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 第83回天皇杯全日本サッカー選手権大会 <前へ次へindexへ>
寒風の中の大阪ダービー!C大阪粘りの勝利でベスト8へ
第83回天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦 セレッソ大阪vs.ガンバ大阪

2003年12月20日(土)13:02キックオフ 愛媛県総合運動公園陸上競技場 観衆:5,120人 天候:曇
試合結果/セレッソ大阪3−2ガンバ大阪(前0−2、後2−0、延前0−0、延後1−0)
得点経過/[ガンバ大阪]新井場(36分)、吉原(39分)、[セレッソ大阪]バロン(67分・PK)、(74分・PK)、大久保(105分)


取材・文/貞永晃二

 前半を2点リードで終えた西野監督は「まだゲームは終わっていない」と話し、一方の塚田監督は「15分以内で必ず1点取りにいこう、そうしたらリズムが変わる」と伝えたハーフタイム。両監督は試合の結末を知っていたのだろうか。まさにそのコメントどおりの展開となった試合だ。

 寒風の吹き抜ける愛媛・松山市で行われた天皇杯ラウンド16は公式戦今季5度目の大阪ダービーマッチ。リーグ戦で2回、ナビスコカップで2回の対戦結果はG大阪が2勝1敗1分で優勢。しかし、いずこのダービーでも過去の対戦成績など全く当てにならないものだ。



 開始から一進一退が続く。G大阪は左サイドのスペースをしばしば破り相手DFのケアの遅れもあって特に新井場がチャンスメーカーとして機能した。さらに遠藤の惜しいFKもあった。C大阪も大久保、西澤、森島が入れ替わりに飛び出す鋭い動きでチャンスを作ろうとした。それでもシュートで終わった回数としてはG大阪が上回っていた。 

 そして36分、C大阪DFの一瞬の集中切れが失点を招いた。右コーナー付近のスローインを二川が受けDFと巧みに入れ違い、ゴールライン際からプルバックパス。中央で待った新井場は全くのフリー、右足で正確なシュートを決めた。G大阪選手は一列となってのゆりかごダンスで松山のファンを笑わせた。

 さらにG大阪は追い立てるように攻め込み、3分後またも二川から左サイド新井場へ。中への低いボールでの折り返しに大黒が飛び込みDFとつぶれ、ウラから走りこんだ吉原がプッシュ。あっという間に2点のリードを奪い前半を終えた。



 後半もG大阪がペースを握ってスタート。吉原のヘッドがバーを叩く。C大阪もこのまま引き下がるような事はない。森島のボックスへのパスを受け大久保が鋭いターンからシュート、右へ外れる。大きなサイドチェンジから左足の西澤のシュートがポストにはねかえる。

 ここで勝負に出た塚田監督の交替策が試合を左右することになる。ボランチ布部、左サイドMFの中井をアウト、バロン、徳重のアタッカーを投入したのだ。その直後バロンのスルーパスをボックス内で受けた森島が巧みなコース取りで實好のファウルを誘いペナルティ。67分、これをバロンが冷静に右へ決め1点差とした。残すは20分強。

 勢いに乗ったC大阪。徳重のドリブルシュートがわずかに逸れる。しかしG大阪も吉原が大黒とのコンビでGKを抜き去るチャンスをつかむがボール運びが悪く、シュートはできない。さらに吉原はDFのウラスペースへのパスを受けループシュート。これらを決めていれば、C大阪の反撃体勢に冷水をぶちまけることができたはずだったが。



 1点差と迫られ、さらに大きなチャンスを逃したG大阪に重いプレッシャーがのしかかる。その圧力が重鎮宮本のハンドを誘発したのかもしれない。74分またもキッカーはバロン。戦力外通告を受けたからこそ、存在をアピールしたい彼のPKは1点目と同じコースを破った。ついに同点。ヘッドもハートも強い男だ、バロン。

 もう動くしかない西野監督はマグロン、さらに松波を送り込む。試合は壮絶な攻め合いへと移っていく。C大阪の猛攻に2回のライン上クリアをするG大阪DF。G大阪の攻撃をぎりぎりのところで防ぐC大阪DF。そして互いにカウンターを繰り出す。これが繰り返された。

 延長へ突入した試合。バロンがポストとして機能したC大阪に対しマグロン・松波を入れながらもサイドから良質のクロスを合わせられないG大阪。このため、C大阪がやや押し気味で延長も後半へと進む。そして105分、寒風の中を大喜びでユニフォームを脱ぎ走っていくC大阪のナンバー10は西澤がくれたチャンスをヘッドというよりも身体全体で飛び込んで決めたのだった。



 終了後、「今年を象徴する試合」と語った西野監督。リードしながらも終盤に追いつかれる試合が多かった今年。「力がないということでしょうか」とまるで全ては選手だけの責任だとも取れる発言は残念だ。確かにあてにしていた新外国人が物足りなかったことは事実だろう。しかし、他チームがうらやむ若い優秀な選手たちを持ち、補強にもかなりの金を使えるチームであることを考えれば、「結果」を出せないのは指揮官の責任が大きいと言わざるを得ない。監督としての知識・能力に不足はないはずだ。それならば岡田監督がJ2・札幌で苦しみ抜いたような経験がやはり欠けているのではないかと思ってしまう。

 バロン、下川、喜多、鈴木と戦力外通告を受けた選手が必死にアピールする姿には胸が痛むと同時に「がんばれ」と声援を送りたくなる。次は準々決勝・神戸戦。来季も残る選手たちは、去り行く彼らと戦い、ともにプレーし、得難い何かをつかんでもらいたいものだ。


西野朗監督(ガンバ大阪)記者会見
塚田雄二監督(セレッソ大阪)記者会見


(セレッソ大阪) (ガンバ大阪)
GK: 下川誠吾 GK: 松代直樹
DF: 喜多靖 鈴木悟 柳本啓成 DF: 實好礼忠 宮本恒靖 木場昌雄(63分/アリソン)
MF: 布部陽功(63分/バロン) 濱田武 久藤清一 中井義樹(63分/徳重隆明) 森島寛晃 MF: 新井場徹 山口智 遠藤保仁 橋本英郎(76分/マグロン) 二川孝広
FW: 西澤明訓 大久保嘉人 FW: 大黒将志(84分/松波正信) 吉原宏太
SUB: 多田大介 福王忠世 酒本憲幸 SUB: 吉田宗弘 中山悟志
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