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 webnews 05/02/15 (火) <前へ次へindexへ>
11日、久しぶりに晴れ渡った宮崎の空
調整遅れが心配なG大阪
宮崎キャンプレポート その4

文/中倉一志

 トレーニングを見るというのは、ライターを生業としている私にとっては非常に勉強になる。まだ自分がただのサッカーファンだった頃、練習を見るのは楽しかったけれど、監督や選手が何を考えてトレーニングを積んでいるかなど理解できるわけもなく、プロの選手のトレーニング風景をワクワクしながら見るのが精一杯だった。ところが面白いもので、年中練習を見ているうちに、なんとなく考えが分かるようになって来る。こうなってくると面白さにも深みが増す。

 自分なりに理解したことと、監督・選手が考えていることが一致するときほど嬉しいものはない。しかし、まだまだ、そういう現象に恵まれることが多くはない私にとっては、多くのサッカーに触れて自分のサッカー度を上げる必要がある。そういう意味では、選手にとってのキャンプは、私にとってもキャンプと同じ。サッカー漬けの毎日を送ることで、自分の感性を磨き直す大切な機会だ。しかし、選手たちは日を追うごとに完成度を高めているのに、私の感性の磨き具合は、どうにも心もとないのが現実だが・・・。



3連休ということもあってグラウンドには大勢のファンの姿が。
 急遽予定を変更して10日は福岡の練習へ。この日の福岡のトレーニングは午前中のみ。激しく追い込んできたため、選手たちの疲労はピーク。前日の晩に、午前中だけのトレーニングに切り替えられた。主力組は、昨日の清水戦の疲れをとるために、クールダウンを兼ねた散歩のみ。実質上の休養日となった。サブ組は8対8のボールキープ、8対8のゲーム形式、そしてミニゲームと、実戦形式の練習が続く。ピッチの外に目を向けると、怪我のために別メニューで調整を続けている山形がランニング。回復状態は予定よりも早いようだ。

 さて、円陣を組んでトレーニングメニューの説明をしていた松田監督が、突然、大声で選手たちを怒鳴り飛ばした。あまりの覇気のなさに檄を飛ばしたようだ。福岡はよくおとなしいと言われる。それは他のチームのキャンプを覗いてみると良く分かる。「今日は元気があるな」と思っても、他のクラブと比較すると、それでも声の出方は少ないし、おとなしい。決して騒がしいのがいい訳ではないが、技術レベルの差がそれほどないプロの世界では最後の最後は気迫で勝負が決まる。普段から気迫を感じさせられない選手は、本番の舞台でも気後れするものだ。

 そういう意味では、この日、正式に福岡と契約を結んだ喜名は福岡の欠点をカバーしてくれるのには適任だ。練習生の身分のときも選手たちに檄を飛ばし、試合の指示は、ほとんど喜名から出ていた。まるでどちらが練習聖か分からないくらいに。それにしても、何年も前から気迫のある選手は、いつも移籍組。生え抜きの選手でチームを引っ張る迫力を持った選手は出てきていない。J1昇格がノルマなら、そろそろ、そういう選手が出てこないといけないだろう。



突然現れたアライグマ。サポーターのペットです。
 11日、午前中に福岡のトップチームの練習を覗いてからシーガイアへ。この日は、福岡と広島のサテライトの試合が行われた。グラウンドへ行くと、知った顔があちこちに見える。3連休を利用してキャンプ見学に来た福岡のサポーターの方たちだ。この試合は、「トップチームの当落線上の選手たちを試す」と松田監督が話していた試合。選手たちにとっては、ある意味ではキャンプでの最後のチャンスになる。残された席は少ないが、首脳陣を悩ませるようなプレーが見てみたいものだ。

 広島のペースで始まった試合も、10分を過ぎた辺りから福岡が主導権を奪い返した。先制点は10分、CKから柳楽が頭で合わせたもの。その後、前に出て来る広島に一歩も引かず、高い位置からプレスをかけて、中盤に敷いた守備網でこぼれ球を拾うと、素早く攻守を切り替えてゴール前へ。24分にはエジウソンのスルーパスに抜け出した釘アがゴール右隅に流し込んで追加点。さらに36分には2点目と全く同じパターンで福岡が3点目を奪った。

 後半に入ると広島は4−3−3から4−4−2にシステムを変更。福岡の動きが止まるとリズムを刻んで反撃を開始。前に出られなくなった福岡に襲い掛かる。じわじわと下がる福岡。それでも福岡は何とか粘っていたが、前に出られなくなってしまっては時間の問題だった。31分、福岡DFの長野がボールキープしているところからボールを奪った広島が右サイドを突破。ファーへ上がったクロスボールに青山が合わせて1点を返すと、37分には前田が見事なシュートを決めて1点差に迫った。しかし、この後は福岡が何とか粘って1点差で逃げ切った。



G大阪は練習場前にグッズ売り場を設置
 翌12日、ELGOLAZO編集部の方と綾町グラウンドで待ち合わせてG大阪vs.C大阪の練習試合を取材。3連休の中日ということも手伝って、グラウンドには500人を越す観客が集まった。キッくオフ前に降り出した冷たい雨にも拘わらず、両チームのプレーに大きな声援を送った。30分×3本で行われた試合は、レフェリーが45分と勘違いするというアクシデントがあったが、トータルスコア4−3でG大阪が勝利を収めた。

 互いに最初の練習試合ということもあって、まだまだ調整段階。昨年のベースが残るG大阪に対し、先発メンバーの8人が新加入選手で、ほとんど0からのスタートに近いC大阪との差がスコアに出たと言っていい試合だった。ガラッと様子が変わったC大阪はボランチを務めるファビーニョ、左サイドのゼ・カルロスのプレーが目を引いた。全体の動きも悪くなく、時間はかかりそうだが、中々面白いチームになることを予感させた。

 一方のG大阪は、4バック、3バック、あるいはポジションをいじったりと、いろいろと試行錯誤の段階にあることを窺わせた。ただし、それを考慮しても、4バックの守備は不安定そのもの。3本目の3失点は、いずれも両サイドを大きく使われてのものだったが、サイドから攻められると簡単にラインがバラバラになってしまった。これから合流してくる代表組とのコンビネーション調整も残っており、少し、調整遅れが心配される状況だ。

開幕まで、あと3週間。そろそろ各チームの仕上がり具合に差が出てきたようだ。
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