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 webnews 05/01/05 (水) <前へ次へindexへ>
リアリズムを貫く市立船橋。注目の一戦を制す
第83回全国高校サッカー選手権大会 2回戦 市立船橋vs.東福岡

2005年1月2日(日)12:10キックオフ 市原臨海競技場 観衆:13,500人 天候:晴
試合結果/市立船橋1−1(5PK4)東福岡(前1−1、後0−0)
得点経過/[船橋]壽(5分)、[東福岡]伊藤(20分)


取材・文/中倉一志

 今大会の2回戦で最も注目されたカードといえば、この市立船橋vs.東福岡の対戦に他ならない。今年のインターハイ準優勝チームである市立船橋はは優勝候補の本命、2大会ぶりの優勝に向けて準備に怠りはない。対する東福岡は並み居る強豪が揃う九州チャンピオン。高円宮杯ではグループリーグで敗退したものの全国の強豪と互角の戦いを演じている。2年ぶりの全国の舞台で狙うものは、もちろん優勝の二文字だ。

 この両チームは、今年度の春に福岡で行われたFBS杯全日本高校チャンピオン大会の決勝戦で対戦。このときは先制点を挙げた市立船橋が猛反撃を繰り出す東福岡を堅い守りでシャットアウト。1−0で優勝を飾っている。堅固な守備をベースに少ないチャンスをモノにする市立船橋と、ピッチを広く使った攻撃的なサッカーを組み立てる東福岡。対照的な特徴を持つ優勝候補同士の対戦に、市原臨海競技場には13,500人の観客が詰めかけた。



 東福岡が攻め、市立船橋が凌ぐという図式で進むと思われたこの試合。しかし、前に出たのは市立船橋だった。鋭い出足でプレッシャーをかける市立船橋は中盤の主導権を掌握。FW渡邉俊介(2年)に楔のボールを入れると、2トップのコンビを組む本山(3年)と、両ワイドの森野(4年)、壽(3年)が両サイドのスペースを突く。さらに混乱する東福岡の中盤に乗じてトップ下から鈴木が裏へ飛び出した。そして5分、本山とのワンツーでスペースに抜け出した壽が右足を一閃。早々と先制点を叩き出した。

 守ることにかけては定評のある市立船橋にとって、この1点の持つ意味は大きい。そして、いつものように守りを固めて試合を進める。左MFの薬袋(3年)を左SBに起用して対面の木佐木(3年)の突破を封じ、中盤では激しいプレスをかけて東福岡のパスワークを寸断する。そして、相手ボールになると素早く戻って守備組織を固める。4バックにボランチ、両サイドのMFが参加して固める最終ラインは、時として5人が並ぶ。

 しかし、市立船橋の先制点はあまりにも早すぎた。立ち上がりこそ市立船橋のスピードに戸惑いを見せていた東福岡も、やがて落ち着きを取り戻し、15分を過ぎた辺りから次第にボールを回し始める。そして20分、スルーパスを受けた伊藤(3年)が裏へ抜け出して同点ゴールをゲット。試合を振り出しに戻す。「先制点を取って試合を落ちつかせるのなら前半を0−0に抑えないと。それが出来なくてゲームプランが狂った」(石渡監督・市立船橋)。試合は1−1で前半を折り返した。



「試合前から1失点は仕方ないと思っていた。相手の足が止まる後半に、もう一度チャンスが来ると考えていた」(森重監督・東福岡)。そして、後半は福岡が主導権を握って市立船橋を押し込める展開が続く。東福岡の狙いはボールサイドの反対側に出来る市立船橋のスペース。右サイドにボールを貯めて市立船橋の選手をひきつけると、大きく左サイドへ展開。高い位置で待つ伊藤の突破からチャンスを窺う。

 48分、その狙い通りの展開から東福岡は決定的なシーンを作り出す。大きな展開からフリーになった伊藤が狙い済ましてファーサイドへ。そこへフリーで走りこんだのは木佐木。ドンピシャリのタイミングで右足ボレーを合わせた。しかし、ボールは無常にも右サイドネットへ。東福岡は絶好のチャンスを逃した。その後も東福岡はパスを繋ぐ展開サッカーで攻め続けたが、徹底して守りを固める市立船橋を最後まで崩すことができなかった。

 そして市立船橋の先攻で始まったPK戦。ともに1本ずつ外して迎えた7本目の東福岡のPKを、市立船橋GK中林(3年)が止めて試合に終止符を打った。これで市立船橋は地区予選から数えて3試合連続のPK勝ち。攻撃に課題を残すと言われているが、相手に点を与えないのが市立船橋の真骨頂。ある意味では、市立船橋らしい試合展開だった。



「ゲームは引き分け。負けたとは思っていない」。試合後、森重監督は口にした。攻撃の質、サッカーの質なら明らかに東福岡が上。立ち上がりの先制点こそ計算違いだったが、全体を見れば試合の展開は計算通り。そして狙い通りの展開とパターンから決定的なシーンも作り出した。返す返すも残念なのは48分のシーン。徹底して守りを固める市立船橋相手ではチャンスは何度も作れない。この場面を決め切れなかったのが全てだった。

 それにしても市立船橋の守備は堅固だった。石渡監督から「勝つためには1点に抑えることが必要」と指示された選手たちは、先制点後は東福岡の特徴を消すことだけに専念。ゴールを奪うことは二の次のような展開だった。しかし、相手の得意な攻め合いを避け、とにかく負けないことだけに専念するというリアリズムがPK戦での勝利という結果をもたらしたのも事実。これもひとつの勝ち方ということなのだろう。







(市立船橋) (東福岡)
GK: 中林洋次 GK: 坂本光
DF: 谷津寛治 森下宏紀 渡邉広大 薬袋克己 DF: 砂田純希 近藤徹志 藤雄一
MF: 鈴木智博 中村勇紀 壽透 森野徹(72分/白山智一) MF: 米田聖平 木佐木俊成 長友佑都 野内勇輔 伊藤太祐 棚橋雄介(57分/篠原正樹)
FW: 本山貴之(51分/榎本健太郎) 渡邉俊介(56分/小山泰志) FW: 葛城侑樹
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