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 webnews 05/01/05 (水) <前へ次へindexへ>
個の力vs.組織の力。青森山田が奈良育英を振り切る。
第83回全国高校サッカー選手権大会 2回戦 奈良育英vs.青森山田

2005年1月2日(日)14:10キックオフ 市原臨海競技場 観衆:11,000人 天候:晴
試合結果/奈良育英2−3青森山田(前0−2、後2−1)
得点経過/[青森山田]レオナルド(37分)、仲谷(39分)、レオナルド(45分)、[奈良育英]細川(54分)、柳(65分)


取材・文/中倉一志

 全員守備・全員攻撃をモットーに組織サッカーで全国の舞台にやって来た奈良育英。昨年の大会を経験した選手が多く残るチームの完成度の高さは1回戦の東海学園戦で実証済だ。中盤をダイヤモンド型で構成する4−4−2のシステムから両サイドを崩していくのか得意のパターン。特に、前河(2年)と西本(3年)のコンビネーションにトップ下の岸本(2年)が絡む右サイドからの流れるような攻撃は相手チームにとっては厄介だ。

 対する青森山田は、2トップのレオナルド(3年)と小澤(2年)、それを両サイドからフォローする仲谷(3年)、小寺(3年)の4人が個の力で組み立てる攻撃が売り物。中盤では手間をかけずに早めに前線にボールを送り込んで、スピードと突破力を武器に相手ゴールを狙う。雪の中での対戦となった1回戦の米子北戦は苦しい戦いとなったが、晴天に恵まれたこの日はピッチコンディションも良好。前評判の高い攻撃力に注目が集まる。



 まずリズムを掴んだのは青森山田。奈良育英のDFラインの裏へボールを蹴りこんでラインを下げさせ、こぼれたボールに積極的に働きかけて前の4人にボールを繋ぐ。これが奈良育英の特徴である組織的なパスサッカーを封じ込めた。コンパクトな中盤が保てない奈良育英は中盤の主導権を失い、レオナルド、仲谷の突破を警戒してSBが上がれずに得意のサイド攻撃を繰り出すことが出来ない。立ち上がりは青森山田の狙い通りの展開で進んでいく。

 それでも落ち着きを失わない奈良育英は、まずはしっかりと守ることで苦しい時間帯を凌ぐことを選択する。最終ラインの4人が中盤と連携を取りながらバランスのいい守備組織を形成。押し込まれながらもピンチの芽を丁寧に摘んでいくことで、青森山田に決定的なチャンスを与えない。そして我慢の時間帯を過ごした20分以降は、次第にボールを回せるようになりジワジワと青森山田を押し返す。やがて試合を五分五分の状態に戻した。

 しかし、前半終了間際に試合が大きく動く。37分、レオナルドがドリブルで左サイドを突破してそのままペナルティエリア内へ。一度はボールを奪われたが、そのこぼれ球を再びレオナルドが押し込んだ。続く39分、サイドを突破したレオナルドがDFラインとGKの前に絶妙なグラウンダーのクロスを送る。GK安達(3年)がかろうじて弾き返したが、こぼれたところを仲谷が押し込む。更に後半開始直後の45分にも青森山田は2点目と同じパターンから3点目をゲット。事実上、試合はわずか8分間で決まってしまった。



 青森山田の攻撃を凌ぎながら自分たちのリズムを取り戻しかけていた奈良育英には悔やまれる8分間。隙を突かれて慌てた体勢を整える前に試合を決められてしまった。しかし、奈良育英は誰も諦めていなかった。「やりたいことをやらないで帰るのは馬鹿らしい。やりたいことをやって帰ろう。やりたいことをやれば結果が出せるはず」(上間監督・奈良育英)。レオナルドと仲谷の対応に追われていた両サイドを高い位置に張り出させると、自慢のサイド攻撃が機能し始めた。

 右サイドで前河が起点を作ると、すかさず西本がオーバーラップ。そこへトップ下の岸本が加わって3人で右サイドを切り裂いていく。そしてチャンスと見れば、ボランチの柳(3年)が押し上げて攻撃をフォローする。1回戦で見せた流れるようなパスワークが蘇る。反撃の狼煙は54分、右サイドを突破した西本が絶妙なクロスボールを送ると、中央へ走り込んできた細川がスライディングシュートで合わせた。

 そして、青森山田がカウンターから作った決定機をGK安達がファインセーブで弾き返した後の65分には、中央をドリブルで駆け上がった柳がミドルレンジから右足を振り抜いて2点目をゲットする。さらに積極的に前に出る奈良育英は38分、クロスボールに合わせて途中出場の細川が(3年)ゴール前に飛び込んだ。しかし、この絶好機に投げ出した細川の足はわずかに届かなかった。そして2分間のロスタイムを終えて試合終了を告げるホイッスルが鳴る。後半は青森山田を押し込んで攻め続けた奈良育英だったが、あと1点が届かなかった。



「青森山田の個人の能力は高い。そういう相手に先手を打たれたら厳しい。後半ぐらいのことは、どんな相手にもやれる力は持っているが、やはり先手を打たれたことかきつかった」とは上間監督。自分たちが作り上げた組織サッカーが全国の舞台でも通用することを示したが、わずかに見せた隙を個の力に付け込まれた。敗れた悔しさはもちろんある。しかしそれは、今大会を経験した下級生たちが、来年きっと晴らしてくれることだろう。

 さて3回戦へ駒を進めた青森山田の次の相手は市立船橋。昨年の3回戦で0−1で敗れた相手と再びぶつかることになった。「これをリベンジするために選手権に来たようなもの。何とか頑張りたい」とは黒田監督。激戦区であるブロックの中を米子北、奈良育英と難敵を下して勝ち進んできた青森山田は、個の強さを発揮する前の4人を中心にして、堅い守りを誇る市立船橋に挑む。








(奈良育英) (青森山田)
GK: 安達尚広(44分/奥田達朗) GK: 三浦伸啓
DF: 西本陽亮 奥野慎祐 宮本浩光 鬼岩克典 DF: 橋本和 福田直樹 大塚祐紀 百目木雅臣
MF: 柳秀平 小川圭佑 岸本直 前河俊輔(41分/細川堅司) MF: 櫛引祐輔 小寺優輝 丸山達也(66分/李澤壮太郎) 仲谷圭史
FW: 小池英賢 佐藤悠希(63分/森亮太) FW: 小澤竜己 レオナルド(75分/伊藤俊)
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