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 webnews 05/09/03 (土) <前へ次へindexへ>
浦和を完全にはめた千葉、悲願のタイトルに向けて1歩前進
2005Jリーグ ヤマザキナビスコカップ 準決勝 第1戦 浦和レッズvsジェフユナイテッド千葉

2005年8月31日(水) 19:00キックオフ さいたま市浦和駒場スタジアム 観衆:17.265人 天候:晴
試合結果/浦和レッズ1−3ジェフユナイテッド千葉(前1−2、後0−1)
試合経過/[千葉]巻(1分、17分)[浦和]ポンテ(44分)[千葉]ポペスク(55分)


取材・文/砂畑 恵

 これから始まるゲームに対する身震いするような興奮と、ふと馳せる勝者となりて決勝へと進む甘美な想像。それらが綯い交ぜとなったスタジアムのボルテージは、選手のピッチ入場で一気に沸点へと達する。それが冷めやらぬうちに、千葉は先制点を奪った。開始1分、阿部のFKに地面すれすれに飛んだ巻がファーポストギリギリのところでボールに触りゴールネットを揺らした。

 これに対し浦和の選手は一斉にハンドを主張するも、一旦、下された裁定は覆るはずもない。浦和にすれば最悪の出だしである。その上、千葉の最終ラインは、永井には斎藤、マリッチには結城とマンマークを敢行し、ストヤノフを余らせる形。またポンテにも阿部がマークに付き、守備の陣形をしっかり保ちながらボールを回し、カウンターの機会を窺う。

 ボールポゼッションで優位に立つ浦和だが、そう簡単に相手は崩れそうにない。ただ準決勝は180分1本勝負。まだ焦る時間帯ではなかった。浦和はミドルシュートを織り交ぜながら、相手を引き出してギャップが産まれるようにじっくり仕向けたいころだった。だが失点の負い目だろうか。浦和は気持ちのゆとりがないような仕掛けが散見され始める。



 そんな中、前線に入った浦和のパスを斎藤がブロック。懸命に伸ばした佐藤の足にこぼれ球が当たり、羽生へと渡る。羽生は自陣にいた巻に楔を入れると、そのリターンボールを受けて左に展開。パスを受けた坂本はサイドを駆け上がると鋭いクロスを入れた。そして、ゴール前に躍り出た巻がドンピシャのヘッド。17分、千葉は2本目のシュートにして追加点を挙げた。

 浦和にとっては大失態である。千葉陣内にいた巻にゴール前へ走られているばかりかノーマークだったのだ。浦和が守備で最も重視していたのは中盤とDFの間にボールを入れられた場合に、「ボランチとディフェンスラインのどちらがいくのか、動きをはっきりすること」(坪井)だった。特にポストを務める巻への対応が肝心だった。自陣では闘莉王がフォアリベロとなって巻と競り合っていたが、このシーンでは巻に1番近い位置だったのは巻のやや前方にいた鈴木。ただ巻の位置があまりに深く、背後には闘莉王と内館も控えていたこともあって、よもやの警戒心が薄れ、ボランチとDFで間で巻のマークがお互い任せとなってしまった。

 2点のビハインド負った浦和に更なる試練が降り掛かる。44分、ストヤノフと交錯したマリッチが顔面を骨折。ピッチから退くことを余儀なくされた。ところが、直後に投入された田中の突破から浦和が1点返すのだから、まさに塞翁が馬だ。スローインから田中が右サイドを崩し、マイナスのクロスを送る。それをアレックス、山田と繋いでポンテがヘディングで落とす。後方から上がった長谷部が頭で再びボール前に戻して、ポンテがヘッドでふわりとゴール。これでリズムを取り戻した浦和は、後半早々に田中が切れ味鋭いドリブルから惜しいシュート。50分、54分とあったアレックスのFKもゴールの枠に当たるかどうか紙一重のところに飛び、得点の予感も増していく。



 ところが千葉の3本目のシュートが浦和に冷や水を浴びせた。これはこの日、千葉が2列目に2選手を配置したことに関係している。それまでの浦和との対戦といえば、トップ下に羽生を入れ、その羽生が左右のタッチライン際にてゲームを操り、そこにアウトサイドが絡んで縦にアタック。中央のスペースには前線に張るFWの他、後方から佐藤もしくは阿部が飛び込むのが千葉の常套手段だ。ところがポペスクがいることで、羽生とポペスクがエンドを分担してオープンに張り、どちらからも同じような攻撃が仕掛けられるばかりでなく、逆サイドには2枚が余る構図になった。しかも逆襲狙いだから、浦和は守備の体制が十分ではなく、相手のサイド攻撃の応対と中央のケアに気を払うあまり、逆サイドへの関心は低くなる。

 この60分の3本目のシュートへの流れははまさしく絵に書いたようにツボにはまった攻撃で、羽生が起点となり、立て板に水とばかりに浦和陣内に攻め込んだ坂本、佐藤とボールは渡って、最後はファーでフリーになったポペスクが流し込んで、再び差を2点に広げた。

 その後の千葉は攻めの選手と守りの選手とが間延びし、中盤がすっぽり抜け落ちた状態となった。追撃する浦和がいつスコアーを動かしてもおかしくはない展開となるも、点に直結しない。83分には田中のマイナスのクロスから長谷部の決定的なダイレクトボレーも飛び出したが、GK立石がスーパーセーブ。浦和は2点差のまま2ndレグに運命を託すこととなった。



 勝負事に勝つにはまず戦略がなければ相手に叶わない。勿論、ツキに乗る事も大切。今日の千葉にはその2つが揃っていた。だが勝負はそれで総てを決しない。浦和が持つ、修羅場を潜って決勝へと歩んだ経験は大きい。そして今はまだゲーム続行中である。戦略、ツキ、経験と並び、必ず土壇場で必要となるもがある。それは自分達のやっているサッカーに強い信念を持てるかということ。これを貫けたチームへ決勝戦の切符が舞い込むはずだ。


(浦和レッズ) (ジェフユナイテッド千葉)
GK: 都築竜太 GK: 立石智紀
DF: 坪井慶介 田中マルクス闘莉王 内舘秀樹 DF: 斎藤大輔 ストヤノフ 結城耕造
MF: 山田暢久(68分/岡野雅行) 長谷部誠 鈴木啓太(68分/平川忠亮) 三都主アレサンドロ ポンテ MF: 山岸智(69分/水野晃樹) 阿部勇樹 佐藤勇人 坂本將貴 羽生直剛 ポペスク(81分/工藤浩平)
FW: マリッチ(44分/田中達也) 永井雄一郎 FW: 巻誠一郎(88分/林丈統)
SUB: 山岸範宏 堀之内聖 SUB: 櫛野亮 中島浩司
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