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 サッカーのある風景 03/07/18 (金) <前へ次へindexへ>
子どもたちが好きな練習のひとつにリフティングがある。ひとりひとり
目標回数を決めさせ、一定時間、自由に練習させている。

 団子なんていわせない


 文/竹井義彦
 ツートップに対してなら3−5−2だろう。いや、攻撃的に両サイドを使いたいから4−4−2だ。単に攻撃的というなら4−3−3はどうだろう。いっそ3−4−3なんてのも痛快かもしれないぞ。
 サッカーの話をはじめると止まらなくなることがある。代表のポジションだったり、監督評だったり。中でも個性が出るのがシステムかもしれない。いろいろな持論があり、十人十色とはよくいったもので、それこそ、ひとりひとりまったく別の意見を持っていたりする。
 少年サッカーでは、どんなシステムで試合をしているのか。私がサッカーコーチのまねごとをするまでは、ほとんど明確なイメージは持っていなかった。まさか、団子サッカーではあるまい。正直そんな程度の考えだった。

 長男が小学校五年生になった頃から、私はサッカーの練習に顔を出すようになった。1999年のことだから、いまから四年ほど前のことになる。それまでは自分の子どもが所属しているのにサッカークラブのことなど頭になかった。遠征にいくために朝送り出したり、迎えに行ったり、練習場所まで一緒にいくぐらいがせいぜいだった。そんな私だから、自分の子どもがどこのポジションに就いているのか話に聞いてはいたが、果たしてチームがどんなシステムを採用しているのかまるで知らなかったのだ。実際に試合が始まる前、代表コーチから発表されるスタメンではじめてシステムを知ったぐらいだ。



 長男のチームは基本的に4バックだった。ただし、プロのチームが採用しているようなシステムではなく、後ろにひとりスイーパーが残る4バックだ。このスイーパーの前に、ストッパーがいて、両サイドにそれぞれのサイドバックが配置される。
 その前にはハーフ陣が4人。両サイドのハーフと真ん中のハーフが2人。そして、トップが2人だ。4−4−2といえるが、いまごく当たり前に私たちが観戦したりするサッカーでは見られない布陣だといえる。

 その翌年、私が長男たちのチームの練習に積極的に関わるようになり、ポジションを決めることがあるときには、決まってこのシステムを採用していた。いまだから白状するが、当時はどうしてこのシステムなのかまったく理解していなかった。
 駒林サッカークラブのだいたいの学年は、しかしこのシステムを採用していたし、現在も採用している。ただ、チームによってはハーフの位置をフラットにせずダイヤモンド型にして、ボランチとトップ下といった形で置くこともあった。
 長男が小学校を卒業した後、次男が六年生になり、私は今度は次男のチームのコーチのひとりとして練習に顔を出していたが、このチームが最終的にはハーフ陣をダイヤモンド型にしていた。このあたりは、そのポジションに就く子どもの特性やチームとしての考え方に依るところが大きいのだろう。

 私が今のチームのコーチになったのが、去年の春。子どもたちは小学校2年生になる寸前であった。もちろん、この段階で子どもたちには明確なポジションの意識はなかったし、ポジションに就けて試合をしていなかった。2人だけディフェンスに残してあとは自由にやらせていたようだ。それでも、秋の市大会「横浜国際チビッ子サッカー大会」では8人制に出場、ベスト4になっていた。

 すぐに春の市大会「横浜市春季少年サッカー大会(木村和司杯)」があったので、私はまずディフェンスを3人にした。子どもたちと練習をしてみて、すぐにポジションに就けてもたぶん理解することができず、混乱してしまうだろうと思ったからだ。それでもおもしろいもので、子どもたちの中にはとにかくボールの転がるところへ集まる子、少し後ろから様子を見ている子、まったくボールから離れたところでチャンスをうかがっている子などいろいろなタイプがいて、それなりの形になるものなのだ。



ウォーミングアップの練習のひとつとしてブラジル体操をすることも
ある。いまメニュー化を検討していて、コーチの指示がなくても子ども
たちだけでもできるようになればと考えている。
 このあと、子どもたちにポジションを理解させるために5月から6月にかけて行われた横浜市港北区春季大会では、3人のディフェンスに5人のハーフ、そしてツートップとポジションを分けて試合を経験させることにした。このあたりはチームによっていろいろ事情があるから参考にならないかもしれないが、私たちのチームにはトップ下に向いている子がいたため、この子の後ろに2人下がり目のハーフの子を置くことにした。このトップ下の子の位置を見ながらポジションできるだろうという考えだった。

 真ん中の位置というのは、実は簡単なようでとても難しく、黙ってプレイさせているとボールに寄りすぎたり、サイドラインにくっつきすぎたり、ディフェンスラインの中に入ってしまったりと、なにかしらに寄りすぎることが往々にしてある。きっと位置がつかめないんだろう。
 それが慣れてきた去年の秋ごろには最初に説明した4−4−2へとシステムを移した。今年の春の市大会「横浜市春季少年サッカー大会(木村和司杯)」では、このチームでのポジションをほぼ子どもたちは理解したようだ。

 ただ、あくまでもこのシステムは現状のチーム状態に最適なものでなければいけないはずで、実は今のチームは正確にいうと、4−4−2ではなくなっている。後ろの3人はそのままで、真ん中のディフェンスの子はスイーパーとしての働きをするようにポジションしている。両サイドバックの役割は、ポジションを決めた当初からほぼ変わっていない。もっとも考え方が変わったのはストッパーだ。いま私たちのチームでは、ここのポジションをボランチと呼んでいる。

 当初、このシステムでの役割はストッパーだったが、現在はもっと攻撃の部分での役割が大きくなっているからだ。ストッパーとしての機能と攻撃を仕掛けるとっかかりの役割を担う、とても重要なポジションになっている。その前にハーフの真ん中が2人。以前はトップ下としてポジションしていたこともあるが、いまはトップの子の動きも前後に大きくなっているので、なるべく真ん中にポジションを取るように指示している。この2人とすぐ後ろのボランチがチームの攻守の要になる。
 これに両サイドのハーフと2人のトップでチームは構成されている。



 ポジションを決めた当初は、それでも試合展開によっては団子になることもしばしば。特に、相手がまだ団子サッカーのチームだった場合、相手陣内に押し込んでから団子に付き合うことが多く、何度頭を抱えたことか。団子サッカーには団子サッカーできちんと経験しておかなければいけないことはあるが、さすがにそれを卒業してもいい段階にきての団子はいただけない。そんなこともなくなり、ようやくサッカーらしくなったのは今年になってからかもしれない。試合などで対戦するほかのチームを見ても、さすがに3年生以上となるときちんとポジションについてサッカーをしているようだ。

 ガチガチのシステムを子どもたちに押しつける気持ちはないが、しかし、ポジションに配置するのには意味がある。ボールに寄りやすい位置だったり、敵の侵入を防ぎやすい位置だったり、効果的な攻撃が仕掛けやすい位置だったり。そんなことを子どもたちには試合の体験を通して理解してもらえれば。そう考えて、子どもたちに指示をしているつもりだ。

 ただ、こうしてきちんとポジションを理解するようになると、今度は誰をどのポジションに就けるのが一番いいのか、悩みはつきなかったりする。もうすこし学年が上がり、判断力と体力がついてきたら、もうちょっとダイナミックな動きができるようにチームのシステムを考えてみたいんだが、いつになったらそこまでできるんだろう。意外にその時期は早いかもしれない。
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