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 webnews 05/11/11 (金) <前へ次へindexへ>
激闘!120分。力を出し尽くした戦いを制して千葉が初タイトル
2005Jリーグ ヤマザキナビスコカップ 決勝 ジェフユナイテッド千葉vs.ガンバ大阪

2005年11月5日(土)13:07キックオフ 国立霞ヶ丘競技場 観衆:45,039人 天候:晴
試合結果/ジェフユナイテッド千葉0−0ガンバ大阪(前0−0、後0−0、延長0−0、PK5−4)


取材・文/中倉一志

 力の限りを尽くしてぶつかり合った決勝戦はスコアレスドローのまま120分間が終了。チャンピオンの座はPK戦に委ねられていた。最初のキッカー・遠藤(G大阪)が止められた以外は、互いに冷静にゴールネットを揺らしていく。そして10人目のキッカー・巻がペナルティスポットにボールを置いてゴールマウスを睨む。「巻!巻!」と黄色く染まったゴール裏から起こる大声援。そして、アウェイ側ゴール裏も「藤ヶ谷!藤ヶ谷!」と押し返す。

 スタジアムのボルテージが最高潮に達する中、巻の足から放たれたシュートがGK藤ヶ谷の逆を突いてゴールネットを大きく揺らす。その瞬間、千葉がJリーグ初タイトルを獲得した。湧き上がる大歓声。ピッチの上に全員が飛び出して抱き合う千葉イレブン。そしてアウェイ側ゴール裏からも、両チームの健闘を讃える拍手が起こる。PK戦は勝者と敗者を分けはしたものの、互いに力を出し尽くした120分間の攻防は甲乙つけがたい好勝負。ナビスコカップ決勝戦にふさわしい素晴らしいゲームだった。



 青く晴れ渡った空の下、満員の国立競技場のスタンドに、黄、赤、緑のストライプと、青とグレーのストライプが鮮やかに描き出される。千葉側ゴール裏からは選手の名前をコールする大声援が、G大阪側ゴール裏からはチームを鼓舞する大きな歌声が湧き上がる。その中を入場してくる22人のスターティングメンバー。決勝戦にふさわしい演出と興奮は、これから始まる激闘を予感させる。そして13:07、試合開始を告げるホイッスルが鳴った。

 3−4−1−2のフォーメーションを敷く両チームだが、志向するサッカーは異なっている。G大阪は前の3人の個の力を最大限に生かすサッカー。フェルナンジーニョを起点にして、アラウージョが個人技で、大黒はスペースへ飛び出す動きでゴールを狙う。対する千葉が目指すものは組織サッカー。ポペスクが楔のボールを受けると、両サイド、そして中央から、長い距離を走って後方から選手が飛び出してくる。ゲームは互いの持ち味が感じられる立ち上がりを見せる。

 しかし、高度なレベルで勝負を決するのは守備。どちらかと言えば、守備に重点が置かれた展開で試合は進んでいく。シジクレイを中心にするG大阪は千葉にチャンスを与えず、押し込まれるシーンが多かった千葉も、ストヤノフを中心にして最後の壁を崩させない。互いに決して隙を見せず、しかし、わずかな隙を見逃さない。そんな高度な膠着状態が続く。攻撃よりも守備が目立つ展開にも、あっという間に45分が過ぎたのは、互いに展開しているサッカーがハイレベルにあることの証だ。



 後半はG大阪のシュートが目立ち始め、特に75分を過ぎた辺りからは決定的なシュートが千葉ゴールを襲う。千葉のカウンターに備えて、守備陣が押し上げることは少ないが、それでも、フェルナンジーニョ、アラウージョ、大黒の個の力を遠藤がフォローする攻撃は迫力十分だ。しかし、千葉は決してゴールは許さない。「とにかく先に点を取られなければ負けないと考えていた。G大阪をゼロに抑えれば、誰かが泥臭い1点を取って勝てると思っていた」(阿部勇樹・千葉)。そして90分を終えても互いにゴールは生まれず、決着は延長戦へと持ち越された。

 そんな中、試合は微妙な変化を見せ始めていた。「ガンバ大阪は最初に勝負をかけてくる。しかし、時間が経つにつれて疲れを見せ、最後には我々が勝つだろう」と試合前に語ったオシム監督の言葉どおり、時間の経過とともにG大阪は疲れを見せ始め、千葉の走るサッカーが優位性を増す。特に延長戦後半に入ってからは全く動けなくなったG大阪に対し、千葉は自分たちのサッカーを展開。まさに狙い通りの展開に持ち込んだ。だが、それでもゴールを許さなかったG大阪の集中力も見事だった。

 そしてPK戦。「ガンバ、ガンバ、大阪ガンバ」の大声援を送るG大阪サポーター。タオルマフラーを高々と掲げて選手を鼓舞する千葉サポーター。そんな後押しを受けて選手たちは最後の力を振り絞る。G大阪の最初のキッカーである遠藤はセーブされたものの、気迫に溢れるPK戦は、試合同様、どちらも譲らずに進んでいく。そして10人目。巻のPKがゴールネットを揺らして、長く激しい戦いに終止符が打たれた。



「おめでとうは私にではなく、選手や多くの関係者に言ってあげてください。彼らは、キャリアの中でまず1つのものごとを成し遂げました」。オシム監督は、記者会見で、そう言って選手たちを讃えた。勝負はPK戦に委ねられたものの、全員でボールを追い、惜しむことなく長い距離を走るフリーランニングに支えられたサッカーを彼らは随所に見せた。しかし、初タイトルは、あくまでも新しいステージへ向けての第一歩。これからの千葉のサッカーが楽しみだ。

 一方、敗れたG大阪の西野朗監督は、「選手たちは120分間プラスPK戦を本当に良く戦ってくれたと思います。全部出し切れたと思います。現状のガンバの力を全部出し切れたと思います。それだけです。よく戦ってくれました」と試合を振り返った。しかし、その表情には初タイトルに届かなかった無念さが滲む。試合内容は甲乙つけがたいものだったが、これも勝負の世界の厳しさだ。この悔しさを晴らすには結果を出す以外に方法はない。リーグ戦、そして天皇杯と、残されたタイトルに全てをかける。





(ジェフユナイテッド千葉) (ガンバ大阪)
GK: 立石智紀 GK: 藤ヶ谷陽介
DF: 結城耕造 ストヤノフ 斎藤大輔 DF: 實好礼忠 シジクレイ 山口智
MF: 山岸智(64分/水野晃樹) 阿部勇樹 佐藤勇人 坂本將貴 羽生直剛(45分/工藤浩平) ポペスク(72分/林丈統) MF: 松下年宏(67分/入江徹) 橋本英郎(109分/吉原 宏太) 遠藤保仁 二川孝広(89分/宮本恒靖) フェルナンジーニョ
FW: 巻誠一郎 FW: 大黒将志 アラウージョ
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