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 サッカーのある風景 03/08/29 (金) <前へ次へindexへ>

 どうしてフリーキックを蹴らないの?


 文/貞永晃二
 ペナルティエリアの周辺でファウルを受ける。ゴールを直接狙える位置だ。J1リーグではどんな選手が狙うだろう。横浜FMは奥、磐田は名波や山西だ。FC東京は宮沢、C大阪は佐藤、徳重(レギュラーじゃないな)。鹿島なら小笠原、柏ならリカルジーニョ?東京Vは三浦淳だな。清水は以前なら澤登だったが、今は誰だっけ。G大阪は遠藤保やチキアルセ、神戸は今度からビスが蹴るだろうな。大分はウィル。仙台なら岩本、京都は鈴木慎。
 あれ!?J1には16チームあるはずです。実はある意図をもって3チームをはずしたんです。どういう理由かおわかりでしょうか?

 さて、つづいて世界に目を向けましょう。フリーキックのスペシャリストといえば、皆さんそれぞれが頭の中に描く選手はさまざまでしょうが、、、。ロベルト・カルロス、ベッカム(レアル・マドリード)、リバウド(ACミラン)、レコバ(インテル)、トッティ(ローマ)、R・バッジョ(ブレシア)、ロナウジーニョ(バルセロナ)、ゾラ(カリアリ)、中村俊輔(レッジーナ)、、、、といったところでしょうか。

 さらに歴史をさかのぼればマラドーナ、プラティニ、ジーコ、ストイコビッチ、リベリーノ、R・クーマン、ハジなどが頭に浮かびます。もっとマニアックな領域に足を突っ込むと、ネリーニョ(78年・ブラジル)、ジャンジニ(82年・フランス)、ブランコ(86、90、94年・ブラジル)、、、。



 こんなにたくさんの選手名をあげてきましたが、あるカテゴリーの選手たちが出てきていません。「あの選手はかなり高確率でFKを決めているのに名前がないなあ」そう思われた人もきっといるでしょうね。

 もうお分かりでしょう。そうです、先ほどの質問の答えは、「FW(フォワード)の選手がいない」ということなんです。いったい私はどうしてはずしたのか、これからご説明しましょう。

 本来FWの選手というものは、あらゆるポジションの中でも、最も得点すること、ゴールネットを揺らすことに対して強い意欲(エゴといいかえてもいい)を持っているものです。DFよりもさらにはMFよりもシュートに関しては自信を持っているはずです。FWの選手の中には自らの得点ができなかった試合には、たとえチームが勝利をあげても、うれしくない、とまで言い切る選手もいるくらいですから。

 敵DFの作るカベとその後ろのGK以外は邪魔することが許されない絶好のゴールチャンス、自らが蹴りたいタイミングで、好きな方向・コースへ、しかも球種(ストレート、インカーブ、アウトカーブなど)も選ぶことができる、これぞまさに「フリー」な機会。この好機を目前にして、どうして味方とはいえMF、DFプレーヤーにこの「特権」を譲ってしまうんでしょうか。

 先ほどのJ1チームの中で飛ばしたチームは市原、浦和、名古屋でした。これらのチームではFWが直接FKを狙います。FWとはいっても崔、エメルソン、ウェズレイという外国人FWがキッカーをつとめています。彼らはなかなかチームメイトにチャンスを譲ったりはしません。彼らが蹴らない場合、阿部や村井、山田、藤本らが蹴ります。日本人のFWはどこに行っちゃったのだろう?

 木村和司というスターの登場の頃からか、ゴール前のFKはMFの仕事で、FWはそのこぼれを狙うんだという本来からいうと、おかしな役割分担が日本中に蔓延してしまいました。少年の頃、得点をたくさんとっていたチームNo.1の「うまい」FW選手が、成長とともi得点をあげられなくなって、いわゆる攻撃的MF(翼クン)へと姿を変えていったのも同じ頃でしょうか。



 日本代表FWの得点力不足が叫ばれて随分と長い時間が経過しました。高原、柳沢、大久保、鈴木隆、久保、永井、山下、中山、黒部。彼らがFKを狙ったのを見たことがある人はごく少数だと思います。とはいっても彼らは、十分にキッカーをつとめることができるだけのシュート力をもっています。だってフリーキックの位置と同じような距離からミドルシュートを、時にはさらに遠くからロングシュートを打つ選手たちなんですから。

 FW(特に日本人の)たちよ、フリーキックを蹴ろう!これが今回の「私の主張」です。

 もちろんキッカーを担う選手はそれ相応の練習を重ねる必要があります。中村俊輔のFKの練習量は半端なものじゃなかったと聞いたことがあります。得点をすること、その前にシュートを打つことが主要な仕事であるFWにとって、フリーキック(プレースキック)の練習がマイナスに作用するとは決して思えません。日頃から、日本人FWの得点力の低さはシュート練習そのものが決定的に不足していることに起因しているという意見もあるくらいですから。

 昔とは違って、今はピッチ上にフリーなスペースもフリーな時間も、もはや存在しないといっても言い過ぎではないでしょう。特に危険な香りを放つFWを自由にプレーさせてくれるようなアホなDFはいないのです。下がればボランチに当たられ、敵ゴール前ではストッパーにがんじがらめの厳しいマークにあう。まさにFWにとっては「受難の時代」だといえるでしょう。

 一試合にフル出場して、その結果一本もシュートを打てなかったというFWも決して珍しくはないのです。だからこそ、一試合に最低でも一度や二度は必ず訪れる、フリーキックを狙えるチャンスをMFやDFたちに譲らないでほしいと思うんです。

 世界的には昔ならペレ、ガリンシャ(ブラジル)、クビジャス(ペルー)、P・ロリマー(スコットランド)、ガドハ(ポーランド)。最近ではストイチコフ(ブルガリア)、バティステュータ(アルゼンチン)、アンリ(フランス)などのFWが見事なゴールを見せてくれました。日本でも釜本、三浦カズはFKを狙い、そして決めてくれたものです。

日本人FWたちよ、勇気と自信をもってフリーキックを蹴ろう!
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