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 webnews 05/04/27 (水) <前へ次へindexへ>
自分たちのサッカーを貫くことの大切さ。
2005Jリーグ ディビジョン2 第8節 コンサドーレ札幌vs.アビスパ福岡

2005年4月23日(土)13:04キックオフ 札幌ドーム 観衆:9,767人 天候:屋内
試合結果/コンサドーレ札幌1−1アビスパ福岡(前0−1、後1−0)
得点経過/[福岡]中村(17分)、[札幌]中山(89分)


取材・文/中倉一志

「試合が始まってみないとポジションがどうなるのかわかりませんね」。試合前、札幌のメンバー表を見るなり、顔見知りの札幌の記者がそう話しかけてきた。怪我の和波の欠場は当然としても、今シーズン2試合にしか出場していない西澤と、ベンチスタートが続いている上里が先発メンバー入り。DFの西嶋が今シーズン初めてMFとして登場したからだ。起用の理由は1対1に強い選手。局面での戦いで負けないためののメンバー構成だった。

 今シーズン1勝1分3敗と不本意なスタートを切った札幌だが、第6節、第7節では上位争いの真っ只中にいる湘南と京都に引き分け。昨シーズンから続く暗闇の中で、コツコツと積み重ねてきた努力に、ようやくかすかな日差しが差した。そんな札幌が迎え撃つのは福岡。単純な地力の比較なら福岡に分があるが、チームが成長するためにはいまの流れを確実に掴みきらなければならない。何があってもこの試合は負けられない。メンバー変更には、そんな意思が込められていた。



 立ち上がり、アグレッシブに出たのは札幌だった。4分、砂川の鋭いミドルがクロスバーをかすめる。そして12分にはスルーパスを受けた岡田がGKと1対1に。この場面はGK水谷のファインセーブの前に得点にはいたらなかったが、まずは、これ以上ないスタートが切れたようだ。対する福岡は見るからにバランスが悪い。身体にキレがないわけでも、足が止まっているわけでもない。しかし、連携を欠くプレーが目に付き、チームに落ち着きが感じられない。

 それでも先制点は福岡。17分、松下のサイドチェンジから山形が左サイドを突破。そこからのクロスに中央へ駆け上がってきた中村が合わせた。不安な立ち上がりながらも、流れるようなプレーで奪ったゴール。この後、一度は札幌から積極的な姿勢が消え、両WBが下がって5バックになり、単純なミスが目立ち始める。そして21分には福岡が決定的なシーンを演出した。やはり地力の差か。福岡が主導権を奪うかに思われた。

 ところが、福岡はリズムが刻めない。全体的に見れば確かに攻め込んではいるのだが、何気ないプレーから簡単にスペースを使われて札幌の反撃を許す。いつものような、前線からのプレスに始まり、中盤で絡め取るようなDFは見られず、何度も鋭いクロスボールを入れられた。「我々が常に試合をするときに求めているディシプリンが、前半の立ち上がりからなかった」(松田監督)。再び息を吹き返す予感を漂わせる札幌と、一向にエンジンがかからないままの福岡。そんな展開で試合は前半を折り返した。



 後半も同じような展開で試合が進んでいく。どちらかと言えば低調とも言えるゲームだった。しかし、札幌に自分たちのサッカーを貫こうとする強い意志があることだけは明らかだった。ターゲットマンである中山に徹底的にボールを合わせ、そこを起点にサイドへ展開して突破を仕掛ける。福岡のDFに跳ね返されても、何度も、何度も繰り返していく。そして、福岡ボールに対しては粘り強く対峙して、決してドリブル突破を許さなかった。

 さて、福岡の最大の強みはディシプリンに裏付けられた安定した守備。それを欠いてはゲームをコントロールすることはままならない。最後のところで札幌の攻撃を跳ね返しているものの、その代償として中央に、そしてサイドにスペースが出来る。そこを繰り返し、繰り返し、札幌が攻め込んだ。やがて主導権は札幌に移り、時間の経過とともに札幌の攻撃に厚みが生まれる。そして気がつけば、試合は札幌の一方的な展開へと変わっていた。

 札幌は福岡に襲い掛かる。74分、クロスボール対する反応の良さを買われて相川が堀井に代わってピッチに姿を現す。続く78分には岡田に代わって徐が入る。83分には三原が登場。上里を左に出してトップ下でプレーする。ここが勝負とばかりに一気呵成に攻め立てる札幌の前に、福岡はゴール前に釘付けだ。そしてロスタイム、遂に札幌がゴールをこじ開けた。曽田から徐へとボールが渡して右サイドからクロス。中央で中山が飛び上がる。対応したのは松下。しかし、11センチの身長差はどうしようもなかった。



「上位のチームと、こういうゲームが出来るんだという自信は持って良いけれど、過信にならない。満足せず油断しない。そういう気持ちで、毎日、お互いに厳しくトレーニングしていけば強いチームになっていくと思う」とは柳下監督。劇的な同点ゴールに興奮することなく、自分たちのサッカーを貫いた当然の結果と言わんばかりだった。これで、上位3チームに3引き分け。札幌は、ようやく出口を見つけたといっていい。しかし、勝ちきれなかったことも事実。出口を抜け出すための後一歩を踏み出すチャレンジは続く。

 一方の松田監督。「あのままいっていれば非常にラッキーだと。何かに助けられたような試合になっていたような試合だった」と試合を振り返った。福岡にとっては、土壇場で追いつかれたことではなく、自分たちの生命線であるディシプリンのあるサッカーが出来なかったことが重くのしかかる。地力があることは誰もが認めるところ。課題はどんな相手にでも自分たちのサッカーが貫けるかどうか。そして、それは昨シーズンからの課題でもある。次は第1クール最大の山場と言える京都戦。1週間でどこまで建て直すことが出来るかに注目が集まる。


松田浩監督(アビスパ福岡)記者会見
柳下正明監督(コンサドーレ札幌)記者会見


(コンサドーレ札幌) (アビスパ福岡)
GK: 原寿康 GK: 水谷雄一
DF: 加賀健一 曽田雄志 西澤淳二 DF: 川島眞也 千代反田充 宮本亨 アレックス
MF: 田畑昭宏 西嶋弘之(83分/三原廣樹) 岡田佑樹(78分/徐暁飛) 砂川誠 上里一将 MF: 中村北斗 松下裕樹 ホベルト 山形恭平(80分/太田恵介)
FW: 中山元気 堀井岳也(74分/相川進也) FW: 有光亮太(61分/田中佑昌) グラウシオ(89分/大塚和征)
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