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 webnews 05/01/06 (木) <前へ次へindexへ>
_三木のヘディングシュート。星稜はハイボールを多用した。
星稜、粘る那覇西を振り切り、コクリツへの挑戦権獲得。
第83回全国高校サッカー選手権大会 3回戦 星稜高校vs.那覇西高校

2005年1月3日(月)12:10キックオフ 駒場運動公園競技場 観衆:約8,000人 天候:晴
試合結果/星稜高校1−0那覇西高校(前半1−0、後半0−0)
得点経過/[星稜]大畑(7分)


取材・文/西森彰

 掲示されたロスタイムは僅かに1分。2度のビッグチャンスを逸していた那覇西は、自陣深くにボールを持ち込まれ、星稜に時間を使われていた。それでもキャプテンの比嘉啓太は「絶対にボールが出てくると信じて待っていた」。赤いユニフォームのDFが、ボールを持った星稜の選手たちを追い詰める。そして奪った。長いパスが右サイド深くから1本、2本とつながり、比嘉啓に届けられた。時計を確認した牧野明久主審。ラストチャンスだ。

 比嘉啓は、ゴール正面からドリブルでやや左サイドに流れ、思い切り足を振りぬいた。決まれば同点というシュート。だが、1年生GK・小倉朋也の後ろにゴールポストが立っていた。「ガツン」という独特の金属音がスタジアムに鳴り響く。ボールはゴールマウスの中ではなく、外で転々と弾んでいた。両手で顔を覆った比嘉啓の耳に試合終了を告げる笛の音が届く。一拍置いて、スタンドから起こった拍手も…。

 涙に暮れる那覇西イレブン。沖縄代表は駒場運動公園競技場で2つの勝ち星を手にした。そして初戦当日に降った雪が溶けると同時に、全国の舞台から去っていった。



 昨年、初芝橋本高校の前に涙を飲んだ星稜高校は、今年は2回戦から登場した。初戦の相手は、昨年のベスト4でブロック最強と目されるシードの滝川第二高校。この難敵を4対3という打ち合いの末に降して、この日の3回戦に進出した。だが、攻撃力のある滝川第二が相手だったとは言え、3失点を喫したことを河崎護監督に、叱責された。

「センターバック含めて話し合いをしました。1対1の場面で引いているとか、怖がらずに行けとか…。今日の朝にビデオを見ながら、全体ミーティングで監督から指示を受けました」(大畑将徹・星稜)

 星稜は、キックオフから、右サイドの橋本晃司から左サイドの田宮裕之まで、2トップを加えた4人が車がかりで攻撃する。「ダブルボランチなんで、ひとりが出ても、もうひとりのボランチが残って。僕と出村でチームを動かして行きました。監督からも『オマエがゲームをコントロールするようなつもりで行け』と」(大畑)。2枚のワイパーを信じて星稜のアタッカーは、目まぐるしく互いのポジションを交換した。

那覇西_シュートの行方を確認した比嘉啓。だが…。
 そして7分、前線の流動的な攻撃を影で支える汗かき役は、一躍、スポットライトを浴びた。左サイドから田宮が上げたクロスボールをファーサイドで綿谷諒が頭で落とし、那覇西ゴール前で混戦に持ち込む。相手DFのクリアを許さず、一瞬早く、ゴールへ蹴りこんだのは大畑だった。



 星稜はこのゴールで完全に主導権を奪った。那覇西の最終ラインの裏にロビングを上げては、大型アタッカーの誰かが走りこんでヘディングで競る。最終ラインが背走を強いられて、なかなか押し上げのできない那覇西。コーナーキックの総数が4対0、ゴールキックの総数が4対11。この数字からも、星稜の徹底したロビング攻撃が、相手陣内でのゲーム・コントロールを成功させていたことが分かる。

 得点後の約70分間をコントロールした星稜だったが、那覇西も最後の最後に粘りを見せる。74分、プレスをかけにいった星稜のディフェンスが突如割れて、途中出場の平良滝一がシュート。79分にも比嘉啓のパスカットから、これも途中出場の徳元強太のシュートを許す。そしてロスタイム、冒頭に書いた比嘉啓のシュート…。

「最後は、もう僕自信も集中が切れていて…。明日からは最後まで集中して、次のゲームに生かしていきたいと思います」。笑顔を見せながらも頭を掻いて、反省することしきりの大畑。星稜が大やけどをせずに済んだのは、PK戦で涙を呑んだ昨年の不運を、ここで帳消しにしようというサッカーの神様の配慮だったかもしれない。



値千金のゴールを挙げた大畑は好守に活躍。
 前橋商業高校との準々決勝に勝てば、初めてのコクリツが待っている。

「(『あとひとつでコクリツ? それともあと3つで優勝?』)この1年、全国制覇を目指して高いレベルでやってきたんで、コクリツ行って優勝します。自分がチームを動かして優勝したいですね。ウチには本田圭佑君というスーパープレーヤーがいますけれども、遠慮なくビビらないで『マークに付け!』とか、怒鳴って動かしたい」

 最後に「そういえばコーナーキックの時に、サインの見落としで本田選手に叱られていたみたいだけれど」と尋ねた。「そうですか? 歓声がすごくて全く聞こえなかった」。この日の殊勲者はそう言ってニヤリと笑った。エースへの遠慮など微塵もなさそうに。









(星稜高校) (那覇西高校)
GK: 小倉朋也 GK: 新城幸斗
DF: 清水孝太、作田裕次、込山和樹、山口裕士 DF: 金城翔太、與那嶺偉、長濱雅徳、安室岬
MF: 橋本晃司(55分/塩原拓真)、大畑将徹、出村健次、田宮裕之(H.T/三木卓哉) MF: 比嘉雄作(59分/平良滝一)、與那嶺樹、安里光司、菅野奨貞(75分/大城洋平)
FW: 綿谷諒(79分/森田勇輝)、本田圭佑 FW: 宮城昭浩(43分/徳元強太)、比嘉啓太
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