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 サッカーのある風景 04/02/20 (金) <前へ次へindexへ>

 三歩進んで、二歩下がる


 文/竹井義彦
 個人的なことで、申し訳ないが、私は日記をほぼ毎日書いている。1996年の9月9日からつけはじめているから、7年とちょっと。我ながらよく続いているものだと思うが、実は紙にペンで書いているわけではない。ホームページで公開しているWeb日記というヤツだから、ここまで続いているのだろう(http://www32.ocn.ne.jp/~opstudio/diary/index.html)。時々、日記を読んだ友人からメールがあったりするので、やめるにやめられなくなったというのが正直なところだ。このWeb日記を通じて知り合った人もいて、そんな人に仕事を頼んだりしたこともある。いまさら、どんな動機ではじめたのか、実は忘れてしまっているのだが、ここまで続いていると生活の一部になっていて、日記を書かないでいるとなにか大切なものをどこかへ置き忘れたような気分になってしまう。そんなわけで、毎日日記を書いては公開している。

 つい先日のこと。去年の今頃はどうだったのか調べるために、過去の自分の日記を覗いてみた。というのも、私花粉症にかかっていて、毎年、2月半ばを過ぎた頃からゴールデンウィークの頃まで、鼻をずるずるいわせているためだ。去年は、いつ病院で薬を処方してもらったのか、気になり日記を調べることにしたのだ。
 去年は、ほぼ1年前の2月21日に処方してもらっていた。金曜日のことだ。ついでにその週末はなにをしていたのか、ついでに日記を読んでみると、横浜市内の強豪チームの招待試合に呼ばれていた。



 神奈川県内外の8チームがトーナメントで戦う大会だった。結果は初戦に勝ったものの準決勝で敗れ、さらに3位決定戦に負けて4位だった。私がコーチしているちびっ子たちは当時、小学校2年生。まだ個人技をメインに試合をしていた。この日の試合では、負けたことはともかく、他の強豪チームがどんなチームを作っているのか、私が面倒を見ている駒林サッカークラブとはどんなところが違うのか、感想が書いてあった。

 以前にも書いたことがあったと思うが、私は2年生までは、あくまでも個人戦術中心に子どもたちに指導していた。が、この日の試合を境に、グループ戦術へとその方針を変更している。
 ドリブルを中心に攻撃させていたのだが、この翌々週の練習試合では考えた末に次のステップに移ってもいいだろうと判断して、子どもたちにパスを積極的に使うように指示しだしたのだ。それから、パスの練習がメインになり、壁パスやオーバーラップをはじめとしたグループ戦術の練習がメインになっていった。もっともそのすべてがまだ身に付いているとはいえない。
 それでもいまでは、自陣からは手数をかけずに前線へシンプルに繋いで、敵陣に入ったらサイドを意識してパスを回して攻撃するように、指示が変わっている。

 よく考えたら、小学校3年生に、なんだか随分大人びたサッカーを指示していたような気がする。もしかすると、ちょっと背伸びをしすぎたのだろうか、とも思う。ただ、いろいろなチームと、特に3年生の間は1学年上のチームと公式戦で戦うことが多かったので、不足している体力を補う上でもこれはこれでひとつの方法だった。これからは、いままでの練習をベースにもっともっと精度を上げていけば・・・、今年のはじめまではそう考えていた。

 同じ4年生が相手で、体力やキック力といったフィジカル部分での差はなくなるのだから、これまでやってきたことを精度を上げれば、いいチームになるはずだ、というのが、私の理屈だった。が、本当にそれだけでいいのかどうか。いまでは、ちょっと違うのでないかと思っている。



 そんなことを考えるきっかけになったのも招待試合だった。今月の初め、私たちのチームがホストとして招待試合を行った。県内外の強豪チームを呼んで行ったその試合の決勝戦を見て、なにか違うと感じたのだ。
 県を代表する強豪チーム同士の対戦となったその決勝戦は、私の想像とは違う試合だった。ひとりひとりがしっかりとボールをキープして、自らが判断をしてボールを展開していたのだ。ボールを前線へ簡単に繋ぎ、ただパスを出すのではなく、ゲームをひとりひとりに創らせようとしていた。そんな試合の副審をしていて、私は感心してしまった。と同時に、個人のプレイをあくまでも大切にしている試合を見て、それまでの考えを改めるべきだと感じたのだ。

 確かに、サッカーはパスゲームである。しかし、なんのためにパスをするのか、それをプレイしている子どもたちが考えて、一番いい選択としてパスを選んではじめて意味が出てくるのではないだろうか?自陣にいるときは簡単に前へ繋ぐのが、セオリーかもしれない。教科書どおりといってもいいだろう。しかし、その意味をプレイする子どもが考え、選択してプレイするのであればいいだろうが、サイドラインからコーチが指示しても身に付かないのではないだろうか。
 考えて、答えを出してからプレイさせる。そういうことを今のうちにやっておかなければ、子どもたちは伸びないはずだ。目先の勝利も大切なことかもしれない。けれど、もっともっと先を見て、いま一番大切なことを学ばせることの方が重要なのではないだろうか。



 そう考えた私は、次の週から練習メニューを変えることにした。ひとりひとりがどんなプレイをするのかをしっかりと考えることができるように、ボールコントロール以外のメニューとして、3対3の練習をメインにしてみた。ディフェンスするときにはきちんとマークにつき、オフェンスの時にはフリーになる。そんな基本的な動きを考えながら、1対1でしっかりと応対する。そんなことができるようになって欲しいと思ったからだ。

 この練習を含めて、ディフェンスのクリアを禁止にした。ミニゲームはもちろん、他のチームとの練習試合でも同じように禁止にした。もちろん、簡単なことではない。それが証拠に、ついこの間行われた練習試合では、ディフェンスがボールをクリアせずにきちんと味方に繋ごうとしたミスから失点をしている。けれど、何点獲られれてもいいから、ディフェンスの時にはクリアするなといっている。もちろん、前線への放り込みも禁止だ。ロングパスをするときには、パスを出す相手の名前を呼ばなければ、すかさずベンチから注意の声が飛ぶ。
 シュートを打つときには、フェイントを必ず一回入れてシュートする。そんなことも、いま注意している。まず、ひとりひとりがボールをしっかりと保持して、次になにをしたらいいのか考える。そんな習慣をつけて欲しいからだ。

 蹴ることは簡単だ。
 しかし、いま持っているボールをどうやって繋いでいくのか。ボールをもらう直前に周りを見て、ボールを持っているときも可能なら周りを見て、自分で判断して次のプレイを選択する。その選択がパスなら、きっと素晴らしいパスになるに違いない。
 来月の練習試合まではクリア禁止を続けるつもりでいる。
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