけれど、狙いとしては悪くはなかったと思います」(上間政彦監督)。中々点が取れなかったという事実は残ったが、自分たちが求めている組織的なサッカーは十分に発揮できた。それは選手たちも実感していることだろう。夏の高校総体への出場は逃したが、キャプテンを中心に人間性の部分で成長し、自分たちがやっていくサッカーを実現できたことが全国につながった。2回戦で待ち受けるのは青森山田と米子北の勝者。いずれにしても強敵だが、奈良育英は自分たちのサッカーで次の試合も臨む。

 さて、元Jリーガーの鶴田道弘氏が監督を努めて初出場を果たした東海学園。同好会としてスタートしてから4年目で、夏のインターハイ、高校選手権と2つの全国の舞台を経験したが、常連校と互角に戦うには俗に言う「経験」が不足していたのかもしれない。具体的な差として、「スピードと、単純に止める、蹴るというところの基本的な技術に差がある。結局は基本に立ち返ってもう少しやっていかなければいけない」と振り返った鶴田監督。選手権への初挑戦は初戦で敗れたが、更に大きくなって先刻の舞台に帰ってきてくれることを期待したい。





(東海学園) (奈良育英)
GK: 森大生 GK: 安達尚広
DF: 宗貴洋 服部友彦(71分/柴田豊) 石崎正浩 黒浩和 DF: 西本陽亮 奥野慎祐 宮本浩光 鬼岩克典
MF: 吉本達徳 片山雄太 松本良太(65分/原神之佑) 亀山大樹 MF: 柳秀平 小川圭佑 岸本直 前河俊輔(78分/山口穣)
FW: 廣瀬和也 井田浩一(69分/佐藤暁洋) FW: 小池英賢 佐藤悠希(59分/細川堅司)
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