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 第83回天皇杯全日本サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
10冠目を狙う鹿島。2試合連続逆転勝ち!!
第83回天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦 柏レイソルvs.鹿島アントラーズ

2003年12月20日(土)13:04キックオフ カシマサッカースタジアム 観衆:8,012人 天候:晴
試合結果/柏レイソル2−3鹿島アントラーズ(前2−0、後0−3)
得点経過/[柏]渡辺光輝(10分)、玉田(40分)、[鹿島]深井(57分、88分)、中島(89分)


取材・文/中倉一志

「率直な意見として、また今日もやられてしまったなという感じの試合だった」(マルコ・アウレリオ監督・柏)。今シーズンの鹿島との対戦成績は2敗。1stステージでは先制しながら逆転負けし、2ndステージではロスタイムに決勝弾を浴びて敗れた。そしてこの日は前半に2点を先制。鹿島の猛攻を1点に抑えて試合終了まで2分というところまでたどり着いた。しかし、そこから喫した2失点。またも勝利は得られなかった。

「最後まであきらめずに戦った姿勢と、相手のゴールに向かう姿勢を最後まで忘れずに戦ったことが今日の勝利の要因」とはトニーニョ・セレーゾ監督(鹿島)。鹿島のできは決していいとはいえなかった。確かにボールキープ率で上回り、ボールも良く回っていた。しかし、どこかアンバランスなチームは、慌しさと攻めきれない印象が目に付いた。そんな中での終了間際の2得点は勝利に対する執念と呼べるものか。若い選手の活躍が目立った試合でもあった。



 立ち上がりから鹿島が主導権を握って試合を進めていく。しかし10分、試合は意外な形で動いた。渡辺毅が前線にロングフィードを送った場面、秋田はヘディングでGKへバックパスを送る。ここまでなら何の問題もなかったのだが、GK曽ヶ端との呼吸が合わない。ボールは曽ヶ端の手に触れずにゴールポストに。その跳ね返りがゴール前転がったところを渡辺毅が難なく押し込んだ。鹿島らしくない連携ミスからの失点。いやなムードがスタジアムを包む。

 それでも鹿島は決定機を作り出す。20分、深井のシュートがゴールラインを割ったかと思われたが、戻った根引がライン上でクリア。続く23分、ロングボール一発で抜け出した深井が右45度から強烈なシュートを放つ。しかし、ボールはわずかにポストの右へ。さらに38分には、本山の折り返しに前線へ飛び込んできた青木がドンピシャリのタイミングで右足を合わせた。だが、これもポストの右へと外れた。どれも決まってもおかしくないシュート。鹿島はどうしてもゴールが割れない。

 一方の柏も、ただ引いて守っているばかりではなかった。確かに最終ラインは、時には6人が並ぶこともある。しかし、ボールを奪うと左サイドに流れる谷澤と増田、そしてボランチの荻村が加わってテンポのよいパスをつなぐ。これが鹿島にリズムを掴ませない要因にもなっていた。そして40分、ゴール前の混戦から鹿島の選手がオフサイドをアピール。しかし、試合はインプレー。足を止めてしまった鹿島をよそに、走りこんだ玉田が豪快なボレーシュートを放って願ってもない追加点を挙げた。



 攻めあぐねる鹿島と、少ないチャンスをきっちりと決めた柏。試合展開は柏の狙いどおりに進んでいるようにも見えた。ただ、低く構える布陣が気になったのだろう、ハーフタイムに「全体的に下がりすぎた。きついだろうが、もっと前で捕まえなさい」とマルコ・アウレリオ監督は指示を与える。しかし、監督の思惑に反して柏はバランスを崩した。確かに玉田、谷澤、増田のプレーエリアは前目に上がった。しかし、残りは後方に留まったまま。中盤に大きなスペースが生まれた。

 鹿島が猛攻を開始する。小笠原が自由にボールを操り、本山は高い位置にプレーエリアを変更し、前線では深井がスピードを生かしてDFラインを脅かす。縦方向へのパスが増え、2ndボールのほとんどを拾う鹿島の攻撃は分厚い。そして57分、フェルナンドからのフィードをワンタッチで足下にコントロールした深井が左足を振り抜いて、とうとう柏のゴールマウスをこじ開けた。さらに手を緩めずに前に出る鹿島。柏は防戦一方に追い詰められた。

 ゴール裏をアントラーズレッドに染めるサポーターに向かってボールを送る鹿島。だが必死で守る柏も追加点を許さない。オーロラビジョンの時間表示が刻一刻と進み、とうとう88分に。さすがの鹿島もこれまでかと思われた。しかし、このピンチを若い力が救う。残り2分となったところでの同点ゴールは深井。野沢からのロビングボールを絶妙な胸トラップでコントロールして左足を振り抜いた。ロスタイムの決勝弾は中島。フェルナンドのクロスボールを右足アウトサイドで合わせてゴールへ流し込んだ。



「ここで負けたら、もうアキさんとは一緒にサッカーができなくなるから」(深井・鹿島)。「勝たないと秋田さん、相馬さんと一緒にサッカーが出来なくなる」と決勝ゴールを挙げた中島も口をそろえる。秋田と戦う最後の大会。若い選手たちに特別な思いがあったはずだ。しかし、そういったプラスアルファの部分もを差し引いても、鹿島の勝ちにこだわる強い姿勢が印象に残る。全盛期の鹿島と比較すればバランスの悪さは否めないが、「取れるタイトルは全部取る」というアントラーズ・スピリットを表現した試合だったと言えるのではないか。

 それにしても柏にすればもったいない試合だった。調子の出ない鹿島に対する2点のリードはセーフティリードと言ってもいいものだった。しかも、どちらかと言えば、鹿島の集中力の欠如が産んだゴール。もう少し前へ出る勇気があれば、最後まで集中を切らさなければと悔いが残る。特に決勝ゴールは集中力さえ欠かさなければ十分に防げるゴールだった。U-19代表に4人も送り込む等、将来を嘱望される選手は多い。足りないものは経験と気迫か。その足りないものを追い求めて来シーズンに臨む。


マルコ・アウレリオ監督(柏)記者会見
トニーニョ・セレーゾ監督(鹿島)記者会見


(柏レイソル) (鹿島アントラーズ)
GK: 清水健太 GK: 曽ヶ端準
DF: 渡辺毅 永田充 根引健介 DF: 内田潤 秋田豊 大岩剛 石川竜也(83分/本多泰人)
MF: 渡辺光輝 明神智和 荻村滋則 田ノ上信也 増田忠俊(64分/宇野沢祐次) 谷澤達也(85分/下平隆宏) MF: 青木剛(78分/野沢拓也) フェルナンド 小笠原満男 本山雅志
FW: 玉田圭司 FW: 平瀬智行(78分/中島裕希) 深井正樹
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